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金縛り

今からもう40年以上前の話です。

大学卒業して初めての就職。
山の中の田舎町。
就職先で見つけてくれた部屋を借りることになりました。
そこは一階が雑貨屋的なお店プラスお店の人の住居になっていて二階を貸部屋にしていました。
昔は学生寮として使っていたのですが今はもう誰にも貸していない状態だったのだけど、その時は特別に私に貸してくれたようです。

二階は古い木造の部屋が三部屋と新しく増築した部屋が一部屋ありました。
昔のことですので、一部屋一部屋が独立しているわけではなく木造部分の三部屋は北側が窓になっていて東西方向に廊下、その南側に部屋・・・つまり平均的な学校の教室の作りって言えばイメージしやすいかな?
一部屋が八畳ぐらいで部屋と部屋の間は・・・壁だったのか?よく覚えていないのだけど、もしかすると襖だったかもしれない。

どの部屋でも好きに使って良いよ、全部屋使ってもいいからね・・・って説明されたものの・・・さて・・・どの部屋にしようか???
いくら私一人で全部使っても良いと言われてもあまりにも広すぎます。
増築部分の部屋は四畳半ぐらい、木造部分はそれぞれ八畳ぐらいっていうことで結局木造の一番東の端の部屋で寝ることにして後は荷物置き場のようにすることにしました。

その頃、私はアニメのポスターを貼るのが趣味でして部屋中に好きなポスターをベタベタと貼っていました。

それから数日後、その部屋に寝ていると何故か身体が動かない!
そんなことになったことがなかったので、かなり焦ったけれども動かないものは動かない・・・。
もしかして、これが金縛りというものなのか??
しばらくしてから動けるようになったのだけど、変な体験をしたなあ、疲れているのかな?と、思った程度でその時はそれ程怖くはありませんでした。

・・・が、その後何度か金縛り現象が起きて、のんきな私も流石にこれはおかしいだろうと気づいたんですよね。
そう言えば部屋の四面にポスターなどを貼っていると御札状態になって怪異が起こる・・・なんてこと何かで読んだことがあったような・・・。
その頃はまだネットなんていうものはなかったのですぐに調べられなかったけど、私の変な雑学知識を信じてすぐにポスターを剥がし、部屋も増築部分の明るい部屋に変えました。
その後は金縛りに遭うこともなく毎晩健やかに寝ることが出来ました。

この昔話を思い出している途中、気が付いたのだけど、木造部分の三部屋は北側から明かりが入っていたのだけど、南側に窓があったのかどうか、どうしても思い出すことが出来ないのです。
普通に考えて南側に窓があるはずだから、ないって事はないと思うのだけどね・・・。
とにかく天井が低くて薄暗かった・・・としか覚えていないのです。

とはいえ、金縛りって本当は心霊現象などではなくて、単なる睡眠障害ですからね。
私の場合初めての職場で緊張していたストレスとかが金縛りの原因だと考えられます。独身時代はそれ以降そういう現象には一度も会いませんでした。
ただ・・・結婚してから何度かそういう現象に会いまして、その時は心の中で「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏・・・」と唱えると不思議と金縛りが解けるという経験もしました。
金縛り状態になると深呼吸をすれば良いそうだから「南無阿弥陀仏」も深呼吸のようなものなんでしょうね、きっと。


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