EVを1ヶ月使ってみた

発売開始から1年で5万台を販売したという軽EV兄弟。
その後我が家にもやってきた軽EVの日産サクラ。納車から4週間が過ぎ平均電費は7.1km/kWh。坂の街なので平坦な街に比べてどうしても電費は悪くなる。ちなみにエアコンは常時AUTO、初秋からなので19℃設定している。モードはECOでe-pedal stepはON。

急坂のアップダウンで毎日15~20kmを走るのは、ガソリン車でも燃費が悪かったので、平坦なら8km/kWhを軽く越える電費のサクラでも、7km/kWhに落ちてしまうのはしかたのないところ。寒くなってオートエアコンをオンにしておくとヒーターをガンガン使うので電費はさらに悪化して6km/kWh台に。それでも、どうやらEVの平均的な電費らしく、さすがに軽量な軽EVだけのことはわると感心しきり。

それにしてもというか、BEVの普及はまだまだといった感じ。街で見かけるBEVはリーフが5台ほどでテスラが2台ほど、サクラ&ek-X EVが5~6台、ミニキャブのEVトラックが2台ほどと数えられる程度。もちろん見かけていないEVもあるのだろうが、それでも田舎なので世帯で数台のクルマを保有している事を考えると、もう少し普及していてもおかしくは無いはず。
サクラ&ek-X EVの全国での販売台数からすれば、1万人規模の街には10台ほどの軽EVがあってもいいのだが、やはりそこは一日の走行距離がどうしても長くなる地方都市。1充電での走行距離の短さを懸念しているのだろうと予想する。加えて、日常の足としてクルマを使う層は高齢者がほとんど。新しいメカニズムに対応できないのではという不安もあるのだろう。

ちなみに、信州では令和4年度のEV普及率は保有台数の0.3%とのこと。全県で5千台、1万人規模の街で30台ほどのEVが走っている計算になる。

ガソリン価格が全国一高くなる事も珍しく、晴天率の高い地域が多く太陽光発電パネルを載せている家が多い信州にも関わらず、EVの台数が数えるほどというのはいささか寂しい限り。

海外のモーターショーや先頃のジャパンモビリティショーを取材した方々の書かれたモノを読むと、各国自動車メーカーのBEVシフトが加速度的に起こっていて、その先の水素エネルギー利用へのシフトも着実に進んでいる感触が書かれている。それに比べれば日本のメーカーはまだまだ端緒に着いたばかり。

三菱と日産がいち早くBEVを市販化したものの、輸入車を含めBEVの車種が少なくプラグインハイブリッド(PHEV)も中々登場しない状況で、急速充電インフラの整備が急速に行われてきたが、使う人が増えなければアップデートはなされない。早期に整備された急速充電器の更新がなされず廃止されるところも増えてきているという。

ところが、テスラの好調とともに輸入車のEV割合が増え、国産でも軽EV が登場するなどEVの台数が増えたために急速充電の数が足りなくなっている。それに拍車をかけているのがガソリン価格高騰によるPHEV急速充電ステーションを使う頻度の上昇。
現在、SAPAにおける整備が急速に行われてはいるが、一般道を含めた絶対数はとても足りているとは言えない状況にある。

世界的なEV普及の流れに乗り遅れているといわれる日本の自動車業界と日本の充電インフラ。理由は、日本が資源国では無くバッテリーの製造にどうしてもコストがかかることと、政府が充電インフラ整備に本気を見せていないことにあるのは明白。
正直、日本政府は国鉄民営化以降あらゆるインフラ整備に国費を投入するつもりが無く、国費投入は献金として政権政党へと還流してくる分野にしか行っておらず、充電インフラ整備も僅かな補助金を出すのみで民間に頼っている。

水素のエネルギー利用に関しても、研究は数十年に及び課題は最終的にインフラ整備となっていた。ところが、水素ステーション整備は遅々として進まず、水素のエネルギー利用に関する研究では先行していたものの欧州の猛攻に後れを取りそうな状況にある。
水素を使った燃料電池車と水素燃料を使用した内燃機関の二通りで水素エネルギー普及の可能性を探るトヨタは、他メーカーとも協力して水素インフラ整備を進めようとしてはいるものの、欧州のスピード感にはとてもかなわない。

欧州はウクライナ危機でロシア産の天然ガスや原油が手に入れられなくなったことでエネルギーの転換が迫られ、水素のエネルギー利用環境の整備を加速させている。加えて脱炭素という面で水素製造には再生可能エネルギーの利用がベースとなるが、再生可能エネルギーの面でも欧州は風力発電を始め整備が進んでいて、再生可能エネルギーへの転換でも後れを取っている日本は水素エネルギーのインフラ整備以前に再生可能エネルギーを如何に拡大させるかが課題となっている。

個人的には内燃機関が好きなので、武蔵工業大学(現東京都市大学)が水素自動車の研究を始め、その後にマツダも水素燃料でロータリーエンジンを回し、数々の大学が研究を進めてきた水素燃料自動車が実用化されることを願っている。最近では、先に触れたようにトヨタが本気を出して水素燃料自動車を開発し実用化を模索しているが、水素燃料電池車と共に実用化が進み水素インフラ整備が進むと嬉しいのだ。
しかし、今の自公政権では将来のことを考えて法整備や大胆な予算措置を進める雰囲気が無いので、日本は取り残されることになるのだろうと悲観してる。

内燃機関という意味では、電動車が主流となったとしても現状ではレンジエクステンダーやシリーズ式プラグインハイブリッドカーの発電用として使われる道はまだまだ残されている。そんな中で注目がマツダのロータリーエンジン。悪食なロータリーエンジンを発電用とすることで、将来的に水素燃料でロータリーエンジンを回して発電しモーターで駆動するといった可能性も考えられる。

将来的な楽しみではあるが、いずれにしろ充電インフラや水素充填インフラの整備に政府が本気を出してくれなければどうにもならないことに変わりは無い。



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