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個人と集団の関係性から考えるチームビルディング〜大学生㊶〜

大学4年生の夏の思い出をもう一つ。

掘り起こせば一つどころかいくつもあるのですが、そんなことをしてたら話が一向に進まないのでもう一つだけご紹介。今回は最後の夏に考えていたことを今の自分の立場で分析してみました。ちょっと小難しい?理屈っぽい?お話です。脱落せずに読んでもらえたら嬉しいです(苦笑)

■個人と集団のウラハラな関係

よく、陸上競技は個人スポーツと言われますが、自分だけで完結するかと言われればちょっと違うんですよね。実際にやらないとなかなか分からない感覚(やるとわかってくる感覚)ですが、僕なりの結論としては「走る」という運動特性に個人スポーツでありながらの集団性が内在してからだと思っていて、ここが走ることの楽しみ方でもあります。

もちろん本質的には走るということは「個人スポーツ」です。最終的な結果は個人の能力次第ですし、個人が努力しなければ能力は引きあがりません。結果もついてこないものですよね。でも、正しい努力の仕方や、苦しいときにグッとこらえて一線を越える方法を、最初からわかっている人なんていません。周りにいる仲間の力をお互いに利用しながら高め合うなかで、自分に対して厳しくする方法を学んでいくものです。

今春、プロのマラソンランナーになった川内くんも、1人で練習している市民ランナーというイメージが世の中的には強いかもしれませんが、彼とて最初から1人で全て何でもできたわけではありません。家族の力、様々な指導者やチームの仲間の関与、そして市民ランナーになってからは彼を慕って一緒に練習する仲間がいたからこそ、あそこまで強くなりました。もちろん彼の努力は計り知れませんが、集団の中で個人を高めるという意味はとても大きいです。

そして、もうひとつ大事だと思っているのは意識の問題。「勝つ集団」に属しているのか、「負ける集団」に属しているのかで個人の意識が大きく変わります。勝つことに慣れていて、それが練習の延長にあるとわかっていると、ギリギリのラインで勝負しているときにねじ込んで勝ちあがるんですよね。教員時代に幾度となくこの「勝つ集団」に後塵を拝してきました。勝ち方を知っているチームが勝ち続けることを、僕は「勝ち癖」と呼んでいます。勝つことを信じて疑わない人は本当に強い。

■教員時代に行った、指導しない指導

大学を卒業して勤め始めた高校は、陸上部が正常に機能していませんでした。試合に行けばビリ争い、どうせ自分たちなんて注目もされてないし、楽しければいいじゃんというような雰囲気がありました。試合の日もみんなで集合することもせず、自分のレースが終われば勝手に帰っていく始末。練習中にトラックを自転車で走り回る子もいて、初めて見たときは、これでいいのか!?と目を丸くしたもんです。元々の顧問もいたので部の方針を全て否定するつもりはありませんでしたが、よく話を聞くと生徒たちがそういう状態を望んでいたわけではなく、「勝てないし勝負にこだわってもおもしろくない、だったら楽しむこと優先しよう」という心理だったようです。

こういう状態って生徒達(個人)だけが悪いわけではなく、この子たちは努力の仕方を知らないだけなんだなんですよね。そう気づいた瞬間に、教員という立場で部活の指導に関わるのをやめ、自分も選手としてチームの中に入るようにしました。幸い大学を卒業して間もない頃だったので、生徒たちに負けることはなかったですし、常に練習では先頭を引っ張りました。自分自身もレースで結果を出そうと思ってトレーニグをつづけ、かすみがうらマラソンで2回優勝。北京、シドニーと海外マラソンに2度招待された実績も生徒たちに見せることができました。

「宮川さんはこんなすごい結果を出してる」
「宮川さんに指導してもらったら、自分たちも勝てるようになるんじゃないか!」

そう思ってもらいたかったし、常に自分の姿を見せ続けました。通勤&帰宅と走って高校まで行き、授業の合間に自分の練習もしていたら、次第に生徒が1人、2人と僕の真似をし始めてチームは少しずつ変化。3年後には負けて涙を流し、悔しがるチームになりました。

卒業後に教え子たちに会うと、当時のことを懐かしく話してくれます。教育ってその場で伝わらないことも多いと思っていますが、卒業してから色々と経験する中で、当時僕が言ったことを理解&解釈してくれれば十分だと思っています。教師って何ともじれったい仕事ですが、そこにやりがいも感じました。

教員時代の話はまた違うステージの話になるので、大学生までの振り返りが終わったらちょこちょこ書いていく予定です。これはこれでまた長いnoteになりそうだな笑

そういえば、最近為末さんもTwitterで個人と集団の話をしていました。ちょうど僕もこのnoteを書くにあたって考えていたことでもあり、非常に納得。

集団の質は個人の質をかなり左右します。めちゃくちゃ大事ですね。それぞれが自立性をきちんと持ち、心身の自己管理がしっかりできてるという「個人要素」と、お互いが刺激し合い相互に引き上げるという「集団要素」が混ざり合うことで、競技力はどんどん高まってくるものです。だからこそ、個人の努力も集団の質も両方大事で、両方のバランスがうまくとれていることがポイントになります。

