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ゼルビアという名前をなぜ捨てるのか




10月11日、J2町田のクラブ経営権を持つサイバーエージェントの社長、藤田晋氏はサポーターミーティングでクラブ名を「FC町田トウキョウ」に変更することを発表した。理由として「選手獲得やブランディングなどさまざまな利点があるので“トウキョウ”は外せない」、「ゼルビアは覚えにくい」というもの。20年近く使用した名前の改名は当然ながら批判するサポーターも多く、涙ながらに反対を訴えるサポーターも居たという。

みやまるはゼルビアのサポーターではないが、自分の愛するクラブに同じことが起こったら…と思うと、胸が痛む。クラブとは言って見ればサポーターにとって家族のような存在である。親であり、兄弟であり、子供であるクラブの名前を勝手に変えてしまうなど、言語道断である。しかも改名する予定の名前は「トウキョウ」。Jリーグには既にFC東京と東京ヴェルディという東京を名乗るクラブが2つ存在するし、冒頭に引用した町田市の花や樹を由来とする「ゼルビア」と違い、単なる地名である。思い入れのある名前を捨てて、単なる地名を名乗る理由が正直なところ見出せない。

ブランディングイメージとして、首都たる「東京」を入れたいのは、百万歩くらい譲ってわからなくもない。藤田氏は2025年にACL優勝を目標にしているようで、日本を飛び出して世界で勝負する上で、「東京」という名前が必要だったのかもしれない。しかし、である。鹿島や(浦和のサポーターなので少々手前味噌ではあるが)浦和はどうだろうか?「鹿島」も「浦和」も決して世界的に名前の知られている地名ではないが、その名前でACL優勝し、クラブW杯に出場している。16年にはクラブW杯の決勝でレアル・マドリードと鹿島が延長にもつれ込む好ゲームを演じたのは、記憶に新しいところだ。

世界に目を向ければ「アーセナル」、「ユヴェントス」といった名前のクラブだって存在する、それぞれ「兵器庫」、「青春」という意味だが、言葉の意味を知らずとも世界的なクラブであることは言うに及ばずだ。「ゼルビア」という造語の意味は知らなくても、「町田」という地名が世界的に知られてなくても、ビッグクラブに成長させることは出来るはずだ。もしもこのことが原因で、コアなサポーターを失ってしまえば、藤田氏にとっても良いことではない。もう一度サポーターと経営陣が双方納得できる形で再考して欲しいと思う。

#サッカー #Jリーグ #町田ゼルビア

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