見出し画像

日用品の買い物のこれからのかたち

こんにちは。STANDの宮原です。

現在、買い物と一括りにしても、その内訳によって買う手段が異なっているのが現代の特徴です。

消費 スピードの早い食品や、キッチン用品、洗濯用品、掃除用品といった生活必需品の買い物はどん な人でも必須になりますが、必須だからこそその買い方が効率化される傾向にあります。

今回はこういった日用品を手に入れる過程を変える新しいサービスを紹介していきたいと思います。


・日本にもついに登場、「ダークストア」の正体とは

今年6月、10分で届く宅配専門スーパー、OniGOがスタートしました。
第1号店は東京の目黒にオープンしています。
OniGOはスマートフォンアプリから注文できるネットスーパーで、実店舗を持つものの、お客さん は来ないという「ダークストア」と呼ばれるビジネスモデルを再現しているのです。この仕組みはア メリカを中心とした海外ではすでに広がりつつあります。国土の広い国では、コンビニやスー パー、ドラッグストアといった日用品を揃えた実店舗への距離が遠くてちょっとした買い物に不便 なことから、倉庫型のスーパーから配達員が直接自宅へ届けるというサービスが増えているので す。

OniGoの最大の特徴は、配達エリアを絞り込み、注文から「10分以内で配達する」点です。即時配送の実現のため、商圏範囲は店舗の周辺1~1.5kmに絞っています。注文が入ると店舗 にいるピッカー(商品をピックアップする従業員)に受注データが飛んできて、それをもとに商品を すぐに集めて検品します。そのあと商品をライダー(配達員)に引き渡し、配達するという流れで す。ライダーは安全で無理のない基幹ルートをあらかじめ選定し、電動アシスト自転車を使い配 達します。倉庫内でのピッキングから検品、包装までの目標時間は3分以内。配送に7分で、注文 から約10分での買い物を実現します。店舗は年中無休で、営業時間は10時~22時。ストアから 10分圏内に人口が密集している場所でこそ成立するモデルだといいます。 これまでダークストアは、国土が狭く、田舎でも30分以内に生活必需品を置いたショップが存在 する日本においては、実現が難しいと考えられていました。しかし、人が密集し、仕事や育児で買 い物に時間を割けない東京の忙しい生活者にとっては、逆に時短にもなり、家でのストックを抱え すぎない、理にかなった買い物のかたちとなることが予想できます。

・ウォルマートのヴォイスショッピング

アメリカの大手スーパーマーケット、ウォルマートはGoogleのスマートスピーカーを使い、会話に よる買い物体験を提供しています。 ウォルマートが実際にデモで見せていたボイスショッピングは以下の通りです。 冷蔵庫を開け、牛乳がほとんどなかったときに、グーグルやアップルのスマートスピーカーに向 かって「ウォルマートで牛乳を再注文して」と声をかけます。すると自動的にウォルマートアプリが 起動し、過去の注文履歴を認識し、最も頻繁に買い物されたメーカーで特定の種類と容量まで人 口知能が判断してカートに載せるという仕組みです。

さらに、ネットスーパーで注文する際には カーブサイドピックアップ(オンラインで事前注文をした後、店舗の駐車場まで取りに行くと、店の スタッフがピックアップ済みの商品を車のトランクに積み込んでくれるサービス)や宅配サービス において、受け取り時間を指定する必要があります。

それも、「ウォルマートの時間を予約して」と 声をかけることで、ピックアップの時間、もしくは宅配の受け取り時間を会話ひとつで設定できる のです。ウォルマートは「会話」という摩擦レスなショッピング体験を通して、Eコマースの顧客体験向上を目指しています。

ウォルマートのボイスショッピング「Text to Shop(テキスト・ツー・ショッ プ)」はすでに一部の地域でテストを行っており、今後も対象地域を拡大していく予定だそうです。 コロナ禍では世界中でネットスーパーを含むEコマース需要が急増しました。

この流れは今後も 続くと考えられます。そこでウォルマートは、この先ボイスショッピングといった音声指示を活用し た買い物が、2030年までにEコマースの30%を占めると予測しているのです。

アメリカ人の1日の家事にかける時間は、平均約2時間と言われています。子どもの送り迎えや 炊事、洗濯、掃除、買い出しといった家事の時間を忙しい中で切り盛りしているのです。

こういっ た状況の中でボイスショッピングを提供することによるメリットは大きく2つあります。まずは何より 時間や場所を問わずに買い物が実現できることです。火事で両手がふさがっているときにも、自 然な流れからスムーズに購入に進めます。

そしてもう1つが、「選択のパラドックス」からの解放も あります。人は選択肢が多いほど不幸を感じやすいという傾向からです。日用品や食品といった 普段使いの「いつもと同じもの」をストレスなく選択できることは精神的に楽になるほか、家事の 効率化にもつながります。

私はこの他に、実店舗のスーパーマーケットにて買い物が困難であっ たり、普段の家事もしづらい、身体の一部に障がいを持った人々にとっても、かなり便利なサービ スになるのではないかと考えます。

日常使いするものを定期購入する、といった既存の買い方の ほかにも、会話の中で生まれる新しい買い方の選択肢が生まれることは、便利になるだけでなく 非常にワクワクすることでもありますね。

日用品といった常に無ければ生活ができないアイテムにおける買い物の手段は、常に効率化さ れるいっぽうだと分かります。「いつものアイテム」を、いかに効率的にピックし時間をかけずに手 に入れるかの勝負は、日用品を扱う小売りにとっては今後仕組みづくりのカギとなりそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?