宮嵜 浩

エコノミスト

宮嵜 浩

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最近の記事

日本株の下落リスクが、現実に。

大変ご無沙汰しておりました。最近は会社の方針で、YouTube動画を撮影していました。50過ぎのオッサンの動画を見てくれる人がいるのか、甚だ不安です、はい。 「高まる日本株の下振れリスク」という動画を撮影したのが、12月15日でした。その後、社内の色々な手続きを経て、1週間後の12月22日にYouTube公開されました。 ちょうどバナー画面にもありますが、「日銀が政策変更したら株安になるかも!?」というお話です。しかし、まさか撮影から公開までの1週間の間に、日銀が本当に政

    • 円安メリットは海外エンタメにあり

      元宝塚歌劇団宙組のトップスター、和央ようかさんのライブに行ってきました。ハワイ在住の和央さんらしい演出や選曲でした。時節柄、簡単にはハワイに行けないので、気分だけ存分にハワイを味わいました。 ハワイに簡単に行けない理由は、コロナ感染が増えているから、ではありません。旅行料金が高いからです。円安と原油高のせいで、海外渡航費用が値上がりしてしまいました。 ハワイに行けなければ、スパリゾートハワイアンに行けばいいじゃないか?そういう問題ではないんです。ハワイがいいんです、ハワイ

      • 妙に力強い、最近の日本経済

         日本は意外と高成長だったようです。実感ありますか?私にはありません。4-6月期なので、もはや過去の話はありますが。  確かに今でこそコロナ禍が再燃していますが、春頃は経済再開で旅行なども回復していました。マスクも無理して付けなくても良さそうな雰囲気でしたね。梅雨明けも早く、猛暑でマスクも無理に付けないほうが良い雰囲気でした。  もはや全然マスクしていない欧州(ユーロ圏)も、4-6月はプラス成長だった模様です。  とはいえドイツの成長率は横ばいです。データを見ると、厳密に

        • 財政リスクと冷酒は後で効く

          『親父の小言』という貼り紙を、居酒屋でたまに見かけます。「火を粗末にするな」「朝きげんよくしろ」などのお説教が、30ばかり並んでいます。結構面白いのですが、なぜ居酒屋に貼られているのかは謎です。 おそらく『親父の小言』のサブタイトルが「親の小言と冷酒は後で効く」なので、居酒屋に貼ってあるのではないかと。冷酒を飲み過ぎて、お店で酔い潰れては困ってしまいますから。 マーケットの世界だと、冷酒のように「後から効いてくる」のが財政リスクです。 一般に、景気が悪いと国債を大量発行

        日本株の下落リスクが、現実に。

          米国は本当に石油高で苦しいのか、ちょっと怪しい

          物価が上がらないことが当たり前だった日本で、インフレが選挙戦の争点になるほど注目されるなんて、時代は変わるものです。 インフレの原因は、円安や石油高だと指摘されています。円安の日本よりも、ドル高の米国のほうが酷いインフレに直面しているので、おそらく円安は高インフレの理由ではないのでしょう。日本銀行の黒田総裁も、似たようなことを言っています。 原油の国際価格が上昇しても生産コストは変わらないので、値上がり分が産油国の所得増加になります。原油の輸入国から、産油国に所得が移転し

          米国は本当に石油高で苦しいのか、ちょっと怪しい

          不謹慎な話はできないから、欧州景気は回復するとだけ言っておきます

          被害総額を「復興需要」にすり替える。エコノミストが経済効果を算出する際に用いる常套手段です。 一部調査会社の試算では被害総額は1900億ドル(約21兆円)で7~9月期の米国の国内総生産(GDP)には下押し圧力となる。ただ天災の後には復興需要が発生するため、10~12月期以降のGDPには押し上げ要因となるだろう。 ロシアのウクライナ侵攻は長期化しており、未だに終息の兆しはみられません。上の記事にある通り、ウクライナの被害総額はなんと73兆円に及ぶと試算されています。それはお

          不謹慎な話はできないから、欧州景気は回復するとだけ言っておきます

          日本株が底堅いのは、日銀のおかげかもしれない

          株式相場は底を打ったのか?それが分かれば苦労はしません。いい加減、下げ過ぎだろうと思いつつも、戦争や利上げなどのニュースを目にすると、どうしても下値不安が残ります。 そんな不安を抱える投資家にとって、便利な指標があります。イールドスプレッドです。 「株価収益率(PER)で判断すると株価は割安」そんな説明をよく見かけます。でも、PERが具体的にどの水準で下げ止まるのかは、分かりません。 一方、イールドスプレッドは経験則として、8%を超えると株価指数(TOPIX)が下げ止ま

          日本株が底堅いのは、日銀のおかげかもしれない

          本当に全面対決しているのは米国のほうかもしれない

           日本銀行はマーケットと全面対決するそうです。「いや別に対決してないけど」と、日銀の黒田総裁は首をかしげています(画像はイメージです)。  「株安・円高なのに金利を引き上げた」のであれば、全面対決かもしれません。今回は「株安・円安なのに緩和を続けた」という決定です。「市場と全面対決」というには、ちと無理があります。  市場が織り込む予想インフレ率が上昇しているのに、日銀が利上げしなかったことをもって「対決」というなら、まあ分らなくはありません。 https://www.

