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ため息俳句81 栄養ドリンク

暑い。
「湯上がり娘」の苗を植え、オクラとインゲンの種蒔きを終えて、ようやく夏野菜の苗の定植と種まきを終えた。二日がかりの作業であった。爺ィは大いに疲れた。この暑さが応えた。
作業を終えて家に帰り、疲れてしんどくて不機な顔をしていたら、古女房がこんなのがありますといって、リポビタンDをと書かれた小箱を出してきた。10本入りリポビタンD、誰でも知っている「ファイト一発」のあれ、栄養ドリンク。
贈答というのは、社会的な生活な成りたちにかかわる習慣であるから当然のことながら、我らもやったりもらったりする。で、ここに引っ越してきたのは三〇数年前であるが、贈答にもその土地その土地の特色があって当然である。人様からいろいろなものをいただいてきたのだが、そのリポビタンD10本入り一箱というものを時折頂く。オロナミンCというのもあったが、最近はなくなった。
別に人様のご厚意にものもうすつもりは全くないのであるが、どうも自分には居心地がしっくりこないというか、何というか、「栄養ドリンクかぁー、はて?」というような感想が湧いてきたものだった。まったく、こういう物言いは、不届き千万なのは判っているがである。
でもよく考えてみると、この贈り物の意味は、多分「お疲れ様、これでちょっと元気を出してね」という意味かもしれない。或いは、「いつもお世話様、これからも元気にゆきましょう」というようなメッセージが込められているのかも知れないと、思い当たった。それに、こうした栄養ドリンク系を下さるのは殆ど年配の女性であった、おばあさん達の感覚では、ちょっと気が利いていて気軽に遅れる手頃な品であったのだろう。そう思えば、ありがたいことである。
さて、取りあえず目の前に出されたリポビタンDを頂くことにした。冷えていない、気の利かない奴めと古女房に嫌みのひとつも云おうかと思ったが、農作業の疲れが二倍になると予想されたので、生ぬるいのを、・・・、一気には飲めなかった。特に効き目があったかどうかは、正直判らない。
ちなみに「湯上がり娘」とは、枝豆である。

栄養ドリンク五月の畑辛いので