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日本でできる避妊法

始めに


「避妊に失敗したかもしれない… 」という相談を受けることがあります。
避妊について、正しい知識を持っている方は少ないと思います。不安や心配を抱えながらのセックスは、心底楽しむことができません。みんなが恋人と性的な関係を持つときに、お互いが安心感を持ってセックスを楽しめるよう、今回は避妊法についてまとめますので、最後までお付き合いいただけるとうれしいです。

日本で主に使われている避妊方法

日本では、次の4種類の避妊法があります。
①コンドーム
②低用量ピル
③IUD/IUS
④アフターピル(緊急避妊薬)

海外に行くと「避妊シール」「避妊インプラント」「避妊注射」など、他にも多くの選択肢がありますが、今回は日本でできる避妊方法のみ紹介します。
(今度、機会があれば世界の避妊方法についても紹介してみようかな…?)
今回の記事では、不可逆的な避妊法(手術)については触れません。気になる人は婦人科で相談してみてね🫶

注意

ピルやIUS/IUDは副作用や痛みはもちろんですが、お金もかかります。間違っても人に向かって「ピル飲めばいいだろ」など言ってはいけません。相手がたとえパートナーであっても、絶対に言わないでください。

パール指数

このあと、4種類それぞれの紹介をしますが、先に1つだけ用語を紹介します(難しいとか言わないでね…)
それはこの見出しにもある通り、「パール指数」です。
一言で言うと、1年間その避妊法のみを用いて性行為を行った女性が妊娠する確率のことです。つまり、1年間で100人中何人が妊娠してしまうのか?という目安の数字です。数値が低ければ低いほど避妊失敗の可能性が低いことになります。

これを踏まえて、4種類それぞれの紹介をしていきますね。

①コンドーム

「避妊」と聞いて真っ先に思い浮かぶのはコンドームだと思います。男性器に装着することで、精液の侵入を防ぎ避妊する方法です。日本ではコンドームに対する信頼が高く、“コンドームつけとけば大丈夫!”みたいなイメージが根付いていると思います。しかし、実はコンドームはみんなが思っている以上に頼りないんです…
コンドームのみの避妊で性行為を行った場合、1年間で18%程度の確率で妊娠すると言われています(さっきのパール指数というものです)。正しい使い方で使用すればその可能性をもう少し下げられますが、思ったよりも高い確率だと思いませんか?そのため、他の避妊法との併用をおすすめしています。

覚える必要はありませんが、1つおはなししておきたいことがあります。コンドームは体温計などと同じ「管理医療機器」です。コンドームはアダルトグッズではなく医療機器。だから、購入時の年齢確認は必要ないし、コンビニ等でも普通に購入できます。(通販で年確されるのは「コンドームがアダルトグッズだから」ではなく、「販売店がアダルトショップだから」ですよ)

いいところ

・避妊方法の中で唯一、性感染症が予防できる
・安い
・薬局やコンビニなどで市販されていて手に入れやすい
・副作用がない

注意点

・避妊失敗率が高い(パール指数=18)
・素材によってはゴムの匂いが気になるかも(コンドームの素材についての記事
・「生がいい」と忌み嫌う人が一定数いる
・使い方を間違えている人が多い
・正しく使えるようになるには練習が必要
・装着時に気まずい雰囲気が流れる場合があり、工夫が必要
・男性に装着を拒否られると女性側はどうにもできない
・財布の中には入れないで…!

