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『ポプテピピック』と『あまちゃん』の共通点。「再放送」と「元ネタありき」

(初出:旧ブログ2018/03/28)

 時には実写まで交えたアニメの枠にとらわれない演出、執拗なまでのオマージュやパロディや楽屋落ち、「下手」、「シュール」という言葉だけでは片付けられないミニコーナー『ボブネミミッミ』。『ポプテピピック』は面白さのためにはなりふり構わない、既存の映像表現の枠を破壊したことに始まる、破天荒なアニメだった。


 なかでも斬新だったのは「再放送」だろう。30分の放送枠を15分ずつに分け、声優の変更と若干の演出の差異(基本的にはじっくり目を凝らしてみないと判断できない、本当に若干という程度)のみを加えた以外、全く同じ内容を繰り返すというとんでもない構成で放送した。しかし評判は上々で、秋葉原でのグッズ配布イベントでは警察から注意を受けるほどの規模の人数を集めたという。「王道」や「常識」から大幅に逸れた作品であることを考えれば、既存の作品がブレイクすることよりも意義があるように思う。

 では『ポプテピピック』はどのように流行ったかを考える。あくまでオマージュやパロディは数を重ねつつも決して「メイン」にならぬよう「添え物」に留め、元ネタを知らない視聴者も楽しめるように構成されていた。「再放送」も繰り返し見ることで最初の15分では気付かなかった演出や味わい、前述のオマージュやパディを次の15分で発見する楽しみを提供していた。

 この構成は『あまちゃん』に近いように感じた。『あまちゃん』を含め宮藤官九郎脚本の作品には、著名人の固有名詞や出演者の楽屋落ちネタが多数登場する(『あまちゃん』で例を挙げると、杉本哲太が能年玲奈に「盗まれんなよ」と自転車をプレゼントするシーンがあるが、07年に杉本は放置自転車を勝手に乗って帰宅し、警察から聴取を受けている)。こうした「元ネタありき」のシーンは「解る人には解ればいい」(これも『あまちゃん』で伊勢志摩が繰り返していた台詞。作品を端的に表している)モノであり、分からない人も作品を見る上で決して支障にはならない、けれども解る人はもっと楽しめるというスタンスが、ギャグの手法として作品を盛り立てたのだろう。

 そして「元ネタありき」に重要になるのが「再放送」であるが、『あまちゃん』は連続テレビ小説という性質上、BSなどを含め、朝から晩まで繰り返し放送された。そして忙しい時間帯の番組ということもあり、家族の都合に合わせると、1日に何度も家族の共有の場のテレビに映し出されるという状態を作り出していた。繰り返し、そして別の相手と見ることでさらなる発見を生む。作品にも「何度も見る甲斐」がちゃんとある。こうした関係が『ポプテピピック』も『あまちゃん』も熱烈なファンを多数産んだのだ。
 そういえば主人子が女子高生2人(能年玲奈と橋本愛)、作中に歌ネタが多いため主題歌が控えめ(『あまちゃん』のテーマを作詞した大友良英は、「劇中歌が多いからインストゥルメンタルにした」と語り、上坂すみれの歌った『POP TEAM EPIC』も『ポプテピピック』の作品中に歌を題材にしたボケが多い中、一般的なアニソン然としたアニソンとなっている)点も非常によく似ている。


 時には実写まで交えたアニメの枠にとらわれない演出、執拗なまでのオマージュやパロディや楽屋落ち、「下手」、「シュール」という言葉だけでは片付けられないミニコーナー『ボブネミミッミ』。『ポプテピピック』は面白さのためにはなりふり構わない、既存の映像表現の枠を破壊したことに始まる、破天荒なアニメだった。

 なかでも斬新だったのは「再放送」だろう。30分の放送枠を15分ずつに分け、声優の変更と若干の演出の差異(基本的にはじっくり眼を凝らしてみないと判断できない、本当に若干という程度)のみを加えた以外、全く同じ内容を繰り返すというとんでもない構成で放送した。しかし評判は上々で、秋葉原でのグッズ配布イベントでは警察から注意を受けるほどの規模の人数を集めたという。「王道」や「常識」から大幅に逸れた作品であることを考えれば、既存の作品がブレイクすることよりも意義があるように思う。


 では『ポプテピピック』はどのように流行ったかを考える。あくまでオマージュやパロディは数を重ねつつも決して「メイン」にならぬよう「添え物」に留め、元ネタを知らない視聴者も楽しめるように構成されていた。「再放送」も繰り返し見ることで最初の15分では気付かなかった演出や味わい、前述のオマージュやパディを次の15分で発見する楽しみを提供していた。

 この構成は『あまちゃん』に近いように感じた。『あまちゃん』を含め宮藤官九郎脚本の作品には、著名人の固有名詞や出演者の楽屋落ちネタが多数登場する(『あまちゃん』で例を挙げると、杉本哲太が能年玲奈に「盗まれんなよ」と自転車をプレゼントするシーンがあるが、07年に杉本は放置自転車を勝手に乗って帰宅し、警察から聴取を受けている)。こうした「元ネタありき」のシーンは「解る人には解ればいい」(これも『あまちゃん』で伊勢志摩が繰り返していた台詞。作品を端的に表している)モノであり、分からない人も作品を見る上で決して支障にはならない、けれども解る人はもっと楽しめるというスタンスが、ギャグの手法として作品を盛り立てたのだろう。


 そして「元ネタありき」に重要になるのが「再放送」であるが、『あまちゃん』は連続テレビ小説という性質上、BSなどを含め、朝から晩まで繰り返し放送された。そして忙しい時間帯の番組ということもあり、家族の都合に合わせると、1日に何度も家族の共有の場のテレビに映し出されるという状態を作り出していた。繰り返し、そして別の相手と見ることでさらなる発見を生む。作品にも「何度も見る甲斐」がちゃんとある。こうした関係が『ポプテピピック』も『あまちゃん』も熱烈なファンを多数産んだのだ。
 そういえば主人子が女子高生2人(能年玲奈と橋本愛)、作中に歌ネタが多いため主題歌が控えめ(『あまちゃん』のテーマを作詞した大友良英は、「劇中歌が多いからインストゥルメンタルにした」と語り、上坂すみれの歌った『POP TEAM EPIC』も『ポプテピピック』の作品中に歌を題材にしたボケが多い中、一般的なアニソン然としたアニソンとなっている)点も非常によく似ている。

#アニメ #ポプテピピック #あまちゃん #漫画

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