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#100 朝、夫を見送りそびれるほど爆睡した、魔物のパジャマを手に入れてしまった


2020年の初めからロックダウンが続き、加えて仕事も辞めていたのだ。人前に出ることがなかったし、何よりお金を好きなように使える立場ではないという自覚がまずあった。それゆえ、とんと着るものの買い物はしていなかった。

長い間、購買意欲というものもなかった私に、ひとつだけ「いいなぁ~、私もほしいなぁ~」と言ったものがあった。

それを夫が買ってくれたのだ。
それはISOBAAというロンドンの会社の100%メリノウールで作ったパジャマだ。


トップはこれ メンズサイズS (2)


正確にはパジャマとして売っているのではなく、夫がごきげんで毎晩着て寝ているISOBAAのトップとボトムの組み合わせである。上下の色を揃えて、勝手にパジャマにしているだけだ。

夫の上下はデニムカラー。
私のはフレンチネイビー。

トップはこれ メンズサイズS


「人をダメにする○○」なんていう見出しのソファーやらクッションやらがあるという(私は英国に居るので言葉でしか知らない)。

だけど見出しをつけるなら、私がパジャマとして着用をはじめたこの上下も当てはまる。寝つきがよく、気持ち良すぎで朝も起きたくないくらいダメな人間になっている。


100%メリノウールって、毛糸でしょ?それがパジャマになるの?暑すぎないの?チクチクしないの?と思われそうだ。

ところが、信じられないほど細かい繊維なのでコットンと言われれば信じてしまうくらい、柔らかくてするするしている。

この製品の最大の強みは、「環境に優しい」ということだ。

私が着ただけで言えることは、

✅まず暖かい。必要以上に部屋を暖める必要がないので暖房費が節約になるし、逆に夏はサラッとして意外にも涼しいらしい。

✅織りのクオリティが高く、正座しても膝の部分が出っ張ったりしない。

✅洗濯をしないで毎晩でも着続けられるので、時間、労力、資源の節約になる。

こんなウソのような事実に私もすっかり虜になってしまっている。

登山にメリノウールの靴下や下着が最適だとはよく聞いていた。山歩きに慣れた友人たちが口々に勧めていた理由、今なら本当によくわかる。

天然のメリノウールには保温性がありながら、汗をかいても湿度の調整に長けているので、汗冷えがしないという大きな特徴があるという。

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(YAMA HACK編集部さん作成の図をお借りしました)


夫は初めて思い切って買ったメリノウール100%のTシャツが、あまりにもその謳い文句どおりに機能することに感心して、それからまた一枚、もう一枚、と買い足していた。

はっきり言って、それは着心地だけでも涙がでるほど素晴らしいのである。

とにかくこれを初めて着た日から幸せ度数が間違いなく上がった気がする

値段自体は決して手頃とは言えない。Tシャツでも一枚 £60、日本円なら9000円以上ということになる。

ただ幸いなことに、あるオンラインのスポーツショップがISOBAAブランドを扱っており、新製品との入れ替えとして半額で売っている。

「それならば試してみるか‥‥」という気持ちにさせてくれたのであって、そうでもなければ私たちも最初の一枚を買っていなかったと思う。

夫はすでに一年ほどの間にその数を増やし、その日の気分で無地やストライプと、その色合いさえも選べるほどになっている。今や出かける際はメリノウールのTシャツ以外着ないほどだ。

そして、よく「ミズカ、ほら嗅いでみなよ。全然臭わないから」と自分のTシャツを私の鼻先に持って来ようとする。いや要らんし‥‥

なぜ汗をかいても臭わないかというと、メリノウールには天然の抗菌作用があり、バクテリアの増殖を防ぐからだそう。
汗による臭いの素になる分子を繊維内に閉じ込めてしまうので、菌が分子のところまでたどり着けないからだという。


洗濯を頻繁にしなくていい。そんな素敵なものにみんなが気づけばいいのに‥‥と思っている。
このISOBAAという会社のサイトが運営するブログの企画にはびっくりされるかもしれないが、

"30日間洗濯しないで同じTシャツを (日中) 着続けようチャレンジ" である。

ISOBAA愛用者でこのチャレンジを受けて立つ人は自分のSNSで毎日経過を発信していく。30日続ければISOBAAがメリノウールTシャツを一枚プレゼントしてくれるというものだ。

「洗濯の量や頻度が減る=労力とお金の節約」に「臭わない、快適」が伴うのか‥‥ 

私のパジャマが来てから2週間以上経つが、実はまだ一度も洗っていない。それでもまだ胸を張って大丈夫、というレベルだ。
メンズを買ったので、初めは「着るとおっさんくさい?」と懸念したけれど、ゆったりしていて最高だ。フレンチネイビーもどんどん好きになってきた。

予想通り裾が長すぎたので11cm裾上げをして履いている。一度手洗い・乾燥した後で伸び縮みを確認して、それから不要な分を切って縫い直そうと思っている。この素材が好き過ぎて、余った分でスヌードを作りたいからだ (家用だけどね)。

もうひとつ気づいた高ポイントがある。
日本以外のホテルには寝衣がないのが通常なので、旅行荷物の中にはパジャマを入れて行く。これなら2週間の旅行でもパジャマの替えも洗濯の心配も要らないということになる。
なんて画期的なんだろう。



私はもともと綿、毛、麻、絹の100%のものを好んで買う。もちろん綿半分麻半分といった天然繊維の混紡は構わないが、繊維を合わせるために科学繊維が入ってくるのが好きではない。

私の子ども時代の60年代、70年代にはアクリルやポリエステルが流行った時代だった。冬にアクリル製のセーターを脱ぐときにバチバチっと静電気が起きたことを今でも思い出す。あれだけはどうしてもいただけない‥‥

いつの間にか私は化繊の製品を敵対視して、子どもたちの身に着けるものもデザインや値段よりも、素材のタグをチェックするようになってしまった。

夫と私が使っているduvet (掛け布団) はmulberry silk (100%桑絹製) のものだ。こちらも冬は暖かく夏は涼しい。

つまり自然にこそ驚くべき恩恵があるということに他ならないという、シンプルな話。
天然素材で、環境に悪いゴミを作らない製品がいいに決まっているのだ。


サステナビリティは、「今どき」の話題だが、流行に敏感だとか cool なだけでは決してない。
地球の環境破壊を食い止めるために、一人一人が生き方そのものを見直さなくてはならない事態だということは本当は誰でもわかっているはずなのだ‥‥

そろそろ大量生産されたアパレル製品にはNOと言えるようになりたい。「着古せば買い替えればよい」から「長く着れるものを買って大切に使う」にシフトしていけたらいいなあと思う、

そんなきっかけになるような、2021年最高の "買ってよかったもの" となった。


こんな人をダメにするパジャマでも、いくら眠りが幸せ過ぎても

朝はちゃんと夫を見送ってあげなくちゃ‥‥




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