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【知覧特攻平和会館】に行ってきた。③

友人と訪れた鹿児島旅行。
一番行きたかった「知覧特攻平和会館」で、自分のキャパをはるかに超える「事実」を受け取ってしまいました。
歴史と命の複雑性の狭間で、激しく揺さぶられるような感覚でした。

展示物や、特攻隊員の顔写真を見ていると、今まで感じたことのないような感覚ばかりで、人間としての自分の在り様を改めて考えることとなりました。


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涙が出ないくらいに


僕たちと年齢も近く(17歳〜20代後半)、顔立ちもまだまだ幼さの残る特攻隊員のみなさん、一人一人の顔写真を拝見しました。

「こんな若いのに・・」

そんな言葉が頭の中に巡ってきたのですが、

不思議と悲しみや寂しさといった感情が湧いてきませんでした。


自分の感情の器をはるかに上回るほどのものが押し寄せてくるようで、恐怖すら感じました。

特攻に行く・実行することに対してどのような思いがあったのか?
あるいは、特攻自体の是非など関係なく実行したのか?
正しいと思っていたのか?

もう、想像することすらできません。

顔写真と、遺品と、手紙と、語り部(元女学生などが当時の様子などを語ってくれる)からの情報で、当事者のご本人たちの心の機微を推し量ることはできません。

その時もしかすると、僕は、目の前の事実に対して、「人間の命」とは切り離された感情だったのかもしれません。
歴史の一部としての特攻として捉えていたに過ぎなかったのかもしれません。

自分の感情や気持ちを言葉にできない歯痒さも感じながら、展示会場の中央に構えている戦闘機を見上げました。

当時の隊員は、何を感じ、何を思って僕と同じ場所に立っていたんだろう。


会場を後にする直前、奥においてある大学ノートを見つけました。
その中には、会場を訪れた人たちが、自分の想いを書き込んでいました。

・今平和であることに感謝します。
・次の世代は僕たちが作ります。
・感動しました。

などなど。来訪者の想いが大学ノートと鉛の匂いで伝わってきます。


僕もそこに書き込みました。

内容はここでは書きませんが、
書いた後、そっとノートを閉じ、手を合わせました。

時間と空間を超えて、この想いが伝わってほしい。

そう思ったのかもしれません。



ビデオ会議が嬉しい


知覧特攻平和会館を後にした僕は、友人を近くのカフェに残し、車に戻りました。
社内会議にビデオ参加するためです。
(※ブラックとか言わないでねw無理言って繋いでもらったくらい出たい会議だったので)

社長、先輩、同僚が参加していた会議は30分ほどで終了しましたが、
とても大きな幸福感に包まれました。

平和会館の中で、時空を超えて多くの事実を知り、体感しました。
今ビデオの向こう側には、自分と想いを共にしている仲間がいます。

あの日、遠く離れた自分の母親にすら、自分の想いを伝えることができなかった特攻隊員の皆さん。

パソコンを通して、自分の好きな仲間と、お互いの想いを交わすことができる、そんな幸福感を感じずにはいられませんでした。

自分の想いを伝えたかったことでしょう。
一目でいいから、自分の愛する人の姿を、命果てるまで目に焼き付けたかったことでしょう。
そんな想いを、現代に生きる僕たちも”共にしながら”生きていきたいを思いました。



次は、僕たちが語り部に。


戦争経験者の数は、日々減っています。

僕が衝撃を受けた15年前からどれくらい変化したのでしょうか。

語り部と言われる人たちの数も減っています。

今年の夏で終戦から74年が経ちます。

当時10歳だったとしても84歳以上。
当時20歳以上だったとしたら94歳以上です。
ちなみにうちのデイサービスの利用者さんのうち、94歳以上の方は10人以下です。
ご自分の言葉で話せる方となると、5人くらいになるでしょうか。


戦争は、もはや”悲しい過去”から、”日本の歴史”へと転換されてきています。

このnoteを読んでくださっている方の中で、10人以上から戦争体験を聞いたことがある人は何人いるでしょうか?


次の時代への語り部となるのは僕たちです。
実体験があるわけではないですが、
経験談を聞くことができる最後の世代です。
僕たちが、話を聞き、どう感じ、どのような未来を作っていきたいのかを次世代につなぐ、最後のチャンスです。


歴史じゃないんです。

ほんの数十年前の、頭のいい大人たちが、自ら戦争をする選択をし、
僕たちと年齢も変わらない、多くの若い命が無残に絶たれた「事実」です。


戦争を二度としない。


そんなことは当たり前です。
そうではなくて、今の自分たちの目の前にある幸せと、当時の方々の心の機微を感じ、自分たちはどう生きるのか?未来をどう作るのか?


行動するのは、今しかありません。


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終わり。



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