イベント女。
昨日は七夕。
いやがおうにも男女の恋愛を思い浮かべる。
あたしはイベント女だ。
付き合った日から3ヶ月記念💖とかじゃない方のイベント女。
春はお花見、特に夜桜を愛でたい。
夏は夏の風物詩の水遊び、花火などを片っ端から楽しみたい。浴衣が着れるなら出来るだけ着て出掛けたい。
秋は…ほんとに好きで…なんともいえない切ない気持ちを抱えながら紅葉を眺める。温泉入りながらだとなおいい。
冬景色もほんとに好きで雪が積もればすぐにユキダマを作り始めてどこかに投げてみる。
クリスマスは出来るだけイルミネーションの綺麗な隣町まで出掛けて。いつもとは違う雰囲気を味わいたい。
全部全力で味わいたいんだ。
そして七夕。
高校生のある日。
どうしようもない恋に恋い焦がれていた。
来るか来ないかわからない想い人を毎日川原で待つ。そんなあたしをみかねた友人もそこにいた。七夕が近かった。
「ねえ?願いが叶うように夜にこの川原に来てさ、願い事を書いた紙ひこうき、飛ばさない?」
イベント女のあたしの突飛な提案。だけど友人も「いいね!」って言ってくれたんだ。
彼女だって悩んでいた。願いはあるんだ。
結局当日彼女は親にとめられたとかで来れなかった。あたしも実は親にとめられたけど、降りきってきたんだ。
宙ぶらりんの紙ひこうき。
願い事なんて叶いっこないのに。
そんな願い事の書いた紙ひこうきを飛ばしたところで環境汚染にしかならないのに。
それでもそんなものにでも頼らなければどうにもならないほどに。恋い焦がれていた。
確かあの時のあたしの願いは
「大好きな彼が振り向いてくれますように」と「大事な彼女が危ない橋を渡りませんように」だったと思う。
そしてその後彼女は危ない橋を渡ってからあたしに告げてきた。
「たいしたことなかったよ。」
彼女は彼女の人生だ。彼女の身体は彼女のものだ。だけど…
今回は相手が良かったから助かったかも知れない。でもいつもそうなるとは限らない。
あんなこと人生の欠片でしかないんだ。
けれどあたしは七夕が来るたび思い出すんだ。
あの時、一人でも紙ひこうきを飛ばしておけば?よかったのかな…
叶わない願いを乗せた紙ひこうき。
あたしの恋も見事に焦げていた。
今回の七夕も曇ってて会えそうにないね。
大好きな人と。一緒に綺麗な七夕の夜空を眺めて。手を繋げればそれでいいのに。
あれから十数年たっているけどそれさえも叶わないらしいなぁ。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうごございました。
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