現代語訳「玉水物語」(その十三)

※長歌の現代語訳の公開は終了しました。
 (Kindle版『現代語訳 玉水物語』(全訳)に収録されています。)

 長歌《ちょうか》に続き、奥に二首の和歌も書き付けてあった。
 併せて、事細かに注意事項が記されていた。
「これは人に嫌われなくなる箱です。長年、連れ添った人の愛情を増す効果がありますので、姫さまに差し上げます。ただし、帝と一緒にいる間は、絶対に内側の懸子《かけご》を開けてはなりません。この世が厭《いと》わしくなり、出家しようと思った折に開けてご覧ください」
 読み終えた姫君は、愛《いと》しさと悲しさに胸が締め付けられた。

 このように、玉水は獣の身でありながら優しい心の持ち主であった。
 この哀れ深い話を後世に残すべく、ここに書き記す。

(了)

【 原文 】 http://www.j-texts.com/chusei/tama.html


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