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#32 【目の前の”トリートメント”】 フラット型組織になれるか!?〜デイサービスの挑戦〜

他社さんの新人研修をさせて頂いているのですが、その中のコンテンツで【ワークショップ】をやっています。

今日は、そのワークショップの中で紹介した事例について書きたいと思います。


気づき


僕のチームのメンバーである"はっしー"。
いつも笑顔で、楽しそうにしていて、真面目で素直な、"普通の"女の子です。

そんな、はっしーから、チームのグループLINEに、こんなものが飛んできました。

「〇〇さんとか、〇〇さんとか、髪の毛がキシキシしてるので、入浴介助の際にトリートメントをしたいんですが、どうでしょうか?」

「私明日買ってこようかと思うんですが、いいですか??」

すぐにみんな反応してくれました。

まあ、なんてことないことのようですが、
もし、決断を妨げるものがあるとすれば、

・トリートメントをすることによって起きる効果
・実施に関わる費用
・実施に関わる工数

があると思います。

当時のチームは、売上は低迷し、人員不足も深刻化し、
「プラスアルファ」であるトリートメント実施は、”はいどうぞ!”と二つ返事で決断できるものではないという事情もありました。

ただ、僕らメンバーは、その”二つ返事”をしました。

なぜなら、「はっしーが言ったことだから」です。

きっと、想いがあるのだろう。
採算や経営状態をよく知ってくれているし、それでもやりたいなら、やって欲しい。みんなでやりたい!

僕だけじゃなく、みんなそう思っていたでしょう。

トリートメントなんて、正直「誰でも思いつ」きます。
「誰でもでき」ます。
ドラッグストアで買うだけなので、10分あれば、できます。

しかし、重要なのは、その「誰でもできる当たり前のこと」を、「誰もやっていない」ということです。

お金もかかるし、やること(業務)増えるし、それで売上が上がるかは不透明(に見える)だし。

それに、はっしーは「気づき」、「実践」したのです。

小さな一歩のようでも、
実は僕たちチームにとっては、明暗を分ける(かもしれない)大きな決断でした。


目の前の小さな現実が変わる


はっしーの想いと行動は、すぐに現実を変えました。

髪の毛がキシキシして困っていたおばあちゃんは、とても嬉しそうに「とっても気持ちよかったわ!!」と言い、
横に座っている他のおばあちゃんに「あなたもやってもらいなさいよ!」と勧めていました。

利用者さんの間ではたちまち話題の中心になり、さらには、男性の利用者さんまで「男もやってもらえるのか?」と嬉しそうにおっしゃっていました。

もちろんその男性利用者さんにもトリートメントを実施し、「人生初」のトリートメントにウキウキしていました。


スタッフはというと、
利用者さんの嬉しそうな顔を見て、さらに楽しくなり、なぜか以前よりも楽しそうに見えます。

やること(業務量)が増えたのになんでだろう?

ふと、そんな疑問が浮かびました。


ある日、スタッフさん同士が話している声が耳に入ってきました。

”トリートメント、こういうふうにすると、早いし、馴染みやすいよ!”
”なるほど!そうすれば、その間にご自分で体を洗ってもらって・・・”


そういうことか。。。

選択肢が増えた(トリートメントができる)ことによって、
「楽しみ」「考えること」が増えているんだ!

手間が増えると思っていたことは、実は、メンバーの可能性を広げてくれたり、楽しみを増やしてくれたりする道具だったのか!
と気づきました。


はっしーの小さく、大きな「気づき」は、目の前で一緒に働いている仲間の「現実」を変えたのです。


そして、大きな現実は変わる


変わったのは、「目の前の仲間」だけではありません。

はっしーの気づきと行動により、メンバー全員の士気が高まり、チームの雰囲気も良くなりました。

いろんな提案や、個々の実践が、自然発生的に出てくるようになりました。

チームの雰囲気が良くなれば、利用者さんや関係者(家族、ケアマネさん)にも良い影響が出てきます。

「すごい楽しいし、なんか、髪の毛が綺麗?になるんでしょ?w」

そんなお声もいただくようになりました。


すると、

あんなに低迷していた売上が、みるみるうちに上昇してきました。

希望観測的に立てていた計画の数字もはるかに越えて、とんでもない勢いで成長して行きました。


さらに、メンバーの士気が上がったことにより、採用も成功し、
(メンバーが面接や面談に積極的に参加してくれるようになったり)
入ってきてくれた新人さんも、他のスタッフと「同じ温度感」で頑張ってくれるようになりました。


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はっしーの、ほんの小さな”揺らぎ”が、小さな範囲で”大きく”なり、

やがて、僕らの手の中を飛び出し、

大きな渦になっていきました。


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「目の前の現実を変える」


その言葉の意味が、わかった気がしました。




終わり。





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