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絵がうまく描けるようになりますか?と問われて

教室で水彩画を習い始められた方から「私は上手く描けるようになりますか?」という質問を時々いただきます。

「とにかく枚数を描いて下さい。描きながら技術はお教えしますので落書きでもするように気軽に、とにかくちょっとでもいいから手を動かしてください。描いた枚数に比例して腕は上がりますよ。」と申し上げるのですが、なにか不安そうです。


そういう方を見ていると自信がないためか、絵具をちょっとづつ不安げに塗っていかれます。
なんとか、大胆に描いていただけるように工夫をしないといけないのですが、どうお教えしたらいいのかいつも悩みます。

私自身が自分の描いた絵がいいのか悪いのかいつも不安なまま発表しています。
描きあがった時、絵を描いていない妻に見てもらい。意見を貰っているのが現実です。

でも、作品に失敗はないと思っています。
仮に本人が失敗だと思っても、ひとつの作品ですからその経験が次に繋がります。
悪いのは途中で放り出してしまうことだと思います。
どうにもならなくなるまで描いたり消したり、紙が破れてしまうほど試行錯誤することが次に繋がります。


とにかく一枚でも多く描くことと、いろんな表現に挑戦していくことがよい経験になるのではないでしょうか。

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         bread F4 水彩 色鉛筆

どんどん上手(絵に上手、下手はないと思うのですが)になられる方は教室以外でもよく描いておられ、いろいろ研究もされています。
でも、やたら「努力」とか「感動を描け」という言葉は私としては使いたくないのです。
「スキこそものの上手なれ」でしょうか。
「下手の横好き」でも構わないので、どんどん描いていただきたいと思っています。


上達したいという気持ちは大切ですし、誰もが持つものでしょう。
でも、多くの方は仕事や家事などで普段からいろんな方面で努力されておられるでしょうから、できれば絵を描くことは人生の楽しみの一つにしていただきたいなと思いますが。
もちろん、プロを目指す方やその道を究めようとされている方は話は別ですが。

こんなことを考えていると文豪「ヘルマン・ヘッセ」を思い出します。
彼は文学と共に水彩画を描くことをこよなく愛していました。
文学での苦しみを絵を描くことで乗り越えてきたという話は著書や友人にあてた手紙に書かれています。
著書を時々読み返して元気づけられています。

教室の生徒さんに絵を描くことを楽しみにしていただくためには、カリキュラムをもっと工夫しなければいけないのですが、何分自分自身が独学でやってきたため教え方のコツがわからず、いまだにカルチャーセンターで教えている友人に聞いたり、いろいろな資料を探し回っているのが現状です。

太い筆を使う、絵具の種類を極端に少なくして描いてもらう、筆以外の道具で描く、モチーフを工夫する、またオイルパステル、色鉛筆などいろんな画材も使ってもらうなどいろいろと挑戦してもらい、成功体験を積んでもらい楽しかったという気持ちで教室を後にしていただきたいものです。

でも教えるということは自分自身がすごく勉強にもなります。
教室で描いてもらうモチーフで私が経験のないものについては事前に練習して、どこが難しいのかを掴むようにしていますが、生徒さんの作品の方が出来が良かったりすることもよくあります(>_<)
少人数の教室で良かった~(笑)