主演の女

最近いい事がたくさんある。うちのじじばばのふるさとの言葉でいうと、「えらいようけあんなあ」ってかんじ(すごくいっぱいあるってことです)。
余談だが、わたしに大甘だったうちのおじいちゃんが、それでもたまに怒るときのくちぐせはつぎのようなものであった。「そうろっとやりなさい!」「おうちゃくいことすんな」。
そうろっと、というのは、そっと、という意味で、ドアを音を立てて閉めてしまったり、お皿どうしをぶつけて高い音を出してしまったりしたときに言われた。
おうちゃくい、は、そのまんま横着だな、ということで、床に落ちた輪ゴムを足の指で拾ったりとか、手を使わないで靴下を脱いだりしたときに言われた。
おどろくほどきちょうめんで、手先が器用なひとだったので、わたしの持つがさつさみたいなものにときどきがまんができなかったのだろう。

小さいつまらんことはあるにはあるのだが、目を瞑るかさっさと締め出すことにしているせいか、いま具体例を出そうとしてもおもいだせない。なんだったかなあ。なんかあったっけ。

わたしがひらいているのかもしれないし、馴れたせいもある。でも風通しがよくなったのとか、違う方向にのびていっているのとかは感じる。よいほうに、流されていっている。

ここ一年と少し、すきなひとがいたら楽しそうだなあといううすぼんやりとした感情は持っていたものの、あんまりにも男が欲しくならないので首を傾げ、まあそれもまた一興、とバカ殿のようなことを本気で思っていたのだけども、それも杞憂に終わりそうだ。春は恋の季節とはよく言ったもの。芽吹くか枯れるかはわからないものの、それもまたでたとこ勝負である。わたしは偏差値でいうと42くらいの恋愛D判定女だが、D判定にはD判定のたたかいかたがあると思う(?)。捨て身、という武器もある。

いいこと、のなかには、川上弘美の『蛇を踏む』の文庫をたまたまともだちが持っていて貸してくれたことと、閉架図書だった井上荒野の『もう切るわ』を市立図書館からようやく借りてこられたことがある。ものすごくうれしい。つぎは桐野夏生の『グロテスク』をさがしている。終わりなき旅。眩暈がするほど幸せである。きょうも立ちくらみがすごい。目の前が白く発光している。関係ないが。

今月も予定のない日のすくない月でなによりだ。ひとりの時間も絶対要るが、誰かと会ったり遊んだり話したり食べたりのんだりすることで得るものが多すぎてやめられない。仕事の間でさえ思う。わたしはひとが怒っているのを見ると笑えてくるたちだが(強盗に入られたときなどに、なにわらってんだてめー、とか言われて真っ先に殺されると思う)、たいがい、タダでこんなおもろいもん見せてもらってありがとうございます、と思っている。ぜんぶネタ。つらいもむかつくもしんどいもくそつまらんも、たのしいもうれしいもきもちいいもぜんぶ。ありがたいことである。

#日記 #エッセイ #生活

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