舞台 血の婚礼 感想

こんにちは。今回もタイトル通りのことを書いていこうと思うのですが、先ずは舞台血の婚礼、無事に大千穐楽まで完走されましたね…!私は最後の回は行けなかったのですが、TLに皆さんの感想が流れてきて、それで初めて「無事に大千穐楽迎えられたんだ!」となって、めちゃめちゃ嬉しかったです。


それでは、早速ですが、全体+それぞれの役について感想を書いていきます。
※演出含め完全にネタバレしていますので、それでも大丈夫な方はご覧ください。あと台詞等うろ覚えの箇所があります…!



全体的な印象について
・物語としては、個人よりも家が優先され個人が犠牲になる社会制度だったり、家父長制だったり、現代に生きる私たちや先人が必死に抵抗し壊してきたもの、今も闘っているものがまだバリバリに幅を利かせている時代のスペインで、ラストにその価値観を(母親の台詞によって)否定するという当時のスペイン社会への挑戦のような内容なんだな…と解釈しました。舞台上で人が蔑ろにされればされるほど、「こんなんでいいと思ってるのか」と作家から訴えられているような気持ちになる。メッセージ性が強い。

演出について                                                          ・一番最初が劇場アナウンスが流れる中、特に派手な効果音もなく客席から普通に歩いて舞台に上がる花婿と母親でびっくりした。「これは作り物ですよ!」を序盤から折に触れやっているけど、舞台上の登場人物は現代の私たちと重なる部分も多くて、そのコントラストがすごい
・レオナルドと花嫁のダンス?アクション?が美しかった。レオナルドと花嫁の白い衣装に二人の息のあったリフトや動きが映えてて、もう時間が止まればいいのに…とか思ったけど無理でした(そりゃそう)                        ・怒鳴り合うシーンが多かったけど、登場人物たちも普段は我慢して耐えていたのに、この婚礼という日にそれまで誤魔化していた色々なものを抑えきれなくなっていったんだろうなぁという感じがあって、あまりにも抑圧が強いから解放された時、各々あんな風に暴走しちゃったんだね、だって耐える一方なんて心があったら無理だもんね…と妙に共感してしまった。

登場人物について
レオナルド
思ったより弱くて、思ったより花嫁のことが好きな人でした。序盤の「俺はお前とまもともに口もきけないということか」とかあまりに切実で、本気で花嫁が好きなんだな…と。とかく暴力的な部分が目立つレオナルドの、弱さが垣間見えた瞬間で印象的だった。          「まともなことを考えれば俺もお前とは終わりにしたい」とかも、もっと狂いきってて、無理矢理にでも花嫁引っ張って逃げるイメージだったから、レオナルドが意外と正気で驚いた。階段を先に降りたのも手綱付け替えたのも足に拍車つけたのも花嫁だし、この逃避行まぁまぁ花嫁主導!!!でも最後は逃避行への懲罰として殺された感じで辛かった。レオナルドも色々悪いんだけど、貧困とか出自とか本人にはどうしようもないものを背負ってるしんどさを加味して私は見てしまったので…。良くない。


気遣いが出来て優しいのに、無意識にレオナルドの劣等感を刺激してしまって辛く当たられる。というかそもそも花嫁のことを愛してるレオナルドと幸せになれる方法なんてなくて、もう最初っから詰んでる。その中でも「あたしも一人で教会に行くような女にはならない」とか、ただレオナルドに怯えるだけじゃなくきちんと自分の意思もあって好きだった。彼女が幸せになる世界線が欲しい。


・花嫁
花婿に対する話し方が品がある、控えめな女性のそれで、理想的な花嫁を演じているのがわかる。多分花婿に本当の自分を見せたことはなくて、本音でぶつかりあったこともない。なのに花婿は花婿大好きそうで辛い。この物語、全体的に辛いな…。花嫁は好きでもない人と結婚した母のように生きようとして失敗したけど、家の格が釣り合ってないレオナルドを愛した時点で、彼女にも幸せになる道はなかったのかな?と感じました。社会という前提に不備があるなら、その中で「正しく振る舞う」には自分を殺さなきゃならないわけで、それが出来なかったヒロインだった。

花婿
花嫁が演じた、理想の花嫁を見ている。
気が狂ってしまったような母親と暮らしている中で、花嫁は救世主に見えたのかも。
「君の傍から離れると~寂しくなるんだ」という台詞があったけど、花嫁はそんな焦がれたように花婿を想ったこと絶対なさそうで泣いた。親との関係性とか、現代人も彼には共感するところが多い気がする。


書いてないこといっぱいあるけど、力尽きたので終わりにします!観るのにエネルギーがいる、凄い舞台だった~!!!

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