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《ひと》みやっこベーススタッフ 坂本 紗綾

インタビュアーの中村です。

みやっこベースに携わる方々をご紹介する連載企画《ひと》。第16回目は、2023年5月にみやっこベースに入社された坂本紗綾(さかもと さあや)さんに、活動を初めて約半年経った今の思いなどをお聞きしました。

現在のお仕事について


ーー現在はどんなお仕事をしているのかを教えてください。

私が今担当してるのは、まず、みやっこハウスの運営です。
みやっこハウスが開いている時間に来た方の対応をしています。
そのほかは、主にみやっこハウスの毎月のイベントの企画、あとは地域活動部というボランティアサークルの取りまとめをしています。

ーー企画もやっているんですね。

みやっこハウスを知ってもらえる、来てもらえるきっかけを作りたいので、毎月のイベントには力を入れています。
9月からは「みやパル」と「みやこ大人図鑑」を月1で開催しています。

「みやこ大人図鑑」については、どんな大人がいるのか、どんな人生を歩んでいけばいいのかを考える、知るきっかけになればと思って始めました。
高校卒業した後って、この先どうするかを自分で選ばなければいけないので、高校生にはぜひ聞いて欲しいですし、大人になってから話を聞いていても、面白いなぁと思います。
「みやこ大人図鑑〜十人十色の人生史〜」としてnoteにも書いています。

みやパル&みやこ大人図鑑の記事はこちら☟

高校生との交流について


ーーお仕事をしていると高校生と交流することが多いと思うのですが、実際に話したりしてみて、どんなことを思いますか?

高校生とは、やりたいことについて一緒に考える機会がたくさんあります。自分が高校生だったときは、そこまで他の人のことを考える余裕もなかったので、すごいなって刺激を受けます。

私はこれまで、主に接客業をしていました。みやっこベースに入ってからはパソコンやお客さんへの対応など、新しいことにどんどんチャレンジしないといけなくて。チャレンジするときって、やっぱり怖くなったり「自分にできるかな」と不安になるときがあるんです。でも、前向きに頑張ろうとしている高校生たちをみていると、その人たちを応援するために自分も成長しなければ、と感じます。

単なるボランティアで終わらせない「地域活動部」


ーー地域活動部はどんな活動をしているのですか?

今年の6月に本格的に第1期生として活動が始まりましたが、去年から0期として仮始動はしていました。去年の秋、お祭りのボランティアを募集したら高校生が20人ぐらい来たらしくて、地域活動に興味のある高校生、「ボランティアしたい」という高校生は結構いるんだな、ということで、今年から本格始動することになりました。

みやこ秋まつりの子供広場の様子

ーー色々イベントを開催しているので、ボランティアの機会もたくさんあっていいですね。

そうですね。地域などの学校外の人との繋がりって、いろんな関わり方があると思っていて。
例えば、この地域活動部の活動で言うと、就労継続支援事業所の動画制作や障がい者支援の軽運動交流、市内のイベントも結構あるのでそのお手伝いをしてもらったりとか。
最近は地域の方々から「高校生にボランティアに来てほしい」という声が届くようになったので、その都度募集しています。

小学生対象の自然体験クラブ「みやっこネイチャークラブ」の様子
地域活動部の高校生がサポートしてくれました。

ーー宮古市自体も活発で、たくさんイベントやお祭りがありますよね。

イベントが重なってしまうこともあるので、参加者の確保が難しくて。お知らせだけでなく、直接声をかけて連絡しています。これから改善していきたいところです。

11月19日(日)にはイーストピアみやこで「みやこ和来輪来(わくわく)まつり」が行われ、地域活動部の高校生にもお手伝いしてもらいました。福祉関係の仕事に興味のある方だったので、ちょっとでも福祉のイメージがつかめていたらいいなと思っています。

みやこ和来輪来まつりで
車イス体験をしている地域活動部の高校生。
この後、来場者の車イス体験をお手伝いしました。

ーー実際に体験してみることって大事ですよね。

この地域活動部は「何かに挑戦したい」「居場所が欲しい」「人の役に立ちたい」という人に向けてやっているので、ボランティアをするだけで終わらないようにしたいですね。
どうしても学生の多くは、家と学校の往復だけになりがちだと思います。でも「みやっこベースに出会って、自分にできることを見つけて、居場所を見つけた」という人もいるので、この地域活動部を通して「自分の輝ける場所ってどこなんだろう」と探してもらえたらいいなと思っています。
だからこそ、色々な分野の活動をお知らせして、興味があるものに参加してもらうという形をとっています。
先日は、「横山八幡宮の神輿担ぎをやってみませんか」というお知らせがあり、「部活をしていないので体力作りをしたい」という高校生にも参加してもらいました。

