99％付き合える女がいた。
ぴりゅうたんたんらどどきゃっきゃ。
胸の音。文字にしたらきっとこんな。
けどその子には、すぐ彼氏ができた。

彼女の名前を「ニキ」としよう。
ニキちゃんは最近、こう言ってくれた。

「みやさんは、きもいところが魅力みたいなところありますから。
よく歌の歌詞とかにある"ずっと子供でいたかった"をできてる珍しいタイプの人だと思うので」。

──っていう話をする前に。
このページを開いたあなたへ。
"覚悟"を持って読み進めてほしい。
エグいこと書くから。

まず、"議長"っていう人がいる。この世に。
詳しくは自分が出演している「国岡ツアーズ北大阪・京都編」を見てほしい。
見た結果分からなかった人は、フィリップ・K・ディックのノンフィクション小説「アジャストメント」を読んでほしい。マッドデイモン主演で映画化もされている。

タイトルにある、「君の瞳に恋してない」というのはUNISON SQUARE GARDENさんの曲である。
僕がニキちゃんに完全にフラれた日。
Nくんという木星出身の男の運転で、ドライブをしていた。
とんでもなく泣いた後だ。
すると、信じてもらえないかもしれないが勝手に曲が流れ出した。

その中でかかった1曲が、「君の瞳に恋してない」だ。
「ぴゅあぴゅあはーと」の時も触れたが、本当の""コタエソング""というのは、「恋愛」というオブラートに包まれている傾向がある。
以前からユニゾンさんは好きだったので、この曲は知っていた。
何気なく聞き逃していた。恋愛ソングの一つとして。

だが、突如として車内に流れたその曲に。その歌詞に。僕は戦慄して。
大声を出すしかできなかった。困惑も混じって笑い出してしまった。
Nくんは満足げに微笑んだ。
ほぼ全部になってしまうかもしれないが、抜粋させていただく。

《コンフューズド、困った！
ちぐはぐなんでなんだっけ　
さりげなく答を覗きたくなる　悪い癖だね》
(作詞・作曲: 田淵智也
2018年 UNISON SQUARE GARDEN
「君の瞳に恋してない」からの引用)

「confused/コンフューズド＝精神的な混乱」
もう、書いちゃってますやん。
これなんですよね。
Nくんの口癖なんですけど「引き算」が大事なんですって。人生は。
僕はまだまだ足し算なんです。足して足して。
想いをぶつけることしかできず。
ニキちゃんのいう通り、そのキモさが魅力なのかもしれませんが、悪い癖です。

《アンビエント、不穏だ！
さりとても咀嚼中で
必ず助けてみせる
苦い思いの渦から

間違った虚像
煎じて間違った未来像
そろそろ止めたらいいのにと思うけど

（中略）

後悔したまま死ぬかもしれないし
保証なんかどうせ役立たず
甘い一瞬に騙されて？》
(作詞・作曲: 田淵智也
2018年 UNISON SQUARE GARDEN
「君の瞳に恋してない」からの引用)

「ambient/アンビエント＝周囲の/環境の」
皆さんにもう一度思い出してほしいのはこの曲が流れている状況です。
失恋した直後の僕と木星出身のNくん。ドライブ中。勝手に流れ出した曲。

僕は、僕たちは気づいたんです。
「あ、これは議長が僕に歌っているんだ」と。メッセージなんだって思いました。
それを確信したのは抜粋した最後の歌詞の部分「甘い一瞬に騙されて」です。
それは、その当時の状況もそうですが。人生という宇宙単位で見れば一瞬の時間。
「俺を信じてくれ、騙されたと思って。おもろいから」
という、議長からのアツい天啓に聞こえました。

《センチメント、くらった！
神出鬼没で並走中
追いつく、追い越す
繰り返すのが人間の性

悲しくてgrumble
即座に同意得てリセット
そんなに簡単にできればワケないよね》
(作詞・作曲: 田淵智也
2018年 UNISON SQUARE GARDEN
「君の瞳に恋してない」からの引用)

「grumble＝不平不満を言う」
ここ、2番のAメロで。何事もなかったようにすぎるんですけど。
この歌詞がいっちゃんやばいよね＾＾

《君の瞳に恋なんてしてはないけどわかる
大事なもの失った時
壊れちゃってしまってしまった気持ちは
虹色に光る幸せ
そんなものがなくても
小さじ一杯のカラクリが
生み出せるもの

ちょっと信じてみてはくれませんか
保証がないのは本当だけど
僕の手握っていいから》
(作詞・作曲: 田淵智也
2018年 UNISON SQUARE GARDEN
「君の瞳に恋してない」からの引用)

「はい！！！！！！！！！！」
「はい」、としか。
やはり思えば、俺は信じきれていない部分もあった。
それこそ今ですら、信じきれない時もあるよ。
でも、でも俺は手を握りたい。
せっかく、せっかくの人生だから。
おもろい方へ──。

こんな感じの”コタエソング・ドライブ”が終わった後。
家に帰るともう日付を超えていた。
ニキちゃんにLINEしたんだ。

「あのさ、こんなこと聞くのあれだけど。ニキちゃんって"""""存在"""""してる？」

「してます。ニキちゃん、います。なんでですか？」

「いや、ニキちゃんと出会うっていうのは”イベント”だったんだって」

「失礼です。（スヌーピーの怒ったスタンプ）」

「違くて。あの、聞いてほしいですけど」


そこから俺は、その日に起こった経緯を話した。
まず君にフラれた後、大学院の内部試験にも落ちていて。
就職するかフリーターになるかの二択を迷っていて。
でも、尊敬する人から「お前はおもろいで」と言ってもらえて。
宙に受けて。
「日藝博覧会」という行事で映画のイベントをやろうと思い立ち。
そこで出会った教授がたまたま映画学科の方で、俺は映画学科の大学院入試をすることに決めた。


そんな一連の出来事を話した。
昨日までだったら、思いもしなかった未来だ。
その日の、帰路に「君の瞳に恋してない」が流れたんだ。
だから思った。
「ニキちゃんにフラれるというのは、議長がただDJやりたかっただけの口実に過ぎなかったのかもしれない」と。
俺は、彼女とラインしている間、ずっと泣いていた。
それはニキちゃんもそうだった。

「みやさんはほんと天才なんですね。みやさんみたいな人がいる世の中すごくあたたかいです」

とても嬉しかった。

なぜ。この話を書こうかと思ったかと言うと。
いま、とても大きなお仕事の話が来ている。
しかもそれは、自分に。宮崎智弘にきた話だった。
正直、不安で、どうしたらいいかわからない。

そんなときに俺は、この曲を思い出して。
聴いて、感極まって。
もう一度、信じてみようって。
"おもろい"を。

ニキちゃんにもそのタイミングでLINEしたら。
冒頭の言葉に加えて、

「みやさんは".俺が1番だーーー！！！"って思ってる時がいちばんきらきらしてます」。

と言ってもらえた。
そして気付いた。
"フィクションより、俺の生き様の方がおもろい"って。
ありがとう。

そして、なにより。
こんな僕のことを、笑って欲しいです。
あなたに。
ここまで読んでくれたあなたに。
あなたに、笑って欲しくて。
僕は生きます。

ありがとうございます。