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池上遼一 (近代日本文学名作選)

ここまで素晴らしい絵を描かれてしまうと<漫画家>というよりは<絵師>とお呼びする方がいいのではないかと思ってしまいます。

小説などは文字で表現したものを読み手は色々と頭の中で想像して楽しむわけだけど、漫画はそれを<絵>で表現するわけです。

画力のない者が描くと残念ながら文字から想像する方が遥かに素晴らしいものになってしまうのだけど、この作者にかかると圧倒的な絵の迫力に押されてしまって、絵の持つ力に脱帽してしまうのです。

例えばこの本に収録されている「お勢登場」(原作:江戸川乱歩)の場合、格太郎の入っている長持を開けた時のお勢の表情の見事さ!長持の中で苦悶しながら死んだ格太郎の死に顔!!

このインパクト!文章から想像する以上のインパクトでこちらに迫ってくるのです。

ただ・・・原作より先にこちらを読んでしまうとこちらの印象が強すぎて読み手自身の想像力が働かなくなるかもしれない・・・というのは、さて、それで良いものかどうかちょっと悩むところではあります。

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