「サードプレイス」としてのみやっこハウス


ーーボランティアでもみやっこハウスでも、親や先生以外の大人と会話することは、子ども・若者にとってもいい機会ですよね。

あまりない機会ですよね。子ども・若者も、身近な大人には話せないことがあると思うんです。親や先生に言われると「そうしなきゃいけない」と感じとる気がしていて。サードプレイスというか、第3の居場所の私たちだからこそ、変なプレッシャーがなく本音で喋ってもらえるかな、と思います。
高校生から「ここにいれば、 受け入れてくれる。自分のことを受け入れてくれて安心する」と言ってもらえて、すごく嬉しかったです。

ーーみやっこハウスがしっかり居場所になっているんですね。

「学校では周りの雰囲気に合わせがちだけど、ここだと内面を見せられる」という人たちもいて。「みやパル」に来てくれる1人の高校生は、差別・偏見をなくしたいっていう思いで活動していますが、学校ではあまり話せないと言っていました。 ここでは、それを話せそうな他の高校生を見つけたら「一緒に話してみない?」と私が誘って、交流のきっかけを作るようにしています。
小学生も今年の夏休み頃から来るようになって、とにかく「聞いて聞いて!」という感じでたくさん話してくれます。

小学生とボードゲームで遊んでいる様子

ーー学童の家みたいですね。

家庭で、色々忙しいお父さんお母さんたちが、子どもたちの話をずっと聞いてあげて、向き合って全部サポートするって、すごく大変なんだろうなって思います。こういうところで、親ではない大人にも話せるんだっていう安心感を持ってもらいたいなと思います。

あと、中学生はゲームするためにここに集まっていますが、自分がもし親だったら、自分の子どものお友達が毎日来ていたら大変だろうなと思うんです。その家庭の負担を少しでも軽くする場所でもありたいですね。
それが保護者さんのためにもなるかもしれないし、子どもたちに向き合ってくれる大人がいるんだよっていうことを伝えることにもなるかな、と思います。

ーーいろいろな年代の子が来るけど、その年代に合わせた過ごし方ができているんですね。

勉強しながら試行錯誤しています。でも、面倒見のいい高校生が小学生の相手をして遊んでくれたりするので、全部自分でやろうとせずに助けてもらいながら、一緒に協力しながらみやっこハウスを運営しています。 元気いっぱいの小学生と高校生が一緒に遊んでくれて、本当にありがたいなと思っています。

毎年、インターンの大学生がみやっこハウスに来て
一緒に遊んでくれるので、幅広い年代の子どもたちが
楽しみにしてくれています。

ーー下の子の面倒を見るというのも、きっと楽しいんじゃないかと思います。

そうですよね。お互いのいい成長に繋がってるんじゃないかなと思います。
今年からプロフィール帳を作りました。来た人たちに「なんでみやっこハウスに来たのか」「何をしたいか」などを書いてもらって、 例えば、その子が来たらボードゲームをしようとか、静かにしたい子だったら静かに勉強してもらうとか、その子に合わせた対応をするようにしてます。勉強したい時もぜひ活用してほしいですね。

宮古で好きな場所を改めて探してほしい


ーー坂本さんが高校生のときは、宮古市内でどう過ごしていましたか?

キャトルに行っていましたね。当時、靴下屋さんとかシーズンごとに商品が変わるのでチェックしていました、あと雑貨とか服屋さんとかも。 休みの日にはみんなでプリクラ撮ったりとか、全部キャトルでしたね。

「宮古には何もない」問題って、ずっとあると思っていて。
私が中高生の時も「宮古って何もないよね」みたいな話をたくさん聞いていたんですけど、私としてはそれが聞いていて気持ちのいい言葉ではなくて。生まれ育った場所って自分で変えられないのに、それを良く言わないのって、なんかモヤモヤする気持ちがありました。

今年高校2年生に取ったアンケートの報告書でも、高校生たちの不満として「遊ぶ場所がない」というのが、もうダントツで。どの時代でもそう思うんだなと思いました。

でも意外と商店街には可愛い雑貨屋さんもありますし、 ちょっと歩いてみると面白い大人がいたりとか、素敵なお店があったりするので、身近なところに目を向けてみると、意外と自分の好きなものって見つかるんじゃないかな、と思うんですよね。
皆が欲しがるイオンとかラウンドワンとか、私もあったら行くかもしれないですけど、なかったら「自分から探す」ということができるなって。

ーーないものねだりになりがちですよね。

難しい問題ですよね。やっぱり宮古に住んでると、盛岡がまず見やすい場所にあって。盛岡に住んだら多分仙台の方を見るようになって、仙台にいたら東京の方を見るようになって・・・東京の中でもランクみたいなのはあると思うので、どこに住んでいてもないものねだりってあると思います。自分から欲しいものを探していく感覚を養うことがすごく大事だなって思うんですよね。

