今日で有給休暇が終わる。
厳密にいうとまだ土日があるのだが、多くの会社員が働いている間、何もしていない昼寝三昧、お菓子三昧、昼から飲酒三昧（！）の平日最終日ということになる。

今更、最後に平日にしかできないことをしておきたい、等と思ってみる。
「有名店の平日限定ランチでも行ってみようか」
気になるお店はかねてより食べログの「行きたい店」リストに何件もブックマークをしていた。

店の扉を開く私、店員へ促されおしゃれな店内のうちの一席を案内される私、安めのメニューを選ぶ私、オーダーする私、食事を待つ間手帳をチェックする私、サーブされたランチプレートを撮影し、インスタにアップする私、食事を頬張る私、食べ終わる私、お会計する私…
全部想像してみて、別にマストじゃないかなあ、という考えに行きつく。やめた。

そんな事より小さな冷蔵庫の中で日々衰えていく野菜たちが案じられる。お昼は自炊にすることに決めた。
冷凍の玄米を温め、ブロッコリーを茹でる。新玉ねぎとピーマンは塩麹炒めにしよう。
今日は花冷えというのかとても寒いので、しめじの味噌汁には、酒粕を入れることにした。
白菜の塩昆布漬けと韓国のりを添え、地味なおうちごはんの完成だ。
一口５０回は噛め、と言われる玄米を空腹に任せて流し込みながら、さて午後は何をしようかと考える。

休暇中は、消費の機会を著しく失ったカロリーをどうにかしようと憑かれたようにジムに通い泳いだり走ったりしていたが、それもマストではない、と今日は思う。行かない。太ってるけど。

「銀行で定期預金の口座を移動をしよう」とか「ロボアドバイザーによる運用を開始しよう」とか「脱毛を完了させよう」とか、色々考えていたけどすべて別にマストじゃない。行かない。

きっと来週以降平日終日仕事に拘束される自分に戻ったら「あれやっとけばよかった～」と後悔する事があるんだろうな。

私の人生におけるマストってなんなんだろう。
これだけは！
という事柄が思い当たらない。
どうしても行きたい場所、どうしてもやりたい事、どうしても会いたい人…特になし。
今日と同じように、人生最期の日を告げられたとしてもこんな感じでさっぱりとしているのだろうか。
思い残す事なくさらりと死んでいくのだろうか。

それとも日頃から、「ウィッシュ・リスト」を常にアップデートしておき、それを見返しながらタイミングを見計らい１つずつ実行、リストにチェックをいれていくべきなのだろうか。
意欲的で充実した人生になる気がする一方で、それでは「ウィッシュ・リスト」がいつしか「To Do リスト」となってしまい、なんだかタスク管理に息苦しさを覚えそうな気がする。
何より死期を前に、未チェック項目が心残りで仕方なく、かえって気持ちの悪い死に際を迎えるのではないか。

日々是好日。
特別な事はしない。眠気覚ましに深めのコーヒーを淹れたら、リテラシーの極めて低いMOSの復習と入社書類の再チェックをしよう。