現代宮城風土記#4:北山五山


北山五山

仙台城下町の北辺・北山丘陵付近にある5つの臨済宗の寺院。「光明寺」「満勝寺」「東昌寺」「覚範寺」「資福寺」の5つ。伊達家4世・政依によって鎌倉時代に伊達郡に創建された『伊達五山(光明寺、東昌寺、観音寺、興福寺、満勝寺)』が基になっている。伊達家の転封に伴って仙台に移転した。

1.東昌寺

北山五山の筆頭。伊達家4世・政依が作った菩提寺で、伊達家の転封に伴って現在地に移った。1873年には境内の西側に「青葉神社」が建設され、寺の建物が現在の位置に少しズレた。境内に国の天然記念物になっているマルミガヤがある。

東昌寺

東昌寺のマルミガヤ

東昌寺の境内に生えているカヤの木。国の天然記念物に指定されている。幹が南北に分かれてそそり立つ巨木で、種子の直径が2.2cmほどの球形になるカヤの変種。推定樹齢は500年。伊達政宗が鬼門除けとして植えたものと伝えられる。別名は御前ガヤ。

マルミガヤ

青葉神社

伊達政宗を祀る神社。1874年に伊達家の旧家臣団が中心となり、東昌寺から境内を提供されて創建。本殿等の6棟が国の登録有形文化財。藩政時代の「仙台祭」の神輿渡御を引き継いだ「青葉祭」が昭和中頃まで行われた。春の例祭は伊達政宗の命日の5月24日で、神輿御渡は「仙台青葉まつり」で実施。

青葉神社

2.光明寺

伊達家初代当主の伊達朝宗夫人の菩提寺として伊達家4世・政依によって創建され、伊達家の転封に伴って現在地に移った。慶長遣欧使節団として欧州へ渡航した支倉常長のものと伝えられる墓と、宣教師ソテロの記念碑がある。

光明寺

3.覚範寺

伊達政宗の父・輝宗の菩提寺として米沢に開かれ、伊達家の転封に伴って岩出山、仙台と移ってきた。政宗の生母・保春院の墓、政宗の三男・宗清の供養塔がある。本堂は幾度も火災で焼失し、再建されている。

覚範寺

4.資福寺

鎌倉時代に創建され、室町時代以降は伊達家の保護を受けた。その後伊達家の転封に伴って岩出山、仙台へと移転してきた。現在は1200株のアジサイがある寺として有名。仙台市民で一眼レフカメラを持っている人はだいたい行く。

資福寺

5.満勝寺

伊達家初代・朝宗の菩提寺として、鎌倉時代に伊達家4世・政依によって伊達郡桑折に創建されたとされる。仙台開府以降に北山の東昌寺と光明寺の間に小庵を建立し『満勝庵』と称した。1667年に「北八番丁(現・柏木)」に移った。

番外①:輪王寺

北山にある曹洞宗の寺院。伊達家に所縁のある寺院で、1441年に伊達郡梁川に創建され、1602年に仙台に移った。立地から「北山五山」にまとめられることがあるが、満勝寺が移転した後に北山に移転した点や宗派が異なる点など来歴が異なるため厳密には誤りである。

輪王寺

おわりに

それぞれの参道にはたくさんの杉が植えられているので春に参拝する場合は注意が必要。

更新履歴

2023年10月30日:文章を作成。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?