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現代人の「浮き指」問題を草履サンダルが解決!姿勢改善も期待できます

皆さんこんにちは、石川県立大学教授の宮口です。主に「子どもの成長と人々の健康のための研究結果」について発信しています!今回は、現代人に多い足の問題「浮き指」についてお話しします。


体表面積2%の「足裏」が全身を支えてくれている!なのに・・・

直立二足歩行をする人間にとって、体表面積のわずか2%にあたる「足裏」が体を支えるための唯一の床との接点(接面)です。

しかし多くの現代人において、この重要な「足」が崩れてきています。立位時や歩行時に足指が接地していない「浮き指」の人が増えているのです。

浮き指は、「足趾把持力の低下(*1)」や「重心前方移動能力の低下(*2)」などの機能不全を引き起こすと言われています。

*1 足趾把持力(そくしはじりょく):足の指の握る力。手における「握力」に相当するもの。
*2 重心前方移動能力:身体の重心を前に移動させる力。

しかし、実際の運動場面における浮き指の影響、特に歩行との関係について論じている報告はとても少なく、対処方法も十分に明らかにされていません。

大学生120名のうち約8割が浮き指!?

そこで、私が勤める石川県立大学の学生を対象に「足圧分布測定」および「歩行分析」を行い、浮き指の人とそうでない人とでは「歩き方」にどのような違いがあるか?について調べました。

また、日常生活に草履サンダルを取り入れることで浮き指改善に効果があるのか?についても併せて検証しました。

約4割は指のわずか一部分しか接地していない

まず、足圧分布測定の結果についてです。健常な男女大学生120名を対象に足圧分布測定器を用いて「足底接地面」の評価を行いました。

その結果が以下の通りです。接地している足底の形態を「足蹠(そくせき)」と言いますが、左の足蹠は指がしっかり接地しているのに対して、右の足蹠は足の指が浮いています。

(左)浮き指ではない(右)浮き指

このような「浮き指」傾向の学生がなんと全体の8割を占め、そのうちの4割は指のわずか一部分しか接地していないという結果でした。

浮き指によって「効率よく歩けない」ことも明らかに

次に、歩行分析の結果についてです。歩行分析システム「AYUMI EYE」を用いて、浮き指の人とそうでない人の歩き方の違いを調べました。具体的には、腰にセンサーをつけた状態で学生自らが好ましいと感じている速度で10メートル歩いてもらい、その歩行の様子を分析し得点化しました。

その結果の一例が以下の通りです。「バランス」90点・「リズム」87点に対して「推進力」は60点といった偏りが見られる歩き方と言えますが、実はこれは浮き指の人の測定結果です。

全ての測定データを統計的にまとめた結果、浮き指ではない正常群の推進力の平均得点は71.6点なのに対し、浮き指群の推進力は61.3点という結果となり、両群には約10点の差が認められました。つまり、浮き指の人は歩行時の「推進力」が低いといった特徴があることがわかったのです。

「推進力が低い」というのは、駆動力を効率よく床面に伝達できていないということです。このように、浮き指は歩行にも影響を及ぼしていることが今回の調査で明らかになりました。

浮き指の人は「歩幅が狭い」という特徴も

また、歩幅についても比較してみました。歩幅の標準値は身長の約45%と言われています。今回調査した大学生においては、浮き指ではない人たちの歩幅率は約48%、一方で浮き指の人たちの歩幅率は約43%という結果となり、標準値を挟んで差が認められたのです。

浮き指改善には草履サンダルが効果的!

上述の通り、浮き指は歩き方や歩幅にまで影響を及ぼします。そこで私は、浮き指を改善するための方法として「草履サンダル」が良いのでは?と考え、歩行分析の得点が低かった学生を対象に追加で調査を行いました。

具体的には、草履サンダル「Rebornサンダル」(*1)を渡し、3ヶ月間日常生活に取り入れてもらったのちに、普段履いていた履物で歩行分析を再び行いました。


*1:Rebornサンダル
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「推進力」と「歩幅」が大幅に改善

下記は被験者A(男性)の結果です。草履サンダルを活用する前の歩行測定では総合得点68点でしたが、草履サンダルを3ヶ月間活用した後の総合得点は75点にまで上がっています。特に注目したいのが「推進力」で、60点から70点という大幅アップが見られました。本人は「特に変わった感じはしない」と言っていましたがデータで見てみると確かに「推進力」が高まっているのです。さらには驚くことに「歩幅」は7cmも大きくなっていました!

下記の被験者B(女性)の結果も見てみましょう。草履サンダルを活用する前は総合得点66点でしたが、草履サンダルを3ヶ月間活用した後は72点にまでアップしました。被験者Aと同様、特に「推進力」と「歩幅」が伸びています

歩き方にも変化が!

また、バランスマップでも大きな変化が見られました。バランスマップとは歩き方の傾向や癖をマップ化したもので、色が赤いほどその方向に力が関わる時間が長いことを示しています。下記は被験者Bのバランスマップですが、足の踏み出しの方向や力の加え方が変化していることが分かりますね。

草履サンダルは効果の高い足指トレーニング

では、なぜ草履サンダルを履くと歩き方が変わるのでしょうか?

草履サンダルは一歩ごとに鼻緒を挟んで歩くので、自然と足指で床を踏み込むような歩き方になります。また、鼻緒が支点となり「てこの原理」によって足指による踏み込みがさらに強まることで「推進力」も高まるのです。その結果、骨盤が前に押し出され姿勢が良くなることも期待できますよ。

草履サンダルで30分間活動=約2500回の足指運動

足指運動として上記の「タオルギャザー」がよく紹介されますが、草履サンダルを履いて30分間活動すると、タオルギャザー同様の足指運動が約2500回も行われることになります。しかも体重を支えるという負荷も加わるので、草履サンダルは効果の高い足指トレーニングと言えるでしょう。

実際に市民ランナーの方々に草履サンダルを試してもらったところ、歩き方や姿勢の変化を感じる人が多くいらっしゃいました。

歩き方が変わり、姿勢まで良くなる「草履サンダル」。皆さんもぜひ試してみてはいかがでしょうか?


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