見出し画像

目指せ早期活躍!実務に役立つ書籍5選【人材業界/キャリコン1年目向け】

土台を作り早期に活躍するために

誰しも最初は「未経験」なわけですが、現場で揉まれつつ経験を積んで実務スキルを上げていくのは良しとしても、なるべく体系的に知識をつけて早期に活躍したいよな!?

今回は人材業界に未経験中途入社or新卒入社をした方向けに、実務に役立つ書籍をまとめてみました。

理論アカデミアではなく、実用的で業務に反映しやすいことを重視しております。

キャリアコンサルタントの資格は取得したものの人材業界で働いていたわけではない、という人にも役立つ内容が多いからおすすめだよ!


現場実務のお悩み別おすすめ書籍

入社直後は様々な壁にぶつかり何から手をつけていいか分からなくなるかと思いますが、一つずつ整理して乗り越えていきましょう。

①人材紹介の実務と特徴を知りたい
②各業界出身者/人事担当者とスムーズに話せるようになりたい
③市場全般の最新動向を大枠で掴んでおきたい
④市場全般の最新動向を数字で掴んでおきたい
⑤おまけ:仕事に対して自分の意見を持てるようになりたい

まずは業務の基本をマニュアル的に押さえ、教科書を手元に置く。

割とすぐに現場に放り込まれがちなので、接する人たちとの商談をこなすために必要な基礎知識を身につけつつ、それらの会話の根拠を市場全体像と数字根拠で押さえておくと、急に話す中身に自信と説得力が増すのである。

その上で、本からの他者意見丸呑みではなく、自分なりの考察や意見や提案ができるようになっていけると仕事を軌道に乗せやすくなると思う。

というわけで、個人的には、上から順に読んでいくと理解が進みやすいと考えてるよ!
知識をつけつつ、実務で小さな壁を乗り越えていくことで成長の相乗効果が生まれます。

①人材紹介の実務と特徴を知りたい


実務イチオシなのが、『人材紹介の仕事がよくわかる本(小松俊明)』である。

・紹介ビジネスの基本構造
・業務フローの基本
・派遣/ヘッドハンティングなど近接領域の基本
・実務トラブルQ&A/用語集

など、研修でまるっと欲しい内容が一冊にまとまっている良書です。

なかなか「実務で使える」本は少ないのが実情で、多くの初心者向け書籍は、一般的なビジネスモデル図解などで終わってしまうんですよね。

そんな中で、基本の利益構造の仕組みはもちろん、
・人材紹介内での細かいタイプ分け
・よく起こる業務トラブルおよびその対応法
・業務フローをRA(リクルーティングアドバイザー/法人営業)なら求人開拓からヒアリングの掘り下げ方まで
・CA(キャリアアドバイザー/候補者対応)ならスカウトデータベースの使い方から面談準備、フォローの仕方まで
を具体的かつ丁寧に洗い出してくれるのです!

これさえ読めば、今後の業務の流れと、大体のトラブルは予習できるぜ!!!(第7章『トラブル対策の基本』記載の事項は確かにほぼ全て経験したぜ!!読んでてよかった!!)

初版は2009年とやや古めですが、ビジネスモデルも業務の進め方も現在でもほとんど変わっていないので、全く問題なく使える内容です。
紹介手数料の相場すら変わっていなかったわ…。

特に、第3章『業務フローの基本』第4章『契約実務の基本』にはお世話になりました。

なんならRA→CAの異動を経験してるから、1社にいるうちに2回「未経験業務」で読み込みしてる。

契約関連も最初は「相場観」とか「業界の慣習として」とか言われても全く分からんので、契約文言の意味合いや、企業側との交渉余地、売上数字のためにも絶対譲れない部分などなど、体系的に最初に学べて良かったです。

私はファーストキャリアが「人材紹介(転職エージェント)」なのでこの本を推奨してますが、「求人広告」や「人材派遣」の実務でおすすめの書籍があったら是非とも読んでおきたい。情報お待ちしてます。

②各業界出身者/人事担当者とスムーズに話せるようになりたい

実務においては必ず、企業の採用担当者か、求職者の方と直に話すことが出てきます。
それも日常的に。
人材紹介にしろ求人広告にしろ、究極は、募集案件と求職者ニーズのマッチングなわけですよ。

だから、法人営業なら担当者から求人の魅力となる情報や材料をいかに根拠の裏どりしながら引き出せるか、キャリアアドバイザーなら求職者からいかに現職で悩んでいることや叶えたいことを引き出せるか、が実務の肝でもあるんですが、お互いの前提知識が揃っていないと会話が成立しないこと多々です。

聞くべき情報をヒアリングできなかったり、こいつ分かってねーなと早々に見切られてしまったり、求人にマッチする候補者を探せなかったり、求人票の情報を読み解けなかったりね…。結構致命的なんや…。

そんな時に、産学社の『産業と会社研究シリーズ』ですよ!!

