現代短歌練習25

左手の薬指だけ見る癖が今もわたしの真ん中に在る

マニキュアがはみ出ず濡れた夜だからあなたの指に色を添えたい

パノラマをもっと伸ばしてふたりきり 好きと言えれば楽なのに、ねえ

この足が止まることのないようにため息を吐く白線を踏む

くちびるの薄皮を食む独り寝にシュリンクされたあなたの記憶

十年が長いねなんて言わないで貪欲だって自負はあるから

どんな関係かと問われれば、一日を共に過ごしてくれる関係だとしか言いようがない。
それが他の人にどう伝わるかまではわたしの範疇にない。
本音を言えばわたしが誰よりもこの関係に名前を付けて欲しい。
当たり障りなく並んでいるわけではないのだから。
もっと一緒にいたいし、もっと言葉を交わしていたい。
欲深なわたしがいつもつま先のあたりから様子を窺っている。
冷えて白くなった指を温めてくれたら、きっとわたしは報われるだろう。
それだけでいい。
それだけがいい。
わたしたちの関係を肯定のまま続けていくためには、気まぐれでもそうして欲しい。
あなたが好きで、どうしようもないくらいに好きで、マニキュアを塗りながらあなたの横顔を思い浮かべる。

首元を温めるのはマフラーと煙草の香する笑い声です

この夜の終わりを誰が決めるのとシートベルトを外した十時

発言の目的格を置き換えて読めばすべてがあなたへの愛





京都弾丸日帰りひとり旅の帰り道、ふと歌を詠みたくなって、そうしたら恋の歌が詠みたくなって、わたしの中から次から次へと言葉が溢れ出してとても驚いた。
好きという感情、状態はいつまで経っても掴みどころがなくて困る。
中高生時代と何にも変わらない。
まだしばらく恋の歌を詠むのだろうなと……ちょっぴりワクワクしているわたしがいる。


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