棋士と眼鏡 その3
「第七回 眼鏡棋士賞の発表も、残すは名眼鏡局賞のみとなりました。
最優秀眼鏡には七年連続七回目の羽生善治、優秀眼鏡に渡辺明、新人眼鏡に鈴木大介と、豪華な眼鏡が揃いました。
名眼鏡局賞への期待が高まる皆様の鼻息で、会場の眼鏡という眼鏡が白く曇っております。 それでは発表です。
第七回 名眼鏡局賞は・・・」
~ドロドロドロドロドロドロドロ(ドラムロール。お化けが出てくるわけではない)
ジャーン!~
「王位戦第3局!」
「審査委員長より、選考の理由をご説明致します。」
「本日は皆様お集まり頂きありがとうございます。
磐石の羽生、それを追う渡辺、そしてプロフィール写真で インテリ眼鏡をかけはじめた鈴木、
以上満場一致での受賞となりました。
ご説明申しあげたい名眼鏡局賞、これは私が押しました。
羽生王位、挑戦者行方、正立会人田丸、副立会人中座、記録鈴木肇。
全員眼鏡です。
しかし、純粋眼鏡棋士対局では、ない。
皆様ご存知のとおり、行方は眼鏡棋士ではありません。
行方は美貌の棋士であり、服装、髪型、生き様に拘りを持つナイスガイであります。 響くはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT、纏うはポール・スミス。
ナイスガイ行方の審美眼はノー眼鏡の自身を善しとし、我々が普段目にする行方もそれであります。 その行方がタイトル戦初挑戦の場で、彼の棋士人生において最も注目され写真を撮られまくることを承知の上で眼鏡をかけました。
度のきつい、顔の輪郭がはっきりと歪む眼鏡を。
本気中の本気の行方です。
全裸になれば羽生に勝てる確率が1%上昇すると将棋の神に告げられれば、躊躇なく生まれたままの姿になるであろう行方。
行方の眼鏡は、全裸であります。
身体でかけて、心で脱ぐ。この一局が名眼鏡局賞にふさわしいと信じております。
加えて、眼鏡と髪型との美しきハーモニーを、田丸のおかっぱと行方のもみあげが奏でたことも申し上げておきます。
私にここで歌わせて下さい。
♪ひさしのめがねは全裸のめがね~
♪は~ぶと対局してたから~し~てた~か~ら~
来年度も眼鏡棋士賞を宜しくお願い申し上げます。」
続く
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