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残業の多い人


1、月例会議

以前の会社で総務担当時代、月例の会議がありました。

その会議で私は、支店長ほか会社の上層部に毎月の残業発生状況を説明しなければなりません。

残業の多い従業員が毎月数名リストアップされ、私が状況を説明します。
「今月の残業時間実績」
「残業が多くなった原因」など・・

上層部からよく聞かれた質問は、
「なぜ残業が多い人って、毎月同じなの?」

そうなんです。
残業が多い人って、いつも同じ面子なんです。
皆さんもそんな印象ないですか?

2、残業が多い人たちの特徴

会議の場で質問されるのも辛いので、なんとか残業が多い人を減らそうと、私は本人に取材をしました。
「なぜ残業が多いのか」
「何かサポートできることはないか」など。

彼らの反応はだいたい同じで、こんな話をします。
「自分がやっている仕事は大変なんだ」
「この仕事ができるのは自分しかいない」
「同僚や部下に任せられる人はいない」
「自分は頑張っているのに、そのように言われるのは心外だ」

確かに彼らが担当している仕事はかなり専門的ではありました。
例えば、社内のシステム担当とか、社外に独自の人脈があり、それを活かして仕事をしている人とか・・
やり手の職人達と言えなくはありません。
他の人と仕事をシェアするのは、それはそれで別の労力が必要とも思えます。
だから、自分だけで仕事を抱え込み残業が多くなるのです。

3、ビジネスのルールでは時間にも限りがある

ビジネスは、限りあるヒト・カネ・モノという経営資源(リソース)を有効に活用して、いかに儲けるかのゲームです。
時間も同様にリソースであり、限りがあります。
そして、それは法令でも定められています。

社会人の方ならご存じの「1日8時間、週40時間労働」と「三六協定」を定めた法律です。

使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

労働基準法 第32条

使用者は、(中略)労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、(中略)第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

労働基準法 第36条

労働組合など労働者代表と「三六協定」を結べば残業は可能ですが、原則として1日8時間・週40時間の労働時間内で勝負するのが、ビジネスのルールです。

このルールを破って戦うと、短期的には勝てるかもしれませんが、長い目で見ると勝てません。
残業が多いということは、限りあるリソースのひとつ、ヒトのマネジメントが下手だ、と言うことになるからです。

最近はあまり話題にならなくなりましたが、かつての日本企業はこのルールを守らず長時間労働を武器に国際競争で独り勝ちをし、アメリカをはじめ世界からひんしゅくを買ってました。
「カロウシ(過労死)」が世界で通用する言葉とも言われていました。

しかし、21世紀になったあたりから日本企業がこの武器で戦っても、国際競争では勝てなくなりました。
残業が多い人たちも、同様に結局は勝者になれません。
あくまでも社内の出世という尺度での計測値ですが。

なぜでしょうか。
残業が多い人は自分の仕事をブラックボックス化し、他の人には分かないようにするパターンが多いように思います。
たとえ人事異動で部署が変わっても同じです。
そういう性分のなのでしょう。
だから残業が多い人というのは、いつも同じ面子なのです。

本当に仕事ができる人は、スタッフと仕事をシェアをします。
困難に見える業務も細分化して、一人ひとりのスタッフが取り組みやすいようにしてから、同僚や部下に任せています。
結果スタッフ全員が機能し、チームの効率がアップします。

本人は?と言うと、涼しい顔で次の構想を練っています。

やることが先手先手だし、ヒトという最も重要なリソースを使うのが上手なのです。
業務内容もしっかり分析できているのでしょう。

このようなリーダーがいるチームは、スタッフの人たちも楽しそうに仕事をしています。

将来ある人はこういうリーダーを目指しましょう。
令和の時代にもあってます。

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