見出し画像

絵本担当とお客様②〜書店で絵本を選んでほしい理由

「マツコの知らない世界」にも出演された“待ちよみ絵本講師”の内田早苗さんが、以下の記事をアップされていました。

絵本をどのように選んだらよいかという保護者の悩みへのアドバイスとして、『SNSの情報からだけでなく、地域に根ざした書店や図書館に出向き信頼出来る人から情報を得る事』の大切さを説いています。

ご自身も絵本専門書店を開いている内田氏ならではの実感のこもった提言に、書店の絵本担当の端くれとして深く頷くばかりでした。

なぜ、絵本は書店や図書館で情報を得て選ぶ方がよいのかを、内田氏の記事をきっかけに自分なりに考えてみました。(長いので何回に分けて)


確かに、SNS上の絵本関連の記事は、忙しい子育て真っ最中のお母さんたちにとっては、手軽で頼りになるツールだと思います。

(SNS上の絵本作家や絵本翻訳家、出版社や書店の情報は私も手軽に有り難く使っています。)

ただ、版元や作家等のプロの人達以外が絵本を紹介しているSNS記事に対して私が抱く違和感が3つほどあります。

1.選書に定番絵本が多く新しめな絵本が少ない
2.発信者好みの選書に偏りがち
3.版元の許可を得て掲載しているのかが曖昧

書店で絵本を選んで欲しい理由と合わせて、これらの違和感について考えてみます


1.(SNSの絵本記事には)選書に定番絵本が多く新しめな絵本が少ない件
 

毎週多数発行される大量の新刊絵本を個人レベルですべて追いかけるのは、図書館司書や書店員以外にはほぼ不可能だと思います。

(このことについてはhttps://note.com/mizukitotutuji/n/n9401d372b49bでも以前触れています。ご参考まで)

なので、SNSの絵本紹介サイトや個人の発信を参考に絵本を選んでいくと、どうしても評価の定まった、発行時期が古い定番絵本が多くなりがちです。

実際に書店に於いても、よく売れる絵本は、何十年も前に出版された物が多いのも事実。年間売上上位に40年以上前に出版された書籍が入ってくるのが絵本業界あるあるだったりします。何十年もかけて評価の定まっているだけに、定番絵本は素晴らしい作品揃い。

自分の子どもにどんな本を選べばよいか、迷うお母さん達にとっては、確かに定番絵本を与えておけば間違いはないのです。

ただ、定番絵本を読んでいるだけでは、
もったいない
とも同時に思います。

その理由は
最新の絵本に直に触れて自分の子育て時代の最前線の空気を是非感じてみてほしいから。

絵本は、歳を重ねて自分の子育て時代を振り返ったとき、思い出と共に自分の子育てを顧みるツールになります。
せっかくの短くて貴重な育児期間だからこそ、多少面倒でも書店に足を運び、その時に、時代を感じられるものを手に入れておくのはとってもオススメなのです。

書店で絵本を選ぶとよい具体的理由

→❝今❞を感じる鮮度の高い絵本に出逢える


●最新の子育て理論に沿い、工夫して作られている絵本を直接手にとれます

→ホログラム、ミラー、指人形、ビーズ等を使った驚くような絵本もあります


●旬の絵本作家や力のある新人作家の絵本が豊富に揃っています

→絵本にはそれが描かれて時の“時代性”が色濃く反映されているもの。
特に、若い絵本作家や旬の人気作家からそれを感じられるものが多いです。
“今”を知るために、最近発刊された新刊絵本を読むのは有効です。


●編集に工夫を凝らした楽しい絵本が増えています

→表紙を外して後で遊べたり、仕掛けが面白かったり、興味深い編集が施された絵本を実際に手に取りじっくり選ぶことが出来ます。


●書店独自のフェアなどで現代社会の問題に触れた本をまとめて読むことができます

→SDGs、LGBTQ、世界平和etc.…最新トピックについては書店によるフェアがよく開催されています。
特に翻訳絵本にこのような問題意識について描かれた絵本は多く、子ども達だけでなく大人にも読んで欲しいと思うような絵本も少なくありません。


内田氏も述べていらっしゃいましたが、「なんじゃこりゃ絵本に引っかかる」に事も勿論あり得ます。

そのリスクを少しでも減らしたいときは、書店の絵本担当を捕まえて今オススメの新刊絵本を是非聞いてみて欲しいです。

書店員にとっても、新しい絵本を読むことは喜びであり、自分が読んで素晴らしいと思った絵本をお客様にご紹介したいと思っています。


子育てほぼ終了の今私が感じているのは、
子供の心の成長のために親としてこれをやった!という実感は、それが目に見えないだけに持つのが難しいな~ということ。
自分の子育て時代を象徴する絵本が揃った本棚は、不安だらけの親業に少し自信を与えてくれる宝物になります。

理由2.以降、次の記事に続きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?