現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その11)

 だが、権中納言に衣の裾《すそ》をつかまれただけでなく、あろうことか髪まで引っ張られたため、あまりに嘆かわしくひどい振る舞いだと思った女三宮は覚悟を決め、手を叩《たた》いて人を呼んだ。
 程なく目を覚ました女房たちがやって来る気配がしたため、権中納言は「とんでもなくあきれたことです」と恨み言を言う間もなくその場を後にしたが、これほどまで嫌われた我が身が情けなく、ひどく思い知らされた。
(続く)

 逃げ出そうとする女三宮に対し、権中納言は強引に引き留めようとしますが、女房たちを呼ばれてしまい、すごすごと退散することになりました。権中納言にとって、まったく予想外の展開だったはずですが、それほどまで相手に忌み嫌われているということになります。

 一点フォローしておくと、女三宮の髪を引っ張ったのは権中納言ではありません。後ほど、物に引っ掛かっただけだったことが明かされます。しかし、それをやりかねない振る舞いだったのは間違いなく、個人的にあまり権中納言をかばう気にはなれません。

 それでは、次回にまたお会いしましょう。


※Amazon Kindleストアで各種古典の現代語訳を公開しています。

3

たま

古語⇔現代語。「水谷悠歩」の筆名で古典の現代語訳や小説を書いています。 http://yamanekoya.jp

現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻)

王朝物語『我身にたどる姫君』の現代語訳です。

コメント3件

なんだか…バイオハザード的な映画で手に汗にぎりつつ女性主人公をハラハラ応援する気持ちになってきました…
少女漫画なら女三の宮を救ってくれる健気なフツー青年とかが現れるのに…!
最新まで読んでしまい続きが気になります。。。(二の宮くんの出番も気になっています…)
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
この作品、今でこそ古典文学の一つに数えられていますが、恐らく当時はロマンス小説の扱いで、女の子たちがわいわい言いながら楽しんだと思います。
権中納言から逃げるヒロイン・女三宮は昔の読者たちも応援していたはずなので、いつかきっと救われると思います。
あとニノさんですが、……えーと、恐らく姫君を探してさまよっていると思います。。
う、うゎゎぁん…にの…泣

なるほど、そうですよね時代を問わず、恋に恋するキラキラした乙女たちがたくさん…(溜息)素敵です。。
楽しみにしています。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。