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鋏(はさみ)

それはただ切るための道具に非ず。美しく重なるふたつの刃は『切る』のみに非ず。

鋏の大元は2世紀頃のトルコで、和鋏の様な見た目のものが出土された事に始まると言う。かしめの付いた洋鋏と言われるものは西洋では古代ローマ以降、東洋では唐の時代以降に伝承されたのだそうだ。普段から使っている鋏とは、生活の中の身近な存在でありながらこの様に古い歴史をもつ『日用品』なのである。

ところで、「鋏を贈る」と言うとどの様なイメージを持たれるだろうか。鋏とは、何かを『切る』道具であるためにそこから『縁を切る』等の悪い印象を持たれる方も居るのでは無いだろうか。

実は鋏は古来より「供物」として捧げられるものであり、贈答品の刃物には『悪縁を切る、邪を断つ』と言う意味が込められている事をご存知だろうか。更に、鋏に関しては刃が綺麗に重なり合う姿から、転じて『良縁を結ぶ』と言う意味もあるのである。

今時では「便利な日用品」と言う意味で刃物を贈られる方、または刃物をプレゼントにリクエストされる方も少なくない。しかし年を重ねた方の中にも「縁を切る」の悪印象を強く感じておられる方もおり、本来の「悪縁を切る」をご認識頂けていないのが現状なのである。

個人的には刃物をプレゼントするのは大賛成だ。あって困るものではないし、何より相手を思うならば、より長持ちする良質な鋏こそ相応しい。メンテナンスが不要なレベルの良い鋏であれば、長く使ってもらえるし、何より前述に上げた「悪縁を切り、邪を断つ」ことで御守りにも成りうる。

そもそもなんで私が突然鋏について語り出したかと言うと、私自身が鋏好きであり、鋏に植え付けられた悪印象を今こそ葬り去る時、と思い書いた次第である。鋏自体も好きだが、鋏モチーフも好きだ。ネックレスや髪飾りなども鋏モチーフを持っている。なかなか日常生活では奇抜なデザイン故着けられずにいるのだが、最近諸事情で身に着けるチャンスが増えたために今再びの鋏愛の為に書き出した。

今でこそ増えつつある鋏モチーフだが、やはり奇抜さが勝りなかなか身に着けにくいのが現状だ。普段から溢れていればもう少し馴染みあるものになるのではないかと思う。ハートマークとか星模様みたいに。増えろ鋏アクセサリー!

ちなみにアクセサリーとしても好きだが、勿論鋏本体も好きだ。一人暮らしの我が家、キッチン鋏を含め合計6本の鋏を持っていた。カッターを含めると9本になった。…刃物オタク疑惑。

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