現代短歌練習22

2018年短歌まとめ・3

沈黙を守れぬ花火残像が扇ヶ浜のイルカに注ぐ

蝉時雨くぐり抜ければまた命稲穂の海を泳ぐトラクタ

濁流の中の煌めきその意味を指環の痕に聞けばいいのに

ねえちゃんと胸に手を当て聞いてみてあなたに捧ぐラ・カンパネッラ

待ってれば必ず星は落ちてくる願いが叶う保証はないが

ほつれ髪女々しさを剃る美容室ベリーショートで強がり増して

太陽に向かい何をば語るやら燃え尽きること知らぬ向日葵

憧れの人の手のひら湿ってたフェスの熱量恋の熱量

風神と雷神ときに空気読むしんみりしてさ大雨警報

青春をわざと尖らせ聴いていたLinkinPark戻らぬCD

靴下を脱がせてくれる優しさを置いてきた人もしもしピエロ

世間体嘘としぶとさ見栄混ぜて現世に揺れる蜘蛛とわたしと

聞き分けのいい女だと自負してる円月島とともに朽ちてく

知らぬ間にニキビビキニも鳴り潜め謙虚でおれよ三十路のわたし

虹色に並ぶどの色映えるかなあなたの首に締めるネクタイ

彼の国でミサイル発射同時刻受精できずに扉は閉まる

終電に間に合わねばと親不孝通りを駆けるクリスマスイブ

喧騒の切れ目に望む告白は五年前からミュートのままで

温もりが遠ざかる頃思い知る二番目にすらなれない女

謎かけをすればするほど迷宮でオチのないまま続く同棲

不純物満ちた体は重たくてあなたに好きと言えないままだ

顎ぽつり痒みの下に芯ありて大人ニキビと言い張る師走

赤緑夫婦漫才できそうな配色だから冬は嫌いだ

アイなのかウィーなのか聞く自信なく明日からのこと聞く大晦日

バランスの取れたわたしでいたいから別れ話は週末にして

あんなにも気を落ち着けて剃ったはず産毛の跡の心ヒリヒリ

これからはスローライフと言いながらカメラワークの激しい社会

失恋をしたらホントに切るんだね痛み激しい髪先LINE

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