（初出：旧ブログ2017/12/05）

1.ランプ
免許とりたての女の子が、頑張ってアルファロメオとかルノーを運転してるイメージです。体も車体も小さいけれど、物怖じせず凛々しい感じでハンドルを操る女の子ですね。なのでこの曲は「首都高」です。東京タワー横目にぐいぐい走ってほしいです。

2.ミラーポール
タイトルの題材こそ前時代的なものなんですが、洗練とか前衛とかシャープな単語が似合う曲です。過去と未来の融合。オリンピックに向けて日本人と外国人が雑多に入り混じる「渋谷」です。

3.金魚の箱
林檎の金魚！どうしたって真っ赤なイメージになります。街に例えるなら夕焼けです。夕焼けが映える街となると、ビル街より空間を広く使った場所かな～と思うので、「神宮外苑」です。でも美しい夕焼けに目もくれず、それぞれ忙しくみんな過ごしてるのも東京っぽいかな。

4.私生活
亀田誠治作曲の、小さな幸せを求めるちょっと切ない曲。思い浮かぶ情景としては学生の頃からの付き合いの金の無い若いカップルが、そろそろ結婚しようか迷ってるシーンが浮かびます。じゃあ…っていうのも安直だけど、この曲は「神田川」です。

5.OSCA
マルチェロ・マストロヤンニとか岡村靖幸とか、「この人だったらどんなにクサいこと言っても構わん」というタイプのモテ男を書いた歌詞なのかなという気がします。あらゆる女性が行きかう東京で、あらゆる女性から熱視線を浴びる色男がいそうな場所。となると、物静かで瀟洒なとこかなーってことで、この曲は「青山のキラー通り」です。

6.黒猫道
この曲は昔ながらの東京。狭い路地にビッシリ家が立ってるなかイタズラ好きの黒猫が、サザエさんとか『こち亀』の両さんみたいな江戸っ子とスラップスティックな追いかけっこしてるような疾走感のあるナンバーです。江戸前、ということで「葛飾」です。

7.復讐
なんとなく思い浮かぶのは『その男、凶暴につき』の白竜です。カーラジオで落語聴きつつ、ヤクの取引の現場で「兄ちゃん、分相応の夢みなくちゃ」みたいなこと言ってるかっこよくも寒々としたあの感じ。なのでこの曲は「東京湾の埠頭」です。ただ、この曲は女性が主人公のイメージもあります。真木よう子とか梶芽衣子とか、ああいうタイプの女優で、主要キャストを全員女性ででリメイクした『その女、凶暴につき』も観てみたい。

8.某都民
この曲は椎名林檎の他に、gt.の浮雲、key.の伊澤一葉の3人によるスリーボーカルの曲ですが、なんとも3者3様にセクシーな歌声なんですよね。さすがに前作のアルバムが『大人(アダルト)』だっただけあります。上品な色気、なのでこの曲は「表参道」です。

9.SSAW
　コンクリートジャングルと言いつつも、ちょっと足を伸ばせばすぐのんびりした自然を味わえる場所があるのが東京の良いところ。なのでこの曲は「昭和記念公園」です。井の頭公園も思ったのですが、「カップルでボートに乗ると別れる」みたいな”ケ”の感じがあんまりこの曲にはなく、高校生がマラソン大会やってるような'ハレ”、健康的な風景であってほしいです。

10.月極姫
　多分この曲は愛人とか娼婦とかをしている女性の曲だとおもいますが、それを「月極姫」という題にする椎名林檎がすごいです。例えば谷崎潤一郎や団鬼六、五社英雄監督の映画というような、文学的で和風な官能的な雰囲気で、現代のアダルト業界のエロとは一線を画している感があります。なのでこの曲は「吉原」です。

　
11.酒と下戸
　一番自分が共感した曲。なんでかっつーと、自分も下戸なので…。しかもこの曲、下戸の男が酒飲みの女性に合わせて一生懸命飲みつつ口説いているという、痛々しくもけなげな風景が広がってくるのがまたなんとも「来る」。六本木とかでそういう「酒の街」じゃないですね。もっといい意味で雑多な、「思い出横丁」がしっくりきます。

12.キラーチューン
　はじまりから<♪贅沢は味方～ ♪欲しがります負けたって～>という、椎名林檎の華々しさの真髄のような曲です。本当に大切な貴方（＝恋人）はおカネを出しても手に入らないのだから、出来る贅沢はどんどんして、明るく上を向いて生きていこう！ということを、説教臭さゼロ、ゴージャスさ100で歌えるのは彼女だけでしょう。トータス松本と歌っている『目抜き通り』も同じテーマだと思うので、この曲も「銀座」です。あの二人ならマジで日本版『LALA LAND』だって出来るはず。

13..メトロ
　んでもって、そんな東京を俯瞰してみると、あらゆる年齢性別国籍趣味嗜好を持った人間が、世界でも類を見ないほど集中していて、その誰もがそれぞれのドラマを毎日抱えて過ごしてるんだろうな…という気分で〆てくれる1曲がこれです。”メトロ”で、人々を様々に”つなぐ”、ということでこの曲は「大手町駅」です

#音楽 #椎名林檎 #東京事変