学連選抜チームの難しさと厳しさ〜大学生㉕〜

予選会が終わると、4年生は引退。

毎年この時期は、負けた悔しさ、先輩たちがいなくなっていく寂しさ、新しいチームが始まる期待、などが入り混じった複雑な気持ちになります。しかし、この年はちょっと様子が違っていました。本戦に出られなかった大学の中から各校上位1〜2名が学連選抜チームを作るのですが、それにソーメーさんが選ばれ、箱根駅伝を走るチャンスが与えられたからです。ソーメーさんは予選会が終わってからもずっと強い緊張感と厳しさを持ち続けて走っていました。

僕とソーメーさんの差はわずかに2秒。おそらく、実力差ではなく、気持ちの差だったでしょう。上級生になってから厳しさを常に持ち続け、仲間にも求め続けてきたソーメーさんと、二年生という立場で甘えもあった僕では、力は拮抗していてもタイムにして「2秒差」という形で結果に現れてしまいました。

「箱根を走るチャンス」という書き方をしましたが、選抜チームに選ばれてからも登録メンバーを決める「第一のチーム内選考」と、当日走る選手を決める「第二のチーム内選考」があるため、選ばれて良かったね!では終わりません。そこから本戦まで様々な戦いが待っていて、厳しさはどんどん増します。選手を選ぶ監督さんも常に選手のことを見ているわけではないので、選考会でのタイムが一番の判断基準になります。普段の練習を見て、「こいつは駅伝を走らせると強い!」という判断基準が持てない分、メンバーを決める選考レースには異様な緊張感が流れていました。

箱根駅伝常連校であれば、チーム内でのメンバー選考なんて日常茶飯事。決して珍しい話ではありません。でも、僕たちは箱根から11年(当時)も離れたチームで、そういう常に揉まれる厳しさには慣れていませんでした。体験できないというのは本当に不利なことですね。自分にも他人にもあんなに厳しさを求めていたソーメーさんですら、これから始まる振り落としの厳しさを本当に意味で理解できていなかったような気がしています。

■学連選抜チーム

前年に選抜チームに選ばれた鐘ヶ江さんは坂にとにかく強かったので、坂要員として選抜チームに選ばれていました。「5区は鐘ヶ江!」というチーム内の共通認識があったため、厳しいチーム内選考で苦しんでいた印象はあまりなかったです。

当時僕は1年生だったので、物事の深いところまで見えてなかったのかもしれませんが、箱根駅伝を目指してチームを引っ張ってきた上級生のプレッシャーから解放されてた鐘ヶ江さんはのびのびと走っていたような印象を受けていました。まぁ、僕の主観なので、鐘ヶ江さんに当時のことを聞いてみないとわからないですけどね。。。

そして、箱根駅伝の歴史に名前を刻んだのは既出の内容です。

それに対してソーメーさんは坂要員でもなければ圧倒的なタイムを出したわけでもない選手で、チーム内順位は10位前後。走れるかどうかは非常に微妙で、ちょっとの失敗も許されない状況でした。ただ、この1年間のソーメーさんは本当に強かったですし、決して他大学の選手に引けをとらなかったです。ソーメーさん自身も走ることがチームに与える影響を重く考えていて、「学連選抜チーム」としてであっても箱根に誰かしら出続けることに大きな意味があると思っていたでしょうね。

しかし、それまでチームに喝を入れっぱなしだったソーメーさんが、選抜チームでは一転してメンバー争いをする立場になります。ずっと自分の事に集中していたソーメーさんが周りを意識し始めました。今思えば、これが歯車を少しずつ狂わせていたんだと思います。


この年から「記録挑戦競技会」という名前で 12月上旬に10000mの記録会が始まりました。この競技会は参加標準タイムをクリアしていれば誰でも出ることができ、文字通り“皆で記録に挑戦する競技会”です。学連選抜チームにとってはここが大事な選考レースになっていました。

僕もこの競技会にはでましたが、予選会が終わった後の大事な再スタートの大会であると同時に、選考会を控えているソーメーさんに弾みをつけたいなとも思っていました。自分がうまく走ることができればソーメーさんにも勢いがつく!一緒に練習してきましたから、僕のタイムがソーメーさんにとってのモノサシになるんですよね。結果は自己ベスト。タイムに物足りなさはあったものの、しっかり「タスキは渡せた」と思います。

次はソーメーさんの番!そう思い、レースを見守りましたが、いつもの走りじゃないのは早々にみて取れました。緊張してるんだろうな。。。後輩でもわかるような動きの違和感は不安になり、やがてそれが的中してしまいました。気づけば少しずつ集団から遅れて失速。表情をほとんど変えないソーメーさんでしたが、流石に苦しそうに見えました。きっとそれは体の苦しさというだけでなく、心の苦しさもあったでしょう。一年間ずっと気を張ってチームを鼓舞し続けたソーメーさんが見せた弱気の顔は今でもよく覚えています。

■学連選抜チームの難しさと厳しさ

学連選抜チームに関する突っ込んだ考察は改めたいと思います。書くとすごいボリュームになりますし、ここで書く内容じゃないなと感じているので。

ただ、こうして当時を振り返ると、箱根駅伝予選会、チーム内選考会を経て箱根駅伝当日を迎えるスケジュールは過酷を極めていました。2ヶ月ちょっとの間にピークを3〜4回持ってくるというのは、普通に考えるとかなり無謀です。チームの中のことであれば監督やコーチがブレーキをかけられるのですが、チームを越えた選抜チームとあれば、そんな風に目が届くことはなかなかありません。

箱根駅伝は本当にいろいろなドラマがあります。表に出るのは氷山の一角、ほんのちょっとです。表に出ないもののなかにもリアルで人間臭くて、心を揺さぶられるものはたくさんあります。

そんな学連選抜チームを題材にした小説もあるので、ご興味がある方には是非オススメします。(アフィリエイトじゃありませんよー)


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Miyakawa Kota

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コメント1件

「箱根駅伝は本当にいろいろなドラマがあります。表に出るのは氷山の一角」そうなのでしょうね。日テレの特番も、いろんな番組で、繰り返し同じ内容が伝えられます。他の「いろいろなドラマ」の方も見たいです。
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