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よりよい質問をつくるためのプロンプト:Question Refinement Pattern

わたしが務める筑波大学でも秋学期がはじまった。今学期は『人工生命概論』という授業を受け持っている。

毎回の授業のレポートでは、感想と質問を書いてもらい、次の授業で答えている。80名近くの学生が受講してくれており、どんな質問が来ているのかチェックするのが楽しみになる。

さて、そこで、今回はより良い質問をつくるためのChatGPTプロンプトパターン:Question Refinement Pattern(J. White et al., arXiv:2302.11382, 2023)を紹介する。

質問はよりコンテキストが絞られている方が、答えもフォーカスが当たってより適切な答えが返ってくる。

たとえば、次の2つの質問のうちより答えやすいのはどうちらの質問だろうか?

  • 将来の夢は何ですか?

  • 5年後にはどのような仕事をしていると思いますか?

「将来の夢は何ですか?」という質問に対して、多くの人々は具体的な答えを持っていないか、またはその答えを誰かと共有することに躊躇するかもしれない。答えるためには自分の人生のビジョンや大きな目標を考えないといけないし、それはひょっとしたらバカにされると思うかもしれないからだ。

一方、「5年後にはどのような仕事をしていると思いますか?」という質問は、より具体的な時期が与えられており、答えるのが最初の質問より簡単だ。5年という比較的近い未来における自分のキャリアや目標は想像しやすい。

このように質問するときには、相手が答えやすいように具体的なコンテキストや時間を設定することが効果的だ。抽象的な質問よりも具体的な質問の方がより良い回答が得られることが多い。

あらゆる質問について「より良い質問」を提案してくれるのがQuestion Refinement Patternだ。

ChatGPTに尋ねた質問を改善してもらうようにお願いする、という至ってシンプルなものだ。

“Whenever I ask you a question, suggest a better question.”
(質問に対して、もっといい質問を提案してください)

これだけである。このプロンプトを使えば、質問する度に常に改善された質問を提案してくれる。

ChatGPTは大量のデータから学習されている。一般的な質問をして、それを「改善」するようにお願いすれば、ChatGPTが学習した大量の知識を使って、何を聞かれているのか、そのコンテキストを補完することができる。質問とよく関連して使われていて、質問の質を高めてくれる言葉を提案することができるのだ。

たとえば、大学の教員をしているとよく学生から「将来のために、何を学んでおくのがいいですか?」といった質問を受けることがある。質問の意図が曖昧で、答えに困ってしまうことも多い。

この質問に対して、ChatGPTはどのような改善案を提案してくれるだろうか?

「技術の進歩や社会の変化を考慮した上で、次の10年間で最も重要となるスキルや知識は何ですか?」

ChatGPTの返した答えは、まず、「技術の進歩や社会の変化を考慮した上で」という背景情報が追加され、変化に注目するというフォーカスが加えられた。また、「「次の10年間」という具体的な期間を設定されているため、その期間を考慮したより具体的な答えをすることができる。単に「将来」という抽象的な概念ではなく、質問の文脈がより明確になっている。そして、「スキルや知識」という言葉によって、学ぶべき内容に関してもより具体的になっている。

このように、Question Refinement Patternは、非常に有効なパターンだ。このパターンを有効にすれば、質問する度により改善された質問を提案してくれる。

質問したいことの意図を汲み取って、より良い質問をしてくれるという相棒がいるというのは、なんとも心強い。

それだけではない。改善された質問をみることで、もとの質問には何が足りなかったのか、という質問を振り返るための視点を与えてくれさえする。

もし改善された質問が、自分が質問したかったことと違った場合には、元の質問には、いろいろな答え方があるということに気づくこともできる。欲しい答えを得るためには、よりコンテキストを追加しないといけないということにも気付かされる。改善された質問をみることで、どのような情報が足りないのかを知ることができるのだ。

ぜひ、試してみてください。

では、また!
ciao.

(top image created with DALL·E 3 + ChatGPT)

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