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「夫のちんぽが入らない」著者:こだま 読書感想文

(読書感想文といいながら、中身にあまり触れていません。タイトルの作品を読了して思ったことをただ書き連ねています。)

タイトルのせいか何かと話題になっているので、文庫本が出たタイミングで読んでみた。

まず、文庫本の帯がカバー全面を覆う形になっていて、そこに、著名な方々の推薦文が列挙されていて、多くの方から支持されている作品なのだと思った。そこで、私も期待して読み始めてみた。
正直に告白すると、一章目を読み終えた段階では、あまりいい感想を持てなかった。ひたすら、苦しい、辛い、可哀相という感情が漂っている文面に、読んでいる方が辛くなってきて、一章目を読み終えたところで、一度読むのをやめてしまった。そして、もっと言うと、著者の持ち味なのかもしれないが、被害者意識の強さが表れている文章が、鼻についてしまったというのも、読むのを辞めた原因の一つだった。

それでも、最後まで読んでみようと、半ばまで読み進めると、著者のユーモア溢れる文章が見え始めて、最初に感じた思いは若干和らいだ。ちょうど、著者が普通に苦しめられていたところから、普通でない道を選択し、歩み始めたところで、本書の面白さが加速してきたように思えた。読了した時、なんとなく頭に思い浮かんだのが、芥川賞を受賞した村田沙耶香氏の「コンビニ人間」だった。フィクションとエッセイという違いはあるが、どちらも「普通」であることに疑問を投げかけた作品だと思う。

ただ、文学の世界では、普通とは違うということを訴えることに、昔から先進的だったと思う。そういう意味で、ある意味、本書は王道を行っている作品なのかもしれない。作品の性格上、絶対賛否両論は避けられないが、もっと、こういう作品が増えればいいなと思った。


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