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第1章 ChatGPT(生成AI)の出現

2022年11月、サム・アルトマン率いる「オープンAI社」が彗星のごとく現れ、ChatGPT(生成AI)が地球を暴れまわっている。AI(人工知能)は知能において人間を超えることになると言われている。AIコンピュータは既に将棋の棋士の能力を超えている。シリコンバレーではAIによる「ヒューマン・エンハンスメント(人間改良)」という言葉が出ており、やがてチップを脳に植え込んだ改造人間がでてくるという。またメタバースのネット上での「仮想空間」に人間の脳をフルコピーする技術が進んでいる。

生成AIバブル

国際金融資本家(Deep State)は、これからAIで大儲けができるとユーフォリア(陶酔感)に陥っている。アメリカ運用会社アークインベスト社は2024年3月21日付けのレポートで「AIは2030年までに世界の国内総生産(GDP)を40兆ドル(約6100兆円)に押し上げ、あらゆる業界を変貌させ、全企業に影響を与え、技術革新をあまねく促進する」と言っている。

現在の「生成AI」では、モデルを学習させるために使うコンテンツはインタ―ネット上のデータを著作権への支払いなしで使うので生成AI企業の利益は膨大なものになるとし、オープンAI社やそのシステムに使われる半導体企業であるNvidia社などの株価を高騰させて、「生成AIバブル」が起こっている。米市場調査会社カレンシー・リサーチ・アソシエイツ社は2月の報告書で「AI向けの半導体大手のNvidiaの今の株価は今後4500年間、配当を出し続けなければ正当化できない」と述べている。

電力消費が膨らむ

「生成AI」は、クラウド:データセンターで動かされているが、それは膨大な電力を消費する。国際エネルギー機関(IEA)は2026年の世界の電力消費量がAIの普及などにより2022年の2倍超に膨らむと試算している。日本のデータセンターでの電力消費は2021年9,200億キロワットであったものが、2040年には1兆キロワット、2050年には1兆2,000億キロワットになると見られている。(電力中央研究所)

生成AIはGarbage In Garbage Out

「生成AI」は、人間が質問するとどんな質問でもそれに答えてくれる。日本の政治家は国会で野党から質問されてもまともな答をしない。

しかし現在の「ChatGPT」は技術的にまだ開発途中のもので、質問をしても時々間違った回答をすることがある。回答は流暢であるが、意味不明のものがある。こちらに専門知識がない人には答の内容はもっともらしく思え、騙されることがある。

2023年の初めに小学生の算数の問題で「2分の1と3分の1はどちらが大きいか」と問うと、「生成AI」は「3分の1のほうが大きい」と答えた。現在のChatGPTはその専門の知識を持った人と、持っていない人とでその効果が大きく違ってしまう。つまり使う人の中で経済格差ができるのだ。

人間は仮説に基づき推論するが、生成AI・ChatGPTは基本的には記号を基にした統計推論でしかない。生成AIは投入したデータで学習させ、それを基にして統計的に推論しているので、推論した結果が本当に正しいかどうかはわからない。現在の生成AIシステムは、「Garbage In Garbage Out」(ゴミを入れれば、ゴミが出てくる)である。

これを悪用すると、生成AIは人間を洗脳する兵器になる。「CO2により地球温暖化になる」とか、「聖書に明記されているハルマゲドン・地球の終末が来る」とか、「ウクライナ戦争ではアメリカが勝っており、プーチンが負けている」というデータを学習させると、そのような答が出てくる。そして多くの人はそれを信じてしまう。嘘も10回言うと本当になる。

2023年1月、ネット上の偽情報を調査するアメリカ企業の「ニュースガード社」は「いかにChatGPTが有害な偽情報を前例のない規模で拡散しうるか」と題する報告書を公表した。

新型コロナや乱射事件に関する偽情報を基に「ChatGPT」に文章を作成させたところ、100件の内80%が偽情報を含んだ文章が返ってきたという。ChatGPTのAIを訓練する膨大なデータはネットから集められるが、そもそもそのデータが事実かどうかわからない。間違いや偏りがあるデータでAIが訓練されれば、出力される情報も歪められたものになる。一般の人にも見わけがつかない偽情報が文書や画像、動画などで拡散すれば、民主主義を脅しかねない。いや現在すでにこうした膨大な偽情報がテレビやネットに流れている。このような情報を見ると、「サブリミナル効果」で、人間の潜在意識の中に刷り込まれる。

しかし日本政府は、政治家・官僚の国会答弁を人手不足という理由から生成AIで準備し始めている。もともと日本の国会審議では政治家の言葉が曖昧で、逃げ口上が多いので、生成AIを使うと審議ができなくなりそうだ。また日本では小学校、中学校で生成AIを使わせようとしているが、そうすると若者は自分でものを考えることを止めるので、思考力が劣化することになる。

オープンAI社の社長のサム・アルトマンは、現在の生成AIはまだ欠陥があるのでいろいろな人に試してもらい、その欠陥を指摘してもらいたいと多くの国を訪問している。日本の岸田首相は最近アルトマンと会い、是非日本でも使わせてくださいとアルトマンに頼み込んでいる。

イーロン・マスクが言ったように、「生成AI」の開発をここで中断しなければならないのかもしれない。つまり「生成AI」が人間を殺す兵器にならないように改造しなければならない。

オープンAI社サム・アルトマンの3つのプロジェクト

オープンAI社のサム・アルトマンは、現在の「生成AI技術」の次のプロジェクトとして、三つの技術を開発している。それはAIをベースにした「生体認証」、「アンチエイジング」、「核融合発電」である。

アルトマンが取り組む「生体認証」のプロジェクトは「オーブ」と呼ぶバレーボールのような大きさの球状の専用装置を使い、人々の虹彩の画像データを取集し、そのデータを暗号化して記憶する。このプロジェクトに同意した参加者は瞳をスキャンすると仮想通貨を受け取れるようになる。この虹彩のデータが個人のIDとなる。これでネット上の存在が本物の人間であることの証明になる。将来これに参加した人に「最低所得」というベイシック・インカムを配布するための基盤になる。しかしこれは世の中を「監視社会」にすることになる。つまり世界の人間を監視して、コントロールする仕組みとなる。これはDeep Stateが今準備しようとしているものである。

このようなものを作らせてはならない。この技術はアルトマンがオープンAI社を上場してその金を投資して作ったものである。そしてアルトマンは生体認証の開発会社を上場して、その金で新しい技術を開発しようとしている。つまりアルトマンの素性は投資家・投機家である。彼は創造的な技術者・企業家ではない。

2024年5月13日 三輪晴治