#28 当たり前が強みになる フラット型組織になれるか!?〜デイサービスの挑戦〜
先日、デイサービスの利用契約に伺ったときの話。
通常、デイサービスの契約は、"民間契約"と位置付けられているため、
介護保険上の会議とは別に、きちんと契約書を用いての契約が必要になります。
ご本人(実際に利用される方)、ご家族、担当ケアマネージャー、弊社、その他サービス事業者(ヘルパー、福祉用具、訪問看護など)
がご本人様宅に集まり、
ケアの方針から細かいケア内容までを話し合い、計画を作ります。
その話し合いのあと、
個別に各事業者との契約をし、サービスがスタートします。
今回のnoteは、僕が新規契約に訪れた際に体験したお話になります。
背景
・利用者さん:
男性、90代、耳が聞こえづらい以外は元気!、最近年齢とともに認知機能等が低下しつつある。
・ご家族:
奥様は、がっつり介護状態。
娘様、優しい、お父さん想い。
・担当ケアマネージャーさん:
女性、信頼のおける方、仕事がかなり丁寧、明るく元気!
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事前のご見学
2週間ほど前に施設見学をしていただきました。
僕たちが実際にご自宅までお迎えに上がり、送迎をしました。
施設の説明や、実際ご利用頂くスペースをくまなく見ていただきました。
施設内での説明の際、娘さんはとても熱心にお話を聞いてくださっていました。
一方、ご本人様は、耳が聞こえづらいことと、初めての場所で緊張されている様子で、
こちらの話もあまり耳を傾けず、
『まあ、ウチに帰って、考えます。』とおっしゃっていました。
"うーん、この反応だったら、ご利用は難しいかもな〜〜"
と思いつつも、見学終了。。
案の定、見学後の連絡はしばらくなく、
(通常なら3日以内とかに担当ケアマネージャーさんから連絡が来て、具体的な契約日程やら会議の内容やらの報告が来る)
"でも、まあ見学してもらって、ならしょうがない!"
と思っていました。
青天の霹靂〜まさかの契約!?〜
ところが、10日過ぎたあたりに連絡をもらい、
"利用したいそうです!"との報告を受けました。
"娘さんが説得したのかなあ。ご本人はどう思っているんだろう"
と内心少し不安でした。
契約当日。
外出やミーティングの合間に、自転車でご自宅に向かいました。
"相変わらずスゲー家だなあ"
江東区内の比較的閑静な住宅街の中でも、特別に目立つマンション。
見学でお迎えに上がった時は、完全にホテルだと思ってしまいました。
インターホンを押し、エントランスに入ると、広々としていて、フカフカなソファーが出迎えてくれました。
中層階に位置するお部屋のインターホンを押すと、娘さんがにこやかに出迎えてくださいました。
中に入ると、
綺麗に整頓されたお部屋、玄関に入ってすぐのところには、来客用の上着かけとスリッパが置いてありました。
"東京ってスゲーなー"
上京して四年も経つのに、田舎者の感覚が全然抜けない僕は、珍しく少し緊張してしまいました笑
リビングには、ご本人と娘さん、担当ケアマネージャーさんが座っておられました。
会議は進み、ウチのデイサービスの話題に、
『あのー、ね、ご見学されて、よかったですか?』
とケアマネージャーさんがご本人に聞くと、
急に大きな声で、
『あのねー!今ね!私はほかのね、ところ(施設やデイサービス)にも行ってるんだけどね!!』
"こわい、、笑"
『こちら様が一番良かったんだよ!!』
”え、あ、は、はぁぁ????!!!!?!??!?”
『一番ね、中の雰囲気もいいし、お客さんもいいし、スタッフさんもよかったんだよ!』
僕も、ケアマネージャーさんも、娘さんも、
ご本人のあまりの気迫に、引いてしまいましたw
「何かしてくださったんですか?」
とケアマネージャーさん。
ーいいえ、特には。他のお客様と同じように対応させていただきました。
すると、娘さんが、
「確かに、私も他の施設の見学に一緒に行ったことがあるけど、こちらはとてもご丁寧に対応していただきましたよ。コーヒーも美味しかったし。」
自分たちの常識≠世の中の常識
さらに、続けて娘さんが、
「うちの父、かなりワガママなので、できないことはできない!って言ってやってくださいね!」
ー例えばどんなことがあるんですか?
「お風呂でもなんでも、”ここにこれがないとダメ”、”ここはこうしろ!”ってうるさいんです。よそ様には多少気は遣えますが、心配で・・・」
ーそうですね〜
例えば、ここから洗って欲しいだとか、温度はこれくらいだとかっていうご希望は割と皆様お持ちで、スタッフ同士で独自の情報共有の仕組みがありますので、そのくらいでしたら対応可能かと思いますが・・・。
「えっ!すごくないですか!?」
話に割って入ったのはケアマネージャーさんでした。
「娘さん、こちらは、すごいですよ!」
「普通、こんな対応してくれないですよ。」
「本当に頭が下がります。同業者として恥ずかしいです。」
するとご本人様が少しニヤッとして、
「そうでしょう。いいと思ったんですよ。」
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お話したことは事実で、
それは別に僕や管理者が”こうしろ!”と言ったわけではなく、
(むしろ、”大変だから、あまり個別性を持たせすぎなくてもいいよ”と言っていたくらいです)
スタッフとの話し合いの中で、
「こうしたい!」
と希望が上がったんです。
それなら、やらない選択はないです。
しかも、情報共有の仕組みも、LINEやクラウドを上手く使ったものになっていて、スタッフ全員が均一に情報の最大公約数を掴めるものになっています。
もちろん、作ってくれたスタッフやみんなには、僕も頭が上がりません。
作るだけでなく、愚直に継続し、ブラッシュアップされています。
でも、これは、うちのチームにとっては、
「当たり前」のことになってきています。
”私たちって特別にすごいことしてるよね〜”とはおそらく誰も思っていないと思います。
”こうした方がいい感じする”
”こうしたい”
といった前向きなエネルギーによって、仕組み化されています。
しかし、
このケアマネージャーさんの反応を見て、
”この取り組みは、【強み】になっているんだ!”
と認識することができました。
頑張ってくれているけど、
普通の施設ならやってる、と思っていたことが、
そうではない、
強みなんだ!
と思いました。
【当たり前が強みになる】
他にももっとありそうだ!
ワクワクしてきました!
今日はここまで!!!
シニアの方々が、主体的に・楽しく生活し続けられるよう、頑張ります!少しでもご協力頂けると幸いです。