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給料から引かれるお金について 労働保険料編

これまで、税金と社会保険料の解説をしてきました。

今回は労働保険料です。
労働保険とは雇用保険と労働者災害補償保険(労災保険)のことです。

一般的には、
社会保険=健康保険、介護保険、厚生年金保険
労働保険=雇用保険、労災保険
ですが、広い意味では労働保険の2つも「社会保険」と言う場合があります。

例えば、源泉徴収票に記載されている「社会保険料」の欄の金額には、自分の給料から天引きされた健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険の合計額が記載されています。源泉徴収票では広い意味での社会保険の方を採用しています。

労働保険料のうち、従業員の給料から天引きされているのは、雇用保険料だけです。
(後述しますが、従業員は労災保険料を払っていません。)

雇用保険とは、失業保険と言う人もいますが、在職中に給料から保険料を支払い、失業した際に一定期間その人の収入を補償してくれるのをメインとしている制度です。
ハローワークがその手続きの窓口です。

雇用保険料は、給料支給実額×保険料率です。

給料支給実額には、残業手当や通勤手当も含みます。

実額なので、残業手当が多い月は保険料も高くなります。

通勤手当を3か月分とか6か月分とか、まとめて支給する会社の場合、通勤手当の支給月は雇用保険料も高くなります。

保険料率は0.6%です。
会社側も0.9%を負担しています。

週の所定労働時間が20時間以上かつ雇用契約期間が31日以上の人は、最初から強制加入です。

31日とはほぼ1か月ですね。

この1か月以上と言うのは、加入要件として短すぎると、私は思います。

保険料払い損の人が数多くいるためです。

どういうことかと言うと・・・

1か月の短期アルバイトを始めると、雇用保険に加入し、保険料を支払うことを国から強制されます。

例えば、世の中には年末繁忙期に2か月程度の短期アルバイトの求人はたくさんありますね。

そのようなお仕事に、専業主婦のような方が単発で働いて、給料から雇用保険料を払っても、その保険料が本人のために活かされる可能性はほとんどありません。

失業した際、給付金をもらうためには、過去2年間に12か月以上の加入期間が必要などと言った、保険料支払い実績についての条件があるからです。

ちょっとした家計の足しにとか、お小遣い稼ぎにと働く2か月程度の単発アルバイトでは、雇用保険料は取られるだけになるでしょう。

一方、単発のアルバイトを繋いでいくことで、生計を立てている方もいると思います。

そのような方がアルバイトを繋げず、収入が絶えてしまった際、その救済のために、雇用保険では1か月以上の仕事から加入要件にしているのでしょう。

問題は、全員を強制加入にしていることです。

雇用期間が1か月から6か月未満の人の雇用保険加入の有無は、自分で選べるようにして、強制加入は6か月以上からとするのが落とし所と、私は思います。

労災保険は、保険料を天引きされませんが、1日限りのアルバイトを含め、全員が加入しています。

保険料の支払いは会社側のみです。
保険料は、給料支給実額×約0.3%ほどですが、一律ではありません。
危険度の高い業界や労災事故が多く発生する会社は、高い保険料率が設定されています。

業務中や通勤中の事故によるケガの治療に、健康保険証はつかえません。

たとえ1日だけのバイトでも、事故が起こったら会社に言って、労災の手続きをしてもらってください。

万が一、対応してくれないような会社だったら、労働基準監督署にすぐに報告しましょう。
きっとすぐに動いてくれると思います。

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