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フィンランド留学記#15 カラオケバーでカントリーロードを歌う

地方都市オウルにもカラオケはたくさんあった。そのため、「カラオケは日本語で、空=empty、 オケ=orchestraという意味なんだよ!」という日本うんちくを何度も披露してしまった。

フィンランドのカラオケは、必ずバー形式だ。日本のボックス式とちがって、バー店内にいるお客さん全員に自分の歌を聴かれることになる。

決して歌がうまいほうではないわたしは、カラオケバーを避けていた。しかし、12月20日、友人のドイツ人留学生の妹がフィンランドに遊びに来ていて、留学生何人かで集まり、シティセンターのカラオケバーに行くことになってしまった。

店内に入ると、おじさんがフィンランド語の歌を大声で歌っていた。CDで販売されている洋楽ではない「一般の外国人の歌」を聞いたのは初めてで、「そりゃ、外国人にも音痴はいるよな…」という当たり前で、失礼な感想を持ったことを覚えている。

ハイテクなデンモクはなく、紙のリストのなかから歌う曲を探すのだが、そもそも、外国人用の英語の曲目リストはとても薄かった。数少ない選択肢の中から、わたしたちは「カントリーロード」とマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」を歌った。マイケルはともかく、カントリーロードがドイツ人にもトルコ人にも知られている、国を越えた名曲であることに驚いた。音楽の授業を真面目に受けていたことが、こんなときに役立つとは。

この1件以降、留学期間中にカラオケバーに行くことは2度となかった。もし、もう一度フィンランドでカラオケバーに行くことがあれば、1曲だけでもフィンランド語で歌を覚えて行ってみたい。きっとヒーローになれると思う。1人で、人前で歌うには、きっとまたお酒の力が必要だけど。

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