#14「私は三宅さんにはなれません」フラット型組織になれるか!?〜デイサービスの挑戦〜

皆さんは、会社やコミュニティの中において、
上司や先輩とどのようにコミュニケーションを取っていますか?

「私は三宅さんにはなれません」

一年ほど前のこと、
僕の大好きな後輩が、
声を震わせながらこう言いました。

仕事が好きで、いつもキラキラしながら働いてくれている彼女。

そんな彼女にこう言わせてしまった
大切な過去について書こうと思います。

救世主としての存在

以前書いた内容でもあります。


2年前。

離職率が高く、チーム体制もぐちゃぐちゃ。
音信不通のスタッフもいる。

"このまま営業は続けられない"

そんな状況の時。

キラキラと目を輝かせながら入社してくれたのが、今回の主人公。

前職(新卒入社)をひと月で辞め、
介護の仕事に希望を持って入社してくれました。

とはいっても、
そんな大型新人を育成するほどの余裕もない状況。

ありがたいけど、
宝の持ち腐れにならないかと、
内心はドキドキしながらの採用でした。

まともな研修もなく、
いきなり現場配属。

前職を辞めた理由は、"無理な現場配置"と語っていた彼女。

"同じだーーーー!!"
と心の中で叫んでいました。

でも、そんな心配をよそに、順調に仕事を覚え、楽しそうに働いてくれていました。

苦しい状況での無茶振りも、
『大丈夫です!』
と、いつも笑顔。

神さまか?
天使か?

ありがたいやら、泣けてくるやら。

彼女はまさに、僕のチームの"救世主"でした。

影響力と成長

そんな彼女の活躍もあり、
その年の年末には、チーム始まって以来の大量雇用。

シフト配置も順調に整い、
少しは彼女に恩返しが出来たかな?
とホッとしました。

この頃から、彼女の仕事内容に変化が出てきました。

今までの半年間は、いわゆる"介護職"として、入浴介助をメインに、週2回のペースで送迎の業務も任せていました。

彼女の仕事のクオリティもさることながら、
彼女の"考え方"から溢れる"姿勢"を入社当初から僕たちだけでなく、
利用者さんやそのご家族、電話対応させて頂いただけのケアマネージャーさんまでもが「高く評価」していました。

そこで、新たに役割を任せました。

”生活相談員”

簡単にいうと、デイサービス における
利用者さんのアセスメント・計画・モニタリングなどを包括的に担うものです。

大きな施設では”事務員さん”的な役割を任せられることが多い職種です。

ただ、僕のチームでいうと、”生活相談員”の役割は少し違います。

チームに”影響させる”存在。
みんなが”頼る存在”。
施設に”責任を持つ存在”。

そんな存在です。

なので、彼女を生活相談員にする際も、担当役員とかなり話を揉みました。
(基本任せてもらっていますが、「会社としての姿勢」をモロに体現する存在なので。)

割とあっさり決まりましたがw

彼女が今後のチームの命運を握る。

そんな風に思っていたかもしれません。

そんな彼女も、自分の役割や影響力をしっかりと認識し、
”成長”してくれました。

手探りのリーダー育成は序盤に転んだ。

彼女を次世代のリーダーにする!

当時の僕はそう息巻いていました。

リーダーにしなければならない!
とさえ思っていたかもしれません。

生活相談員としての業務はもちろん、
僕の活動している外部団体や研修など、
面談と称して、僕の考えをひたすら彼女にぶつけていました。

”ああ、彼女は成長している”

”僕はもう現場を気にせず、新しいことに邁進できる”

僕の日々は充実感に溢れていました。

でも

ある日

突然に

崩れていきました。

それが冒頭の言葉です。

いつものように、
”ああして、こうして。これいいよね!”
”〇〇(彼女こと)もさ、こうしようぜ!”

・・・

もう半年以上も一緒にいるんです。
顔を見ればわかります。

・・・

「私は三宅さんにはなれません」

”えっ・・”

「私は、ここでの仕事が好きです。」
「今は事務も任せてもらっていますが、入浴介助も大好きです。」
「送迎もできるようになってきて、楽しいって感じる時が増えました。」
「ずっとここで働きたいって思ってます。」
「でも私は、なんか、未来とか、繋がりを持ってとか。わかんないんです。」
「業務時間外も一生懸命、仕事のこととか考えるの。わかんないんです。」
「わかんないっていうか、できないっていうか、やりたくないっていうか、」
「やりたいことではないんです。」
「やりたいのは、その、”入浴(介助)”とか、”送迎”とか。」
「皆さん(利用者さん)と楽しく話したり、」
「スタッフのみんなとももちろん仲良く・・(したくて)。」

後悔と懺悔と悔しさと申し訳なさと。

今でも、あの時の彼女の顔は忘れられません。

いつも笑顔で、キラキラしていて、

少しの”毒”も見せてくれるようになって、

僕らを信頼してくれていて。

そんな彼女の、

悲しさや

寂しさや

少しの怒りや

複雑に絡み合った表情。

それは、彼女の心を鏡としているようでした。

なんで、彼女がここまでになるまで気がつかなかったのか。

おそらく自分以上最も愚かな数ヶ月間でした。

声を震わせて、

多分僕を傷つけないように、

慎重に言葉を選んで。

いきなり退職届を出せばいいし、
友達に電話して悪口を言えばいい、
(仲のいい)役員にチクればいい。

選択肢はたくさんあったはずです。

でも彼女は、
「僕に直接伝える」
ことを選びました。

なんで直接言おうと思ったのか?

今度機会を作って聞いてみようと思います。

でも、こんな愚かな僕に、
そうしてくれた。

”絶対に幸せにしなければけない”

”彼女を幸せにできないなら、仕事を辞める”

当時、お酒を飲むと口癖のように言っていました。

彼女は彼女であるから、一緒に働きたい

どこでボタンを掛け違えたのか?

僕は一生懸命。
彼女も一生懸命。

目的だって、同じ。

「スタッフ、利用者さん、ご家族、みんな幸せである」

でも、僕は、
【自分の価値観】
で彼女を成長させようとしていた。

彼女は成長したくないわけではない。

彼女は、
【自分の価値観】
で成長しようとしていた。

ただそれだけでした。

半年前、なぜ彼女と一緒に働きたいと思ったのか?

それは、

「彼女だから」

僕たちは、「彼女らしさ」に惚れたのです。

やりたいことをキラキラしながら言っている。
彼女ほどのバイタリティがあれば、もっと給料が高くて、目立つ仕事だってできるだろう。

でも彼女は、”僕たち”を選んだ。

それ以上でも、それ以下でもない。

彼女だから一緒に働きたいと思ったのです。

幸せにしたいと思ったのです。


========


あれから一年。

彼女は、チームの大黒柱です。

辞めるどころか、チームのためにいつも頑張っています。


先日、恒例のサシ飲みをした時、こんなことを聞きました。

「辞めないの?」

彼女はキョトンとした顔で、

「辞めるつもりはないですけどね〜」
「続けさせてもらえるなら」
「えっ、いいんですよね?w」

2年前、初めて会った時の表情と似て見えたのは、
僕が少しばかりハイボールを飲み過ぎたせいでしょうか。

彼女は、そう言うと、
手元の薄くなったカシスソーダを一口飲みました。


※彼女との関わり方がどう変化し、実践したのか。
についてはまた今度。



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