・1業界1冊で毎年刊行
・主要企業の雰囲気・業界内立ち位置が分かる
・業界のビジネスモデル/働き方/最新情報がまとまっている
・1冊頭に入れば「分かる人」と認知される優れもの!!

特定業界の知見をつけるためには、まず新卒向けの「業界研究本」をおすすめするんですけど、このシリーズの何がいいって、「主要企業の雰囲気&業界内の立ち位置が分かる」ことです。

各業界のガイドブックみたいな感じですね!

これ、実務における担当者/候補者との会話の中ではすごく重要なんです。

不動産業界の人と話す時、同じ財閥系デベロッパーだからって三井不動産・三菱地所・住友不動産はつい爆笑するほど社風も営業スタイルも違うのは知っておかないと会話がずれるし、平和不動産の重鎮感も中途採用スペックもやばいことは認識しておくと大家さん業の強さが分かるし、大和ハウスグループのコスモスイニシアが元リクルートのグループ会社だったとかちょっと意味が分からないのにザイマックスも元リクルートかよ「世の中どこもかしこも元リクばっかじゃねえか!」という小粋なツッコミもできると尚良しなわけです。

そういう系譜あっての、各社の強みなんだなー、とか。
中堅〜大手との待遇と比べて担当企業はこの辺だよなー、とか。
”不動産”だけで想像する営業スタイルって某社だよねー、とかとか。

該当業界で2〜3年働いてたらなんとなく肌で覚える雰囲気や立ち位置を、1冊1日かからず座学で身につけられるのは、全ての業界では働けないけど多数に関わる仕事をする上で助かるのだ。

中堅/地方大手も一部カバーしてくれてるのもポイント高い。

業界研究本は世にたくさん出てるので、馴染みのある業界の本を一冊ぱらぱら読んで見て、肌に合えば揃えていくのをおすすめします。
このシリーズじゃなくてもいいんだけど、自分が中心的に担当する業界の一冊は必ず持っておくようにしましょう。

この本を読み込んだ後であれば、業界地図が実感を持って楽しく読めるようになるんだ!

初心者に「業界地図」が難しい理由は、ガイドブックによる分かりやすい解説なしに、旅行先の地図だけいきなり見てもピンとこないのと同じ現象だと思っている。

③市場全般の最新動向を大枠で掴んでおきたい

みんな大好き「業界地図」です。

最初に購入したのは就活の時、っていう方も多いのでは?

・四季報か日経かは個人の好みでOK
・最新版を毎年購入するのは人材業界勤務の基本
・手元に置いてトレンド理解&辞書的な使い方が吉
・浅く広くの決定版! 担当領域は別書籍で深掘りをしましょう

昨年と大して変わってないのでは…?という思いから購入躊躇するのが毎年の恒例行事なんですが、最新年度持ってないのもどうよと葛藤を経て半ば義務感で購入しております。入社初年度は勇んで買った。

私は会社四季報派なので、東洋経済新報社版を前提に語りますね。

数多ある業界を横断的に知れるのはもちろん、頭に入ってると実務を掴みやすいことが多々あります。

・各業界のトップ企業はどこか
・上場企業の平均年収ランキング
・業界ごとの平均年収ランキング
・主要企業の売上高/営業利益
・新興業界の全体像
・数字を見る上での基本的な用語解説
・各業界の資本関係図
・特定企業の索引 などなど。

同業界の「上場企業」「大手企業」といっても、売り上げには数倍の差があるなんて普通だからね。その辺の規模感を掴むにも良いです。
昨年対比で上がった・下がったとかも分かりやすいし。

担当業界や領域は個別本で深掘りしてから、業界地図で全体像を確認すると「なるほど!」の気づきが多いです。
チェックポイントに記載してるグラフの出典元とか紐解くと情報満載だよ〜!

