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時代の写し鏡 未来に思いを馳せたカクテル「アヴィエーション」

はじめまして!東京日比谷OKUROJI(オクロジ)にあるMIXOLOGY HERITAGE(ミクソロジー ヘリテージ)のバーテンダー角田と申します!
こちらでは様々なクラシック・カクテルの誕生秘話を通じて、ご自宅で簡単に本格的なカクテルの味わいを楽しんでいただけるようにご紹介させていただこうと思います!!

第5回目のカクテルは日本では馴染みが少ない、だが世界的に人気のあるカクテル「アヴィエーション/Aviation」をご紹介いたします。

アヴィエーションと聞くと、「おお、あのカクテルか」となる方や、「初めて聞いた」と言った様々な声が上がると思います。スッキリとした味わいの中にほのかに残る甘味がクセになる、そんなアメリカ生まれのクラシックカクテルです。

なぜアヴィエーションと言う名前なのか、なぜこのようなレシピなのか、このカクテルが生まれた時代背景などなど…。深掘りしてまいりましょう!!


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アヴィエーション(Aviation)の誕生は第一次世界大戦(1914-1918)の最中。世界は大きく揺れていました。

サラエボ事件(1914年)と言われるオーストリア皇太子夫妻暗殺をきっかけに始まった第一次世界大戦。当時のアメリカは中立を訴え、戦争には参加していませんでした。しかし、1915年5月にイギリスの商船・ルシタニア号がドイツの潜水艦により撃沈され、中立国であるアメリカ市民128名が命を落としたことにより戦争に参戦していくこととなっていきます。

戦争が激化していった1916年、ニューヨーク・ウォリックホテル(the Hotel Wallick)のチーフバーテンダー、ヒューゴ・リチャード・エンスリン氏の手によりカクテル【アヴィエーション】は産声を上げます。

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ヒューゴ・R・エンスリン氏

【アヴィエーション】とは、航空機、航空学を意味し、1916年に同盟国であるイギリスのソッピース・アヴィエーション社(Sopwith Aviation)が発明した戦闘機(通称:ソッピース・キャメル)、が初飛行した年であり、後に5490機と大量に生産されイギリス空軍、アメリカ陸軍航空隊に正式配備された第一次世界大戦を代表する戦闘機の一つです。

そんな時代の幕開けと化学の発展に可能性を感じたバーテンダー・ヒューゴ氏は創作したカクテルに当時の世相を反映させたアヴィエーションと名付けました。


アヴィエーションがカクテルブックに初めて登場するのは1917年のこと。ヒューゴ氏が出版した「Recipes for Mixed Drinks」に掲載されました。当時のレシピは

○ジン                                   40ml

○レモンジュース                 40ml

○マラスキーノ                  2dash

○バイオレットリキュール   2dash

上記のレシピをシェークで仕上げていました。

1930年、かの有名なハリー・クラドック氏が手がけた「サヴォイ・カクテルブック」(The Savoy Cocktail book)にもアヴィエーションは掲載されましたが、そちらのレシピにはバイオレットリキュールは入っておらず、

○ジン                                   45ml

○レモンジュース                 15ml

○マラスキーノ                  2dash

となり、知名度の観点から上記のレシピが定着していきました。材料も少なく、自宅で作るのにおすすめのカクテルとも言えます。

当時のアメリカでは、甘味と深みを足すのにマラスキーノを使うのが主流であり、様々なカクテルにマラスキーノが使用されていました。シンプルながらに深みのある優秀なカクテルです。

それではここから、自宅で作る【アヴィエーション】をご紹介いたします。

How To make Home Aviation

用意するのはこちら

○お好みのジン

○レモンジュース

○マラスキーノ

○カクテルシェーカー

○カクテルグラス

以上です!!


「そんなこと言って、簡単じゃないじゃないか」「道具を揃えるのが大変なんだ」

この記事を読んでくださっている皆様の声がヒシヒシと伝わっております。

ご安心ください。特に手に入れにくいグラスとシェーカーはこちらのサイトで購入することができます。

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グラスとシェーカーを揃えることで、ホームカクテルのレベルが格段に上がり、バーの雰囲気を味わえること間違いなしです…!

今回おすすめするシェーカーはこちら

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アンティークのシェーカーを使うことは、1916年当時に思いを馳せ当時の味わいを再現するのには欠かせないアイテムです。

何より注意していただきたいのは

コンビニやスーパーで買ってきたしっかり締まった氷を使う。

それではダメなんです!

1916年当時を考えると製氷技術がそこまで発達しているわけではなく、現代の質の高い氷を使用してしまうと加水が少なく、お酒の割合の多い当時のレシピなので味の詰まった飲みにくいカクテルになってしまいます。

なので、このカクテルを作る際にこだわりたいワンポイント

買ってきた氷をカクテル等を作る前に常温に出しておく

表面の霜が取れ、少し汗をかくくらいが目安です。

ぜひこの作り方でアヴィエーション、作ってみてください。

当時のアメリカの風があなたに吹くことでしょう。


次回の更新もお楽しみに!


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