ーーずっと住んできた場所だから分かっているような気がして、改めて探そうとはあまりしないですよね。

地元だからこそ、行ったことない場所や知らないことってたくさんあると思います。外から来た人の方が分かっていることもありますよね。

遊ぶ場所を伝えるのであれば、やっぱりみやっこハウスに来てほしいと思います。ボードゲームとかはありますけど、もっと欲しいものがあれば 一緒に考えていけたらと思いますし、みんながやりたいものってなんだろうって、一緒に考えられたら楽しいなと思います。

ーー自分の要望を出すっていうのも楽しいですよね。

不満を持ってるばかりではなくて、じゃあどうしたらいいと思うかを考えるのも楽しいですよね。何が欲しいのか、どうしたらいいのか、一緒に考えたいです。

こどものまち「みやっこタウン」
仕事体験や社会の仕組みを学びながら、
小学生自身の「やってみたい」を実現できるイベントです。

「隣人を愛せよ」身近な人から大切に


ーーでは、座右の銘はありますか?

「隣人を愛せよ」です。「遠いところを見るのではなく、身近な人に愛情を持って接する」といった意味だと私は解釈しています。
マザーテレサが「日本人は生活に関する水準が高くて、大体生活も勉強もできてご飯にも困らないが、心が貧困だ」と言っていたのが高校生ぐらいのときに響いて、「身近なところからやっていけばいいんだな」と思ったのが、今でも続いてるかもしれないです。
だからこそみやっこハウスに来て話をしてくれる高校生と、今向き合う、今を大事にするっていうのを、すごく大切にしたいです。広いところを見るより、まず1人の人間から、向き合っていければいいなと思っています。

ーーそういう考えを持っている大人と話ができる学生たちは恵まれていると思います。

私の方がありがたいなと思いますね。高校生たちが自分を開いてくれて、話をしてくれて。大きな会議も大切ですが、個人の問題に向き合っていくことも大事だなと思うので、 やっぱり、そこですかね。

やっぱり「楽しい」が大きいみやっこハウスでの仕事


ーーこれからの目標はありますか?

私が入社して半年以上経ちますが、周りの人たちが新しいことにどんどんチャレンジしていくので、ついていくので精一杯で。でもその中で、高校生たちとたくさん話し合いを重ねて、どんどん信頼関係もできてきたのかなという実感はあって。
高校生たちが、やりたいことが見つかって「イベントをやりたい」と言ってくれるようになりました。その成長がとても嬉しいので、そのやりたいことを応援しつつ、もっとその先に進んでいけるように自分も成長していきたいと思います。

ーー先生みたいな感じですね。

まさかこうやって子どもたちを見守ることになるとは思っていませんでしたが、楽しいです。

ーー「大変」と「楽しい」だと、どちらが多いですか?

「楽しい」の方ですね。自分が役に立っているかわからないときがすごく辛いなと思うんですけど、それって高校生たちも同じように感じていると思うんです。
「自分には何もできないな」っていう高校生もいるんですけど、私もそう思ってたら応援できないですよね。
薄っぺらい言葉じゃなくて、本当に学生たちのことを応援してあげられるように自分も頑張らなきゃいけない。そのための苦しさはあるんですけど、楽しさの方が多いですね。やっぱり笑顔がたくさん見られる場所だなと思うので。

ラジオ局で働いていたときに「みやラジ」を一緒にやっていましたが、このみやっこハウスにいろんな世代の人たちが集まって、笑顔でいるという雰囲気がすごく好きだったんですよ。だからこそ、この宮古に帰ってきてみやっこベースで働くのって楽しそうだなと思ったので、 今もそういった皆さんの笑顔を見ながら頑張りたいと思えるのが、すごく楽しいですね。

今後挑戦したいのは「ギター」と「資格取得」


ーー具体的にこれに挑戦しようかな、ということはありますか?

今やりたいと思っているのが、ギターなんです。スタッフの成田さんが自分のギターを持ってきてくださって、みやっこハウスに来る人にたまにギターの弾き語りしてもらうことがあるんですけど、自分もギターやってみたいなって思ったりしつつ。

あとは、心理カウンセラーの資格を取ろうと思って、通信講座を受けています。心理カウンセラーの資格を取って、みやっこハウスに来てくれる人たちにもっと寄り添えるようになりたいと思っています。学校にはなかなか居場所がないという子どもたちとの関わり方についても勉強しながらやっていきたいな、と思っています。

あとは地域活動部をもっと活発化させていきたい、高校生が活躍できる場所を増やしていきたいなと思っています。

ーー最後に伝えたいことはありますか?

みやっこハウスに来てください、 待ってます!

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