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ため息俳句 霙、寒い春

朝、みぞれ交じりの雨が降っていた。

今朝の春雪との予報雨戸明く  空茶

昨夜来みぞれなるらし石黒し

ひげ剃りの切れ味鈍し春浅く

トーストにバター平たく溶け残る

山茶花の花喰らう鳥みぞれ降る

春寒し今日一日は黒を着む


 午後から、免許更新の条件になっている実技講習にいった。
 13人の受講者、終始私語が禁止だという。全員が後期高齢者、お一人は八十歳を超えているようだ。そんなジジババに三時間も口をきくのを禁止するとは、どういうものか。休憩時間もない。トイレに行くにも許可がいる。
 田舎住まいの老人にとって、自動車免許の保持はある意味死活問題にも通じる。足腰がおぼつかなくなればなるほど、足替わりの車は必要になる。車に取って代われる交通機関がないことないが、不便極まりないものになるのだ。安心便利な代替えがない限りおいそれと返納はできないのだ。
 自分もまごうことなき老人であるが、年寄りばかりの教習風景には考えさせられたのであった。

春寒や老十三人の受講生