「個人」だけが尖ってもなかなか結果が出ないですし、かと言って「集団」としての調和を重視すぎるもの問題があります。学生中心でチームを運営するときの最大の課題はここでした。キャプテンとして強いリーダーシップを発揮しないといけないと思いながらも、情が入って争いを避けていたところもありました。未熟でしたね。。。

■武者修行

そんなときにクボタさんが提案してくれたのが「武者修行」でした。つまり、他大学の合宿に混ぜてもらうということ。これまで何度もこの経験はしてきましたが、自分がキャップテンをしているときに、チームのメンバーが別々に行動することの「意味」と「リスク」を改めて考えました。

個人の成長はもちろん大事です。というか絶対に必要。だけど、チームのメンバーがバラバラになる時間が多くなれば、集団としての力が弱くなってしまうんじゃないかと考えました。でも、結果的には「個人」を伸ばすことを優先。そもそも「一皮」とか「二皮」といったレベルではなく、「十皮」くらい剥けなきゃいけない状況でだったので、悩んでいること自体ナンセンスだったのですけどね。

走力と相性を考慮して僕も含めたメンバーがいくつかのグループに分かれて他大学の合宿に混ぜてもらいました。どの大学も箱根駅伝に向けて大事な夏の時期だったはずなのに、快く受け入れてくれたは本当にありがたかったです。

僕は黒姫高原で合宿をしている中央学院大学に混ぜてもらいました。箱根駅伝では目立たないながらも、毎年確実に結果を残し、高校時代に実績のなかった選手もこのチームでしっかり伸びてます。まさに自分たちが目標にすべきチーム像がそこにあって、ドキドキしながらチームに合流させてもらいました。

一言でいえば非常に良いチームでした。想像していたよりもはるかにいいチーム。これが箱根に出ているチームとウチの違いかと正直なところ愕然としました。チームは箱根駅伝で戦うイメージの中で合宿を過ごしていましたし、その場に”いるだけ”の選手なんていなかったんですよね。それぞれが自分のやるべきことがはっきり分かっていて、この合宿を乗り越えると強くなるということを経験上分かっていたようでした。

どの練習も緊張感があってハードでしたが、特に象徴的だった練習は47km走でした。野尻湖を3周+αするのですが、もし集団から遅れたら翌日にやり直すというもので、合宿の定番メニューだったようです。合宿中は30km走、35km走なども複数回実施していて、その時はペースについていけない選手が何人かいました。でも、その47km走だけは絶対に遅れられないという緊張感が漂っていて、すごかったです。結果的に誰1人遅れることなく全員ゴール。前日までの練習で集団から遅れていた選手もしっかり着いていました。(ちなみに、やり直し47km走は脅しではなく、過去には何度か2日連続で野尻湖を3周した選手がいたようです)

合宿が全て終わり、監督にお礼を言って帰ろうとした時に監督からこう言われました。

「俺たちのチームも一生懸命頑張ってるけど、君たちみたいに動いてないんだよね」
「練習以外の時間ってうちのチームの選手は寝てばかり」
「確かにからだを休めることって大事だけど、君たちみたいにパソコンを出して勉強したり読書したりする子ってまだ少ないんだよ」
「そういう姿をウチの選手に見せてくれて、逆にありがとう」

実は合宿中も卒論のデータをとったり、練習メニューをパソコンに記録したり、色々していました。あまり意識していませんでしたが、自分のチームの選手がやらないことは新鮮に映ったんでしょうね。集団を常にアップデートさせておくという意識があったのかもしれません。どんなに優れた集団でも変化が起こらない「維持局面」になると、いつのまにか慣れあいの集団になりかねません。気づいた時にはガタガタと崩れてしまっているなんてことは、スポーツのみならず、ビジネスの場においても珍しい現象ではないですよね。

劇団四季の稽古場には「慣れだれ崩れ=去れ」という言葉が飾られているようなのですが、まさに良質の集団を維持するためには常にその一瞬を大切にする気持ちや緊張感が大事なんだと思います。そういうことを中央学院大の監督は分かっていたんでしょうね。

■最後の夏を終えて

最後の年は振り返れば一瞬でした。いろんなことを考えたし、実際に動いたつもりでした。ただ、それがどれだけ形になるかは手探りでしかなく、夏休みが明けて9月に入った瞬間に、残された日々を改めて考え身震いしたのを覚えています。

最後の箱根駅伝予選会。今の自分たちの実力と目標との差がどれだけあるかは見て見ぬようにしていました。そんな中で後輩たちに「今年こそ予選会突破!」と言って鼓舞し続ける僕の言葉に、不安や疑いもあったでしょう。歴代のキャプテンが言い続けてきた言葉の行間にどんな意味があったのかを改めて感じました。

いよいよ予選会まであと2ヶ月。正念場を迎えます。

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最後までお読みいただきありがとうございます。これからも自分の想いを文字に変えて行きたいと思います。

Thank you!!
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Miyakawa Kota

株式会社ウィルフォワードアスリート代表。筑波大学体育専門学群卒/元高校教師/柔道整復師/日本陸連A級トレーナー。ランナーのための情報メディア「RUNNING CLINIC」を発信中〜https://runningclinic.jp/

My LIFE1.0〜学生時代

走ることが自分の価値観や人生観の基礎を作ってくれました。僕が陸上競技を通して養ってきた想いを綴ったマガジンです。
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