②低用量ピル

毎日1錠を決まった時間に薬を内服することで、排卵を抑制して妊娠を防ぐ方法です。(詳細は後日まとめようと思っているので今回はざっくり)
コンドームは男性の協力がないと使用することができません。それに対して、ピルやIUSは女性が主体となって避妊ができます。妊娠や出産を経験することになるのは女性なので、女性が主体となって避妊に取り組めるメリットはとても大きいと思います。

よく、「生理不順や生理痛(月経困難症)の治療目的で内服しているピル(LEP)でも避妊効果はありますか?」と聞かれます。結論としては、避妊効果はあります。じゃあなんで区別されているの?と疑問に思うと思いますが、保険診療の兼ね合いで呼び方が異なっているだけと思って大丈夫です。(海外に行くとOC/LEPの区別なく使われてることが多いよ)

「妊娠したくなった時にできなくなるのでは…」という心配の声を耳にすることもありますが、それも心配いりません。妊娠したいと思ったタイミングでピルの内服を中止すると、2〜3ヶ月以内には排卵を伴う通常周期での生理が再開します。
ただし、性感染症の予防効果はありません。性感染症予防のため、コンドームとの併用が推奨されています。

いいところ

・避妊成功率が高い(飲み忘れがなかった場合、パール指数=0.2)
・女性が主体的に避妊に取り組める
・生理痛の改善が期待できる
・生理周期のコントロールが可能

注意点

・毎月3000円前後お金がかかるので、学生さんだったりすると金銭的に難しいことも…
・毎日決まった時間に薬を飲むのがめんどくさいし、忘れる
・産婦人科での処方が必要なので通うのがめんどう
・年齢・既往歴等の要因によって飲めない人がいる
・偏見を持っている人もいるので、飲んでいるとぐちぐち言われることがある

③IUS/IUD

子宮内に器具を入れて妊娠を防ぐ方法です。商品名の「ミレーナ」の方が知られているかもしれません。1度挿入してしまえば約5年間有効です。毎月ピルを買うことを考えると、コスパはいいと思います。ただし、ピルと違うのは器具を抜くために病院に行かなければならないところです。ピルは自分の判断で飲むのをやめるだけでいいのに対して、ミレーナは病院に行かなければ器具を抜くことができません。そのため、出産経験のある方など、妊娠を当面希望しない方にすすめられます。

IUSとIUDのちがい

IUSとIUDは何が違うのか、これは次のようなイメージだと思って思ってください。
本来の意味
IUD:子宮内避妊具の総称
IUS:IUSの中でも黄体ホルモンが付与されているもの
実際に用いられる意味
IUD:器具に銅がまかれているもの
IUS:器具に黄体ホルモンが添加されているもの

いいところ

・避妊失敗が少ない(脱出等のトラブルがなければ、パール指数=0.2)
・飲み忘れ等がない
・既往歴や年齢によってピルが難しい方でも使える(作用の範囲が限局的なので)
・1度挿入してしまえば5年間有効
・生理痛が軽くなる

注意点

・器具の挿入時に痛みを伴う可能性がある
・挿入からしばらくは不正出血等の副作用が出る可能性がある
・避妊目的の自費診療の場合、3~5万円程度かかる(治療目的の保険診療だと1.5万円前後)
・子宮筋腫や子宮内膜症などの要因によって、脱出してきてしまうケースがある
・ピルとは異なり、生理周期のコントロールはできない

④アフターピル

性行為後に薬を内服することによって排卵を止めたり遅らせたりして避妊する方法です。(これも詳細は後日まとめるから待っててね)

いいところ

・避妊法の中で唯一、過去の性行為に対する避妊が可能

注意点

・タイムリミットがある
・避妊成功率はかなり低い(「1回の性行為で」15%程度失敗する)
 →あくまで緊急策。常用はしない。他の避妊法で使っていた指標のパール指数とは異なり、「1年間で」の指数ではないので注意!
・ホルモンの含有量が多いため、低用量ピルと比べても副作用が出現する頻度が高く、症状も強く出る
・高価
・産婦人科での処方が必要

以上の内容をまとめた表

番外編:安全日・危険日

最後に、巷でよく聞く「安全日」「危険日」という考え方について。(詳細は長くなるから別でまとめる!)
結論だけ述べておくと、比較的妊娠しづらい日は確かにある。でも、妊娠しない日なんてものは存在しない。だから妊娠をしたくないならこの方法だけでは不十分。
だから私が伝えたいことは、”生理周期的に「安全日」と言われる日であっても確実な避妊をしてほしい
妊娠を望まないなら確実な避妊を…!

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