超ショートショート 人嫌いな男

人と関わるのが嫌いな男がいた。男は、裕福だが子供への扱いが厳しい大家族に育てられ、家族からの自分に対する扱いに我慢できなくなりこっそり遠くの街に家出した。しかし男は街での金の稼ぎ方がわからなかった。だが男は人に聞かなかった。ある日のことである。おれは山奥で、一人で暮らしてみせる。男は唯一の友にそう言って、山奥に家を建て自給自足の生活を送ることにした。それから男が街や実家に現れることは二度となかった。男は山に行ったその日のうちに、密猟者に熊だと間違われて猟銃で撃たれていた。密猟者は丁寧に死体を処理したので、死体や遺品が見つかることはなかった。山の地主は密猟者の存在を知っていたが、男は地主に何も訊ねなかったのでそれを知らなかった。

家族や友は、彼が山に篭っていると未だ信じている。

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