ミュージカル 『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』 感想



全体について

序盤はジョジョとディオの青春がメインだと思ったんですが、全編見てその国の伝説や宗教、民族伝承が盛り込まれた児童文学を思い出しました。ナルニア国物語とかモモとか空色勾玉とか…。重厚な物語にリズミカルなラッパーのストリーテラー、各々の生き様を歌うミュージカルナンバーに圧倒的なアンサンブルさんの歌とダンス、観終わった後はしばらく放心状態な上に深夜までかけて観てしまい、翌日寝不足で出社しました。事前の時間確保、大事。

観劇前の予習について

完全に飛び込みで、予習なしでした。流石にタイトルは聞いたことがありましたが、有名な台詞の数々も劇中で出てきて「これってジョジョの台詞だったんだ!」と知ったくらい。何も知らなすぎて下記の内容でツイートまでしてしまいました。(貼付けが上手くいかなかったので文章そのまま置いときます)

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ジョジョ配信見始めたんですがマジで全くの初見で突撃したため、松下さんの役をポスタービジュアルから勝手にニヒルな二枚目だと思ってたら「ワァー!」「いつか勝てるようになる!🥺」とかめちゃめちゃピュアな坊っちゃん登場で脳内大混乱し一時停止した、ちょっと一回お茶飲んでから戻ります
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こういった作品は原作もアニメも完璧にするとより楽しめる!と思いますが、間に合わないならいっそそのままで飛び込んで展開に一喜一憂するのもありだと思いました。ストーリーも分かりやすく整理されており、初見でも安心して楽しめる。ちなみにこの後、一幕終わりにジョジョもディオも死んで「これ二幕どうすんの?!皆死んだが?!!!」と大絶叫しましたが、ちゃんと二幕もストーリーが展開していきました。そりゃそう。

作中のオモロ&衝撃だったところ

宮野ディオの馬車からの登場、「足なっが!マモの有効活用だ〜!!!🤣」とキャッキャしてしまいました。キャッキャ出来たの、ここまで…。ここから地獄が始まるとは知らない私でした。

清水エリナの声、あまりにも美しい。オペラみたい。表情の作り方も愛らしくて、これがチャーミングってことなのかなと見ながら考えてました。誇り高き女性で、ジョジョと同じで周りが何をやっても絶望しない。この二人、表面のキャラクターは違っても根底にある生き様が同じだから惹かれ合うのかな。

序盤の幸福な場面を見て思い浮かんだ嫌な予感は全部当たりました。ディオは「俺は人間をやめるぞジョジョ」と叫ぶけど、ディオが人間をやめたのはエリナにあの仕打ちをした時、ダニーを焼いた時、そして身体的にも人間でなくなったのが「人間をやめるぞ」のシーンだと解釈しました。

〜解毒薬を探しに行くジョジョの場面〜
スピードワゴン「今登場!俺様が!」
私「お前登場人物だったの?!!!」

ディオ、ずっと派手な悪役として振る舞ってるけどその実父親の悪夢から必死に逃げ、不安を誤魔化し、最早何をやりたいのか自分でも分からないんじゃないか。自分は貧しくて奪われる側の人間だから何でも持ってるジョジョから奪ってマイナスをゼロにしようとしてるけど一向に差は埋まらず、「今はお前が持たざるの者か」とか言ってるシーンですらジョジョには仲間がいて恋人がいて希望に満ちた明日があるの、残酷だとすら思いました。でもそれを選んだのはディオなんですよね。作中には同じくスラム街出身のスピードワゴンや主君を殺され自身も騙し討ちにあい命を落とした騎士が出てくるけど、彼らはディオと同じ道は選ばなかった。ディオは結局、愛してくれた母親ではなく自分から全てを奪った父親と同じ人生を選んだ。あんなに憎んでいたのに…。ジョジョに終わらせてもらえたの、どう思ってるんだろう。「こいつ、死んでる…」の声は嬉しそうじゃなかった。

ツェペリ、人から奪わないでも強くなれるよ、闘えるよ!って教えてくれる大事な存在な上にショータイムなミュージカルナンバー大好きなんだけど、ワインがグラスからこぼれないかだけ気になってた。ラップしてた(?)から大丈夫そうだな〜って気付いてから安心して見れました。

ダリオと入れ替わりにジョジョが現れる演出、おぉ〜と思いました。父親とジョジョは、ディオの中で対極の存在なんですね。

ジョジョとディオの物語に見えるけれど二人がやっているのは代理戦争でもあって、支配階級と被支配階級とか、この世の善と悪とか、希望を信じられるような環境のあるなしとかそう言った広い意味での「因縁の宿敵」なのだろうと感じています。

登場人物について

ジョジョ
(松下優也さん)

可愛い子犬みたいな幼少期からディオに立ち向かう青年期まで、とても魅力的でした。特にソロパートの歌が全部好きで、子どもっぽい幼少期の中でも苦しい心境を歌う部分は急に大人のような苦悩を見せるジョジョの新しい顔に惹かれたし、戦闘シーンではスパン!と切り替わって華のある歌い方でカッコ良い〜!とテンションが上がったし、配信期間何回も見返しそうです。え??まだファンじゃないつもりです。まだ大丈夫!!!多分…。


ディオ
(宮野真守さん)


アニメが大好きだった学生の頃、宮野さんは味方サイドの役でしか見たことがなかったので、こんな悪い役だと思わなくてびっくりしました。新しい一面…!カーテンコールで松下さんが「(凄すぎて)ほんまに人間やめてると思う!」って言ってたけどマジでそう。迫力があって、倒すべき敵として堂々と君臨している姿が素敵でした。


エリナ
(清水美依紗さん)


初めてお芝居拝見したんですが、もう次の舞台観たい。声も歌もお芝居も全部好きだった。彼女のエリナはジョジョとは別で自分の人生をしっかり持っていて、気高い印象でした。

ツェペリ
(廣瀬友祐さん)

カッコ良いのに何か面白い。多分、どんな仕草も決まりすぎてるから…?ファンタジーの不思議な世界観で独特の存在感を放っていってキラキラしてました。

以上です!長話にお付き合いいただき、ありがとうございました🙇