魔女の家


「さぁ、家で治療をしよう。」

LuCiAはそう言って、アレキサンダーを抱き上げてホウキにまたがった。

「つかまっているんだよ。」

後ろにアレキサンダーをそっと乗せると、
ホウキは高く浮かび上がり、空を飛んだ。

アレキサンダーは驚いた。

「すごい!空を飛べるの?」

「そうさ、魔女だったら当たり前だよ。

 スピードを上げるからしっかり掴まって!」

「ワーイ!」

アレキサンダーは足の痛みも忘れてはしゃいだ。

森の向こうには川が流れ、アレキサンダーの住んでいる城も見えた。

空から見える景色は最高に美しかった。


しばらくするとホウキは下降していき、森の奥深くで着地した。

LuCiAはアレキサンダーを抱えながら歩く。

すると、丸太でできたえんとつのある可愛らしい家が現れた。

入口のポストにはカラスがとまっていた。

「お帰り、LuCiA」

「ただいま、バレッグ」

アレキサンダーはまた驚いた。

「カラスが喋ってる!」

「おや、今日はかわいい少年を連れてきたね。」

「こんにちわ!僕の名前はアレキサンダー!
 よろしく!」

「おぉ、元気のいい子だね。私はバレッグ。よろしく。」

LuCiAはクスッと笑ってドアを開けた。

中には暖炉があり、テーブル、ベッド、ソファーがあった。

「さぁ、まず栄養をつけてゆっくり休まないとね。みんな、おもてなしだよ!」

LuCiAが指をパチンと鳴らすと、奥のキッチンから沢山の食器が飛んできた。

食器それぞれには顔が付いていて、口々に喋り始めた。

「おやおや、これはこれは可愛らしい少年ですな。」

「ようこそ、LuCiA's Homeへ!」

「さぁ!今夜は腕のふるいどころだ!」

驚いているアレキサンダーをよそに
食器達は踊り、歌い始めた。

どこからか陽気な音楽も流れてきた。


「さぁさぁ、今宵は久しぶりの来客だぞ♬︎
精を出して料理を作りましょう♬︎

蛙のローストに昆虫のソテー♬︎
蛇の血の入ったサングリア〜♬︎

メインディッシュは
悪魔の肝臓入りのミートソースパスタ♬︎

デザートは睡眠薬入りのブルーベリ〜♬︎」


「さぁ、さぁ召し上がれ〜♬︎」

LuCiAも満面の笑みで歌った。


アレキサンダーは苦笑いで、

「気持ちは嬉しいけど…遠慮しておくよ、LuCiA」と言った。


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