現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その10)

「やむを得まい。これほどまで嫌われた身ならば、死後に悪評が立っても惜しくはない」
 開き直った権中納言の態度はあまりにも非常識で恐ろしく、女三宮は甚《はなは》だ困惑した。自己中心的で不快な相手の心を見せつけられ、自分の宿世《すくせ》の悪さを思い知らされた女三宮は、「たとえ岩や木になったとしても、このように心外な目には遭いたくはない」と決心し、単衣《ひとえ》だけを身に着けると這《は》いつくばって帳台《ちょうだい》から抜け出た。
(続く)

 本文中に「権中納言は開き直った」とありますが、これは無抵抗の女三宮に対しての話です。あくまで保身が第一ですので、中宮や関白たちの意に反するようなことは絶対にできません。強引な振る舞いに女三宮の不快感はさらに募り、その場から逃げ出そうとします。

 ――ストーリーが停滞していますが、間もなく動き始めますのでもうしばらくお待ちください。

 それでは、次回にまたお会いしましょう。


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