名前の通り「地図」なので、解説が少なく、記載事項も絞りに絞った内容なんですね。
だから「勉強」のために使うというよりは、辞書的に手元においてすぐ参照できることが一番大事かと。

私が就活生の時分は使いこなせなかったなあ…。
学生時代に「資料集」や「地図帳」を楽しめたタイプかどうかが如実に出ると思ってるんだがどうでしょう。

尚、業界地図の実務上一番役に立つ使い方は、「営業先の新規開拓リスト作成補助」としてなんだけど、具体的に書いてたらそれだけで2000字超えたから、近いうちに別記事にするな。

※近日公開:『人材業界営業向け:業界地図を活用した新規開拓リスト作成方法』

④市場全般の最新動向を数字で掴んでおきたい

動向を数字で掴むならば、『厚生労働省の統計データ/白書』 が一押しです。

ここまでくると「本」じゃないんだけど、やはり諸々の出典元になる一次情報/統計情報はええで。

・無料入手できるのは強い
・労働経済白書は日本全体の動向掴むのにも良い
・有効求人倍率くらいはすぐ出てくるようにね!
・法改正なども重要だからチェック!
メルマガもあるよ!


行政が出す資料って取っつきにくい、と思う方も多いでしょう。
ところがどっこい、数字の羅列だけじゃなくて、コラム的な感じで現状の課題や変化推移をグラフデータともに文章で書いてあるので、割と理解しやすいです。無料だし。

そんな意外と読みやすい実態を知らないくらい、やはり行政資料は敬遠されるもの。
ぶっちゃけ実務でここまで把握してる/年度ごとに目を通してる人間は少ないので、簡単に差別化に繋がります。
話題の自己啓発本読むよりずっと勉強コスパええで。無料だし。(2回目)

個人的には、下記の統計情報および白書ページがおすすめです。

・完全失業率
・有効求人倍率
・賃金上昇率
・労働時間・有給休暇の動向
など、頭に入れておくべき情報がたっぷり詰まったお得セット。

有効求人倍率が高い職種/低い職種、高いエリア/低いエリアなどもあわせてチェックしておくと良いです。
第二部では「働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について」を語っており、色々考える要素も多い。

次に、こちらの統計もカネにまつわる話で面白い。

事業所の属性、雇用形態、就業形態、学歴、年齢、勤続年数、役職、職種、経験年数、実労働日数、所定内実労働時間数、超過実労働時間数、超過労働給与額、1年間の賞与、期末手当等特別給与額など、様々な分類を調査。(『調査事項』より抜粋)

あらゆる方向からお賃金を調査する興味津々なセット。

・どうして業界・業種を変える転職をしたいのか?
・この業界/職種で求人を募集するなら、どんな点を強み/弱みとして認識すべきか?
なんてことを考えて提案するときに役立つ知識になるよ。

統計データに当たると説得力が増すし、視野が広くなります。
データは色々あるので、欲しいデータがあればとりあえず厚労省内の検索窓に打ち込んでみるといいんじゃないかな。

各業界研究本や業界地図をめくりながら気になったことや、顧客やクライアントから言われた何気ない疑問や意見など、根拠を探れると自信を持って自分の意見を伝えることができるようになるし、説得力が段違いになります。多分マネージャークラスでもちゃんと読めてる人いないような。
そんな奴らをさくっとごぼう抜きして強い新人になってしまいましょう!

あと統計資料の役割として、日本全体の平均数字や動きを掴めるのも重要な部分。
良くも悪くも、「人材系の会社勤め」とか「個人でキャリアコンサルティングしてる」場合、接する顧客はどうしても偏りが出ます。
言うなれば、採用広告や人材紹介にある程度お金が使える会社、とか、自分が得意としている属性のクライアント、とかになっちゃうんですよ。
エリア属性とかも影響するし。

その中で、全体を数字として把握しておけると、客観的な意見を確信を持って言えるようになるんですよね。
なんやかんや、仕事で接する顧客は、ある程度選別された一部なんだと思っておくくらいがバランスいいですよ。

⑤おまけ:仕事に対して自分の意見を持てるようになりたい

新卒の教育指導を任されたら渡したい本ですな。
話題も大きかったので、持っている方/本屋で見かけた方も多いのでは?

