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映画メモ:『ホース・ソルジャー』(2018)

ちょっと前にクリヘムさん主演の映画『ホース・ソルジャー』がAmazonビデオの100円レンタルセールに入っていたので確保、しばらく積んでたのをゆうべやっと視聴しました。原題は「12 STRONG」。この場合は「兵力12人」という意味ですね。

時は2001年、911テロ直後。
米国軍はアフガニスタンでタリバンに反抗する地元勢力を支援する極秘作戦を実行に移し、精鋭のグリーンベレー12人を最前線へ送り込んだ。直接に協力する相手は3つの軍閥からなるいわゆる「北部同盟」の一角をなす将軍で、彼が民兵混じりの抵抗勢力を率いて敵の重要拠点である町を制圧できるよう、空爆を誘導して道を切り開いていく。
進路上に点在する小拠点をつぶしていくにあたり、移動手段は馬しかない。大量の敵兵と戦車に対し、騎兵となって決死の突破戦を敢行する米軍兵士たちの命運やいかに……という、実話ベースの戦争映画。映像作品としてのテンションはほぼその、近代兵器に騎兵で立ち向かうというキャッチ―な絵ヅラで維持されています。

戦車VS馬というと大きなハンデのついた戦いだし、実際そういう風に描いてあるんですが、考えてみると険しい山岳地帯の戦いなので移動と戦闘をスムーズにするのはむしろ馬のほうという局面もあるんですよね。有利不利のシチュエーションとしては実は二面性がある。
ミリタリ系アクションとしての見ごたえは全体的に無難な範囲におさまっていますが、自走式多連装ロケット砲BM-21に砲撃を受けるシーンはピリッとしていました。次々と取んでくるロケット弾があたかも怪獣の吐き出す炎や魔法のビームみたいなおっかなさで、とてもいい。この兵器がメインの脅威としてここまでがっつりフィーチャーされた戦争映画って今まであんまりなかったんじゃないかな……?

ドラマ的には「アメリカにこんな知られざる英雄がいた」と知らしめて愛国心を刺激するヒロイズム伝記エンタメで、そこはまあやることはやってはいるんですが、地元勢力との関係性や価値観のぶつけかたの細かいところで逐一「あんまり恩着せがましくならないように描こう」という微妙な自制がほのかに滲み出ています。かといって作品の目的上、彼らのおかげでこれこれこうなって~というアメリカ英雄賛歌をゼロにもできないし……という、さじ加減への腐心がある。911事件からもう20年近く経過した今になってこういう映画をやるには一種の縛りプレイが生じるんだなあ、というところを感じました。

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