パーマネント

さよなら霜月こんちは師走。
今年の出来事をまとめたくなる季節。将棋界には何があったかなあ。
三浦の入籍発表、三浦のJT杯初優勝、三浦が14期連続在籍していた順位戦A級から陥落するも、現在B級1組で5勝1敗の好成績を収めており1期でA級に復帰するのではという予感……長くなるので三浦のことは宝箱に仕舞っておいて……。

2015年、将棋ファンの間で大きな話題となったのが豊島イメチェン騒動。
この夏、豊島は眼鏡と髪型を変えた。そのイメージチェンジは、一部の豊島ファンが語る(のを私は聞いたことがないのですが、私の中に住む架空の豊島ファンに語らせたので、実在の豊島ファンの方は豊島の外見的特徴について次の「」内をご自身で埋めて下さい)「駒しか持つことを許されぬ繊細な生物として神は彼を創造したか。その指から視線を這わせた先には、細く白い身体。強く抱きしめたら折れてしまうから、愛しすぎてはいけない。持てる若さより更に幼い顔に、無造作に長く伸びた前髪が影をつくる。静寂な時、静寂な表情。縁のない眼鏡の奥の目だけが盤上の深淵をさまよう」といった魅力を全力で隠蔽しにかかっていた。豊島が似合わない髪型でNHK杯に出場しただけで、ファンは大騒ぎ。似合わないって言っちゃった。

羽生は頻繁に髪型を変える。こだわりはない。タイトル戦に向かう飛行機が天候不良で欠航になり、時間が出来たからと空港で髪を切る。羽生の髪型は羽生が髪を切ろうと思った時思った場所の近くにある床屋の理容師が決める。羽生は髪型に理想を持たないが、結果的にどの理容師が決めたどの髪型も似合っている。一般に知られていない羽生の特殊能力に、担当する理容師に持てる力の全てを出させるというのが、多分ある。

森内はレゴ、行方はオカザえもんで安定。                            

谷川は緩やかなパーマ。昔はくるくるのパーマ。
渡辺は髪型に主張を通せない事情と美容師の技量で、清潔感のある仕上がり。


棋士の髪型なんてどうでも良い。


2013年NHK将棋講座「鈴木大介の振り飛車のススメ」
居飛車党の私は振り飛車講座には興味がないが鈴木に興味があるので、動く鈴木を目当てにテレビをつけた。講座第1回、画面に映る鈴木はパーマをかけていやがった。

鈴木は本来、端正な公家顔なのだ。

サラサラのストレートヘアー、それは鈴木のdestiny。
鈴木の似合わないパーマは似合う似合わないで語られるべき問題ではない。過ちだ。鈴木よ、私が愛する鈴木よ、何故運命に逆らった?
(私は鈴木の過ちをここに貼りたくないので、どうしても気になる方は「森信雄の日々あれこれ日記」2013年7月14日の記事でご確認を)

あの時期、順位戦B級1組のみでパーマ人口が激増した。松尾のパーマはとても評判が良かった。松尾は優れた感性で己を芸術系雰囲気イケメンに仕立て上げた。素人がパーマだけを真似ても雰囲気イケメンの匠・松尾と同じ評判は得られないのに、橋本がかけ、鈴木がかけた。松尾だけが似合っていた。鈴木は順位戦B級1組内限定の超局地的ブームにのったのか?違うと言ってよ大介……。
私はあのパーマが鈴木の意思によるものではないことを願った。罰ゲームであって欲しいと思った。美容師見習いの甥、中介がパーマのモデルを探すのに苦労していると耳にした心優しい鈴木は、閉店後の美容室、独りマネキンの頭にロッドを巻く中介がガラスの向こうに見える扉を開け「中介、遅くまで頑張ってるな。オジさん、来月からテレビで講師やるんだよ。明日が初回の収録でさ。お前の腕でかっこよくしてくれないか?パーマなんかどうかな」と自ら練習台になり、シャンプーで荒れた中介の手に小遣いの3万円を握らせた結果でありますようにと祈った。
講座が進むにつれパーマはおち、最終回にはサラサラヘアーの鈴木を取り戻した。それからパーマの鈴木を見た者はいない。あれ以来鈴木はパーマをかけていないから。似合っていない自覚はあったようだ。

私はあのパーマの理由を知りたいけれど憧れの鈴木に嫌われたくないので、誰か、私が知りたがっていることは秘密にして鈴木に聞いてみてはくれまいか。

「何で変なパーマかけたんですか?」と。

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