73のキーワードをもとに、見開きで「働く」ことを哲学するために重要な概念を図解してくれています。

キャリアコンサルタント試験でも出てくる馴染み深いキーワードも多いです!
「外的キャリア/内的キャリア」とか、「動機づけ要因/衛生要因」とかね。
これらの概念は知ってるだけじゃ足りなくて、どう自分の地肉にして、自分の言葉で語れるかが大事だと思うのだよ。
だから、つけた知識を自在に引き出し使えるようにするために、キャリコン1年目もこちらの本はおすすめです。

私が後輩を指導をするならば、隔週で1テーマずつ自分の考えをまとめるように後輩氏に宿題を出して、その内容について1on1とかランチタイムで話す動きを1年間続けるかな。

1年あれば半分がぎりぎり終わるか終わらないかくらいだから、奇数か偶数どっちが良いか聞いて、選んだ方の数字を前から順番にテーマにしてく感じ。過去の自分相手だったら、毎週1テーマでやるけど息切れするのが目に見えてるので、隔週ペースにしておいて関心事項は自分のペースで開いてもらえると良いな…と。(リアルな想定)

人材業界で働くことの大変さと、仕事への意見を持つことの重要さ

人材業界で仕事するならば、「働く」ことや「仕事」に対して、自分なりの意見を持っておいてほしいのですよ。

それは本人が仕事をする上で、提案や深いヒアリングを出来るようになる実務面のメリットも狙っているけれど、何よりも、ともすると「キャリア」への意識が麻痺してしまうほど情報が入ってくる環境の中で、ちゃんと自分の軸となる・立ち帰れる「仕事への価値観」を醸成してほしいなと願ってしまうのだ。

人材業界での仕事ってさ、結構ルーチンになっちゃう部分が多いのよ、正直。

やってる業務内容自体はここ20〜30年変わっていないしさ、景気変動の変化は受けるけど、根本的な変化はそんなにしてないのね。
参入障壁も低いし、1案件のクローズまで2〜3ヶ月単位だし、案件は常に複数回しながらだし、まあ言っちゃなんだが、やること自体は代わり映えしないのよ。
ドラマチックな受注ストーリーやお客さんとの関係性は、1年に1回あればご褒美だと思っている。

だからこそね、「仕事」に対して、一家言を持っておかないとすぐに呑まれちゃうのだよ。

転職やキャリアチェンジや採用が身近にあるものだから、すぐ目移りしちゃうこともあるし。(人材業界の離職率が高い理由の一つ、「転職」が身近な素材だということもあると思ってる。)
やることはルーチンに近いから、慣れてきた頃に、本来強い影響を他社・他者に与える内容であることを忘れがちになっちゃうし。
年上を相手にすることも多くて、個人情報や生々しい企業情報も入ってきやすいから、人によっては勘違い発生しちゃうこともあるし。

最初は刺激的で楽しいと思う。
いろんな人の話が聞けて、課題解決に携わることができて、採用課題=経営課題だから面白い企業の話も拾ってこれるし。

でもね、営業数字はすごく求められるし、達成しないと仕事がしんどくなるし、これは本当に顧客のためになるのだろうかという疑問と戦う場面は、入社して早い段階で訪れるのよ。

参入障壁が低めの業界だからさ、入社したての新人も、すぐに現場に放り込まれてガンガン揉まれるから、その疑問や壁にぶち当たるタイミングも、多分、お堅い業界よりちょっと早いはずなんだよね。

そんな時に、「働く」ことに対する自分の立場や意見がないと、揺れるんだわ。

自分はどこを向いて働いていて、
なんのために、誰のために、どうして仕事をしているのか。

「人が好きで」「誰かの役に立ちたくて」「人生の転機に立ち会いたくて」人材業界を志した人ならより一層、現実と理想の間でわけ分からなくなる瞬間がくると思うのよ。

答えはすぐに出ないだろうけど、考える癖を、言語化して伝える能力を、心動くものに引っかかる感性を、新人後輩には身につけてほしいと願うのだ。

これをゼロから自分で考えろというのは結構酷な話である。
なかなかに激務企業が多い人材会社で、落ち着いて思考するのも、問いを設定するのもハードルが高い。
だから1〜2年かけて、じっくり考えて、読み潰していく種類の本だと思っております。

くっ。実在しない俺の新卒後輩に感情移入と成長への願いを託しすぎて高まってしまったぜ…。

また興が乗った時にでも、営業本や担当業界深め本や業務効率化本などについても紹介しますね。
語りがちなことが分かったので、今度からは1冊1記事で書くことにしよう。(決意)


いただいたサポートはnote経済を回すか書籍購入でパワーアップするかに使っています。良きかなと思ったら投げ銭いただけるとはしゃぎます。