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女騎手

(初出:旧ブログ2017/01/15)

 騎手以外にも、馬主・調教師・厩務員といった選手以外の人々が競技を成り立たせているのは他のスポーツと同じだが、競馬はその中心に人智の及ばない動物がいることである。そして馬が中心にいることで「女騎手」は事件を複雑化させている競馬ミステリーである。

 女性ジョッキー、紺野夏海が優勝したレースで幼なじみの騎手岸本陽介が落馬し、調教師である、その父・圭司が重傷を負うという不可解な事件が一昼夜の間に起こる。不審に思った夏海は、岸本親子を結ぶホナミローゼスという競争馬を取り巻く人物を調べていく。夏海の男勝りなキャラが際だっており、彼女の魅力がそのまま「女騎手」という作品の魅力になっている様に思う。周りは殆ど男に囲まれているが、臆することなく、時には空手まで繰り出し真っ向勝負で事件と競馬に立ち向かう姿がグイグイ読者を引きつける。


 最後まで「馬は口が利けない」ということが事件の軸になってくる、これは競馬小説ならでは良さだと思う。あと思ったのは競馬小説を読むのは初めてだったんだけど(そもそも競馬に関する書籍を読むのが初めて)、馬柱・種牡馬・逍遥馬道・ヤラズ・キテなど競馬用語の豊富さ、美しさも良いな~と思いました。

#競馬 #ミステリ

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