「音符に付点引っ付けると、長くなるでしょ？」
「そだっけか？」

「うん。四分音符なら、その半分が付点でくっついて、長くなる」
「四分音符ぷらす八分音符の長さってことかー」

「そう。だから、付点って、もっと応用効くといいなあと思って」
「どゆこと？」

「たとえばさー、彼氏に好きって言う時に、普通の好きと大好きの間くらいって感じで、付点つけて使えればなーと」
「へえー、それっておもろいじゃん」

「でしょでしょ？　ちょっと好きじゃカレがむくれるし、大好きっていうのも大げさかなーって時に、付点つけるの」
「それいいかも。じゃああたしは」

「うん」
「カレシなしのあたしに無神経にノロケるやつうざいなーと、おまえ嫌いだあっち行けの間にするのに付点つけるかな」

☆　☆

　点一つ付けただけで世の中丸く治るなら、誰も苦労しませんわい。

　こんなに付点ばっかでも困るし。

冬の虫動かず壁に付け黒子ぼくろ

（2017-12-29）