          本当に全面対決しているのは米国のほうかもしれない

          我々はいまインフレへの「適者生存」を迫られている

          相変わらずガソリンが高いですね。いつになったら値下がりするのでしょうか。国際原油相場は、今後もずっと高値で推移するのではないか?という記事が、4/25の日経に掲載されています。  記事を読む限り、「バックワーデーション」という先物曲線の形状が、原油の高値長期化を映しているわけではなさそうです。単に、原油の期先物の上昇が、原油の高値長期化を反映している、という解釈のようです。  実は半年前、期先物の上昇が原油需給の緩和を招くのではないか、という記事が出ていました。当時の先物

          我々はいまインフレへの「適者生存」を迫られている

          物価高対策、何か忘れてませんか?

          物価高対策が迷走しています。何故でしょうか。 日本はインフレに慣れていないから、効果的な物価高対策を思いつかないのでしょうか。そんなことはありません。 何故なら、過去に消費税率引き上げの負担軽減策を練り上げてきたからです。 キャッシュレス決済のポイント還元を、なぜ再開しないのでしょうか。食料品への軽減税率を、なぜ強化しないのでしょうか。 消費増税を実現するためだったから?いや、そんな事で政策が歪められるはずはありません。 政府が動かないなら、政治主導で。与党の政策提

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          為替レートを善悪で語るな

          このところ、「悪い円安」というフレーズを目にする機会が増えています。 大幅な円安が世界的なインフレと相まって輸入物価を押し上げ、消費者心理を圧迫する「悪い円安」の登場は、円安・株高による経済の好循環を見込みづらくなった時代の到来を市場に強く印象づける。 為替レート自体に良いも悪いもなかろう、というのが私の受け止めなんですが、一般的には違うようですね。ひと昔前には「良い円高、悪い円高」というフレーズが流行りました。 良いとか悪いとかを判断するのであれば、何らかの判断基準が

          為替レートを善悪で語るな

          おカネの不安は尽きませんが、和らげることはできます

          久しぶりにCOMEMOの「ご意見募集」に乗っかります。個人パーパスという言葉、初めて聞きました。 # あなたの個人パーパスは 「企業理念」の個人版という感じですかね。 資産運用に携わるリサーチの専門職として回答します。私の個人パーパスは、『資産運用の不安を和らげる』です。 株式や投資信託などの金融商品は、価格が日々変動します。分散投資だろうが長期投資だろうが、変動することに変わりはありません。  相場が変動した結果、資産が増えれば嬉しいし、減れば悲しいでしょう。でも

          おカネの不安は尽きませんが、和らげることはできます

          銃声が鳴った後も、小麦は高いでしょう

          ロシアのウクライナ侵攻で株価は大暴落!?とはなりませんでした。2/25(金)の株式相場は、世界的に反発しています。 株式相場には「噂で買って事実で売れ」という格言があります。国際紛争の場合はその逆で、戦争が起きる前まで株式相場は下げて、実際に開戦すると株価が上がるというパターンです。それにも相場の格言にあることを日経電子版で知りました。お恥ずかしい限りです。 さて、株式相場は反発しましたが、商品相場はどうでしょう。例えば、小麦はロシアとウクライナで世界の貿易量の4分の1を

          銃声が鳴った後も、小麦は高いでしょう

          製造業生産「調達難」の落とし穴

          昨年12月の製造業の生産統計が、1/31に発表されました。昨年末のデータを今さら確認して何になる?という批判はごもっともです。しかし人間は過去のデータからしか将来を予測できないので、仕方ありません。 部品が足りないから作れないとか、ドライバーがいないから運べないという指摘は、コロナ以降に頻繁にみかけます。 しかし冒頭の生産統計を良く調べると、「ホントにコロナのせいで調達難なのか?」と疑問になります。 たとえば、半導体などの電子部品・デバイスです。 昨年12月の出荷数量

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          株価反転のカギを握る業績の「鈍感力」

          年明けから大荒れの株式相場ですが、業績回復が確かな銘柄には、しっかりと買い戻しが入るようになってきました。相場は徐々に冷静さを取り戻しつつあります。 本格化する2021年4~12月期の企業決算発表で、投資家は業績の確からしさを判断し始めている。 「業績の確からしさ」とは、実に曖昧な表現です。 一番の「確からしさ」は、実際に「業績が良かった」という事実です。記事にある信越化学は、前日の大引け後の決算発表で好業績が確認され、その翌日は前日終値から7%超もの値上がりとなりまし

          株価反転のカギを握る業績の「鈍感力」

          来年の中国はデフレかもしれない

          一時は世間を大きく騒がせた中国の不動産会社「中国恒大集団」の債務不履行(デフォルト)問題ですが、もはやデフォルトしても大して話題にならないようです。 とはいえ中国の不動産業界が厳しい状況に変わりはありません。住宅やビルなどの不動産が売れなければ景気は冷え込みます。しかも不動産会社向けの貸し出しが焦げ付いた多くの銀行は、不動産以外の貸し出しにも慎重になりがちです。そうやってカネまわりが苦しくなると、最終的にデフレになるというのが、これまでの中国の景気サイクルです。 来年の中

          来年の中国はデフレかもしれない